2014年4月7日月曜日

肉まんに見る習近平政治

 習近平主席が昨年末、仕事帰りに寄った肉まん屋があります。
 260年前にうり二つの物語がありました。清朝最盛期の乾隆帝は除夜に民情を探るためにお忍びの旅から戻り、街で1軒だけ開く名もなきシューマイ屋で食べました。後に自ら「都一処」(都で唯一)と記した額を贈り、店は客で埋まったといいます。

 習氏は肉まん屋で自ら盆を運ぶ姿を庶民の携帯カメラで撮らせました。肉まん、シューマイともに北京名物です。習氏は清朝の最大版図を固めた乾隆帝の故事に倣ったとの憶測が飛び交いました。

 肉まん屋の列は、習氏が一年余り前に発した「8項目規定」の産物です。高級料理店がつぶれるほど倹約が宣伝されましたが、真の狙いは別にありました。大衆人気をバックに自らへの集権を図る巧妙な世論操作の仕掛けが隠れているといいます。

 国営中央テレビは従来は、政治局常務委員の動きを序列順に満遍なく扱っていましたが、この慣例が一変しました。

 習氏は頻繁に登場するのに、他の常務委員の出番が大きく減りました。視聴者本位に見せかけて習氏の動きを目立たせる仕組みです。

 中央テレビは1月末、看板報道番組「焦点訪談」で指導者らの動静報道が急減したと自ら報じました。中央テレビは前政治局常務委員、周永康に絡む汚職疑惑の渦中にあります。解任された公安部副部長、李東生が中央テレビ出身で、1990年代に焦点訪談を世に出しました。

 習氏は「8項目規定」の順守を迫る調査チーム「巡視組」を作り、頻繁に地方に派遣しているといいます。前任者の院政の力が強い1年目は動きにくいのが普通ですが、習氏は「一気に権力を固めなければお飾りに終わる」との危機感を抱いているようです。

 習氏が改革への抵抗勢力と見るのは江沢民の一派だそうです。その一員の周永康は失脚した薄来を擁護したとされます。そこで党中央に国家安全委員会という集権への組織を作りました。

 「一度、虎の背にまたがると、下りるのは難しい」。虎は周永康。習氏が虎を仕留めればいいが、失敗すれば逆に食われるというわけです。

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