2014年8月5日火曜日

「十八史略(2)―神話時代の羿(げい)(2)」

 何千年も、何万年も繰り返していますから、飽き飽きして来ました。兄弟たちは、木陰で、
「一度、みんな揃って遊びに出かけようよ」

かくして、十個の太陽が輝くことになりました。兄弟は、たいそう楽しく遊びました。

しかし、これでは、人間界は堪りません。十個の太陽が一度に照りつけますから、農作物は枯れるし、人間も焼け死にました。

 このとき、地上の聖王だった堯は天帝に祈りを捧げ、救いを乞いました。頼まれると天帝もむげには出来ません。天上界でもっとも弓のうまい羿を行かせることにしました。しかし、かれは弓の腕はいいのですが、人間の機微に欠けるところがありました。

 羿は、勇躍して、妻の嫦娥(じょうが)を伴って地上に下りて行きました。羿は地上に降り立つや、天空の十個の太陽を射落とそうとしました。腕に覚えのある羿にしたら、矢は十本で足ります。次々に太陽を打ち落として行きました。これを見た堯は、慌てます。太陽は十個もいらないが、全部なくなるとこの世は闇になり、作物も育ちません。堯は人に命じて、矢を入れる箙から1本だけ矢を抜き取らせました。九個の太陽は、射落とされました。




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