2015年5月21日木曜日

十八史略(52)-伍子胥と呉越戦争(13)

7日7晩泣き続けたといわれる申包胥
 
「かならず楚を滅ぼしてみせる」

と、かつて伍子胥が言ったときに親友の申包胥は

「それなら、わたしは楚を興してみせる」と、答えた。

申包胥は、まっすぐに秦に行き、援軍を乞うた。

秦は断った。

申包胥は秦の宮殿の前の広場にて、7日7晩、泣き続けた。

飲まず食わずで泣き続けたのである。

伍子胥に負けぬ執念であった。

これには、秦の哀公も感動した。

哀公は大声で、『無衣』の詩を謡った。

 
君は衣がないわけじゃないが

きみと同じ服を着よう

いざ王が兵をおこすとき

われらは槍を磨き

きみと同じ敵に向かおう

という歌詞である。

これは秦の歌謡で『詩経』に収録されている。

――君と同じ敵に向かおう

ということで、援軍を引き受けたのである。

宮殿の塀越しに、この『無衣』の詩を聞くと、

申包胥は狂喜し、9回も頭を下げた。

秦は申包胥のために500乗の戦車を貸した。

1乗は馬4、士3、兵72、輜重25であるから、

 馬2000頭

士卒3万7500人

輜重1万2500人という兵力を動員したのである。

申包胥はこの秦の援軍とともに、呉軍と戦った。

そして、稷(河南省)でこれを破った。

これまで、呉は楚と5度戦い5度勝った。

稷ではじめて負けたのである。

 

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