2013年8月31日土曜日

消費税増税は国際公約か

 麻生太郎財務相は消費税増税への前のめり発言を繰り返しています。もはや決定事項のようです。

「消費税増税はもはや織り込み済み」となって、円と国債が買われ、株価が下がり気味になるのが、最近の姿だ。消費税増税不可避モードの円高・株安は明らかに、増税後の日本のマーケットの低迷をまるでジプシー占いの水晶玉のように映し出していると産経新聞の田村秀男氏は書いています。

政策を間違えても、「無謬」の理屈付けに徹する財務官僚、その理屈付けに手を貸す御用経済学者の数々、御用学者の言説を重用し続ける日経新聞など主流派メディア、そして増税デフレを全く意に介さない政治家たち。増税翼賛会グループこそが「戦後レジーム」を形成しているとも書いています。

欺瞞を象徴するのが、「消費増税は国際公約」という見解です。いつ公約したのでしょう。

金融面での国際協調の内実は、国益をかけただまし合いゲームである。米欧が自国の利益を優先する範囲内で合意を図るのに、日本は自国民を犠牲にしてでも増税を公約してしまうということでしょうか。

日本がデフレである限り、日本国民の巨大な余剰資金は、国内生産に使われずに、海外に出ていかざるをえず、米国債投資に回わります。

消費税増税ともなれば、日本の消費者の負担増を担保にする日本国債は高い価値が保証されます。これがワシントン主導の国際通貨基金(IMF)が日本の財務官僚と組んで盛んに消費税増税を日本に催促してきた背景であると田村氏は言います。

他方では、「財政再建よりも経済成長を優先すべし」とIMFG7G20ともうたっています。

世界はなによりも成長を渇望しています。にもかかわらず、世界最大の債権国、つまり最大の貸し手である日本だけが緊縮財政を優先するというのは、倒錯としかいいようがないではないか。そのとおりです。どうも日本の政治家、官僚は、悲しいことに難しいことには臨まず、国民を苦しめる楽な方にいくようです。

 

2013年8月30日金曜日

歴史忘れた韓国

 これも花田紀凱氏が夕刊フジの天下の暴論に書いていたものです。韓国について書いています。

「歴史を忘れた民族に未来はない」とは、7月28日のソウルで開かれたサッカーの東アジア・カップ男子の日韓戦で韓国のサポーターが観客席に大書した馬鹿でかい横断幕に書かれていたものでした。

ロンドン五輪の時にはグラウンドで「独島は韓国のもの」と書いた紙を掲げた朴鍾佑選手はFIFAから厳重注意されました。しかし、いまだにこういうことを行ないます。

強烈な反日教育で育った韓国の若い連中にはそれがわからないようで、ハングル世代は漢字が読めないために歴史的資料なども読めないのだと花田氏は書いています。

呉善花さん(拓大教授)は韓国に入国を拒否されました。呉さんが「ハングル優先政策が世代間の文化断絶を起こした。これが韓国人がノーベル賞を受賞できない理由」と書いたためだとも言われています。

花田氏は「ハングルは、日本で言えば、ひら仮名のようなもので、ひら仮名だけでは、科学的思考も、思想も深まらない。

『従軍慰安婦』なんて存在はなかった。ただ売春婦がいただけ。彼女たちは『性奴隷』などといわれる存在ではなかった。法的に認められた売春婦で、業者が月給300円で募集し、それに応じた連中なのだ。

デモの先頭に立っている元従軍慰安婦のばあさんたち、全員8090歳。逆算すれば彼女たちは12歳くらいで売春していたことになる」。と、疑問を投げかけています。冷静に考えれば、事実、そういうことがあったかどうかも分るはずです。

 これらの賠償問題は、1965年に結ばれた日韓基本条約ですべての賠償は済んでいます。

 8億ドル(当時のレートで288億円)という賠償金を国内産業再建に使い、個人補償の面で十分ではなかったと言ったって、それは韓国の国内問題です。 

 「漢江の奇跡」が日本の賠償金によって成り立ったなんてことをサッカーに熱狂している韓国の若者たちは知るはずもないでしょう。

 まさに「歴史を忘れた民族」は韓国人なのだと花田氏は書いています。

さらに、「情けないのは朝日新聞で、試合のことは大きく報じているのに、この横断幕のことには一切ふれていません」と書いています。

2013年8月29日木曜日

漱石の誤字

  誤字は頭の痛い問題です。花田紀凱氏によると、夏目漱石にも次のように誤字が多かったようです。

肌を抜いだ→肌を脱いだ

背虫→傴僂

治薬→持薬

意気→粋

黒人→玄人

無定→無常

疳違い→勘違い

退儀→大義 

案の上→案の定 

悪体→悪態。

これらは、ちくま文庫版の夏目漱石全集から無作為に抜き出したものですが、漱石が使っていた用語です。

 漱石ほどの文豪でも誤字が多かったようで、凡人にとっては、少し安心しました。

2013年8月28日水曜日

中国から続々脱出?

 中国当局は、家族や資産を海外に移し国外脱出する官僚を「裸官(らかん)」と呼んで取り締まりを強化している。中国語のインターネット新聞「博訊新聞網」が、中国政府高官の話として「鄧朴方が、1000億ドル(98000億円)を持って中国から逃亡した」と報じました。名前が挙がったのは、鄧小平氏の息子で、共産党中央委員を務めた鄧朴方氏です。中国の公式の報道では出て来ません。

「特権階級の太子党の中でも序列があり、そのトップに君臨するのが『八大家族』。『革命元勲』と呼ばれる毛沢東ら革命初期の大幹部の子弟のことで、鄧朴方氏もその一人です。かれらに言わせると、胡錦濤前主席や習近平主席は雇われ社長です。

ジャーナリストの富阪聰氏は、「腐敗撲滅を掲げる党指導部はいま、大規模な地下経済退治をやっている。官僚の不正蓄財の取り締まりを強化し、ぜいたく禁止令を発令した。立て続けに出された金持ちいじめともいえる政策に反発して中国を逃げ出す官僚が後を絶たない」と話します。

逃げ出すのは官僚だけであれば、まだいいのですが、彼らがため込んだ巨額の資金も海外に流出しているといいます。

米誌「タイム」は6月、中国からの資金流出が「6000億ドルに達した」と報じました。

評論家の宮崎正弘氏は、「新政権が発足してからだけでもすでに8001000人が祖国を捨てたといわれている。国の将来を誰も信用していない。ある調査では、権貴階級の87%がすでに自分や家族の海外での居住権を取得しているとされている」と言います。

ここまでいかなくとも、自分のこどもは、中国では産まず、海外で出産しているひとが多いようです。当然、産まれたこどもの国籍は、産んだ国になります。

2013年8月27日火曜日

米グレンデール市内の慰安婦像

  米カリフォルニア州グレンデール市に慰安婦を象徴する少女像が設置された問題で、現地の日本人から怒りの報告が寄せられています。除幕式では安倍晋三首相の顔写真にナチス・ドイツのシンボル「ハーケンクロイツ」が描かれたパネルが掲げられ、同市の図書館では、慰安婦とホロコーストを同列に扱う資料までが、展示されているというのです。

問題の除幕式は730日に行われました。「事実誤認に基づく日本批判だ」と抗議に駆け付けた現地の日本人が証言しています。

「安倍首相の顔写真に黒々とハーケンクロイツを描いたパネルを持っていた男性は胸に『ゲスト』というプレートを付けていた。グレンデール市が招待した在米韓国人」の一人だったといいます。

 同市の図書館には、慰安婦を、ナチスによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の犠牲者のように描く資料が展示されていました。たとえば、遺体が投げ込まれた穴のそばに兵士が立っている写真には、以下のような事実無根の説明があったといいます。

≪第2次世界大戦末期、日本の敗戦が色濃くなると、多くの慰安婦が日本帝国軍に殺され、その凶行が隠蔽された≫

これらの資料とともに、ブラント西独首相が1970127日、ポーランドの強制収容所跡地にひざまずき、謝罪している写真も展示されています。明らかに、日本とナチスを同一視させ、日本もジェノサイド(民族浄化・大量虐殺)を行ったかのような構成になっているといいます。

 少女像をめぐっては、グレンデール市のホームページに、姉妹都市である大阪府東大阪市が設置に賛同したかのような虚偽の記述があるとして、東大阪市が抗議文を送る事態にも発展しています。

 東大阪市は姉妹都市提携の解消も検討しているといいますが、即刻やるべきです。正しいことには、毅然とした態度が必要で、行動しなければなりません。

2013年8月26日月曜日

在日コリアンの韓国批判

  このところ、韓国からの反日よりの記事を書きましたが、日本に住むコリアンはどう感じているのでしょうか。

西日本最大といわれる大阪市生野区のコリアタウンに住む在日コリアンは、祖国のメディアに痛烈な批判の声を上げています。祖国(韓国)の反日感情を煽る報道に「(日韓の)両国関係が取り返しのつかないことになりそうなのに、まだやっているのか」とあきれ顔です。

 「韓国は『日本に構ってほしい』という不治の病にかかっている。大多数の韓国人は日本の右傾化など心配していない」と在日コリアンは話しています。

 生野区の自営業の男性は、「内政への自国民の不満をそらすために反日感情を煽っているが、そろそろ取り返しのつかないことになる」と警告しています。

さらに、「『原爆は神の罰』と韓国の大新聞が掲載したり、『日本の大震災をお祝いします』という横断幕をサッカースタジアムにはったり、どこかおかしいということに気づいてほしい」と述べています。

 「メディアや韓国政府の反日施策に踊らされず、冷静に日韓関係をみてほしい。そうすれば韓国にとって日本と仲良くすることが自分たちの発展につながることがわかるから」と、非常に冷静で少し安心しました。

2013年8月25日日曜日

サッカーで日本を非難する横断幕

 少し古い記事になりましたが、またも、韓国応援団が歴史問題で日本を非難する横断幕を掲げる暴挙に及びました。サッカーの東アジア・カップ男子日韓戦でのことです。これに対して、韓国サッカー協会は、「日本のサポーターが旭日旗を振ったことが発端」と責任転嫁ともいえる主張を披露しました。これを日本語では、恥の上塗りといいます。
 
「旭日旗は韓国国民に歴史的な痛みを想起させる象徴」「日本側が旭日旗には触れず、韓国側の行為だけを強調する態度はやめるべきだ」と主張しています。幅40m、縦数メートルの横断幕は、FIFAの規定で明確に禁止されている政治的主張そのものなのにこの開き直りです。
「現在、ネット上では、旭日旗を振った人物について『本当に純粋な日本人サポーターなのか?』という疑問が投げかけられ、画像を元に人物の特定が行われている」といいます。
 
前回は、選手でしたが、今度はサポーターです。スポーツをやるなら、最低限のマナーを身につけてからにしてほしいものです。少なくともサッカーを指導すべき地位にある人は、このような恥ずかしい弁明はやめてほしいものです。世界中のサッカー選手が韓国でのプレーをやりたがらなくなるでしょう。

2013年8月24日土曜日

死者が中国人で幸いだった発言

 少し古いニュースですが、サンフランシスコ国際空港で起きたアシアナ航空機の着陸失敗事故に関連して、韓国のニュース番組でアナウンサーが、死んだのが中国人で幸いだった、という趣旨の失言をして、国内外から非難を浴びていました。

韓国の総合編成チャンネル「チャンネルA」のユン・ギョンミン・キャスターで「2人の死亡者は全員中国人であることが確認されました。私たちとしては幸いだと言ってもいいと思います」と発言、それがSNSなどを通じて広がりました。

乗っていた飛行機が韓国の飛行機会社のものであり、亡くなったのが、他国のひとです。しかも、これから希望を膨らませて、アメリカに行った女子高校生です。どれだけ哀悼の意を示しても十分ということはありません。それなのに、この発言。韓国の教育の崩壊を感じます。少なくとも日本のアナウンサーは、かなり軽薄になったとはいえ、こういう発言をする人は、ひとりもいないでしょう。

2013年8月23日金曜日

安重根の碑設置要請

 中国を訪問中の韓国の朴槿恵大統領は628日、北京の釣魚台迎賓館で習近平国家主席夫妻と昼食をとりながら会談した際、初代韓国統監を務めた伊藤博文元首相を暗殺した朝鮮半島出身の抗日運動家、安重根(アンジュングン)の記念碑を、暗殺現場の中国黒竜江省ハルビン駅に設置するための協力を要請したといいます。

 朴氏にいわせると、安重根は、「韓中両国民にとって尊敬すべき歴史的人物だ」

 習氏は「前日(27)の首脳会談は成果に富み、双方は多くの共通認識に達した」と強調。安重根に関する朴氏の主張に同意したかは不明ですが、「関係部署に(記念碑設置を)検討するよう指示する」と答えたといいます。
 06年には、韓国人企業家らが同駅近くの広場に安重根の銅像を設置。10日後、中国当局に撤去されたことがありました。中国の最高指導者が2日続けて会談を行うのは異例の歓待といえ、習氏と朴氏が対日強硬姿勢を通じて結束を深めた可能性も否定できないとも書かれていますが、もし安重根の碑の設置を中国が認めるようであれば、日本も付き合いを考えねばならないでしょう。朝鮮半島の発展のために、尽力したにもかかわらず、殺された伊藤博文の銅像を建てるというのであれば、まだしも犯罪者の銅像を建てるというのは、韓国の大統領もおかしくなったものです。付き合い方を考えねばならないようです。          

2013年8月22日木曜日

養子輸出大国の韓国

 今日の韓国は、「世界15位の経済大国」というそうです。
 ところが、室谷克実氏によると、10002000人の赤ん坊や幼児が、毎年、海外に養子に出されているそうです。
 朝鮮戦争が終わったころは万単位で出ており、2007年までの累計は16万人にも達するといいます(中央日報071220)。「最も多いのはシングルマザー(未婚の母)の子どもで、87%を占める。残る13%は親の離婚などで養育が困難になった子供たちだ。また、障害のある子供が全体の20%を占めている」そうです。

 実際には、養子ブローカーが介在しており、ブローカーは子供の親にいくばくかの金を払うようです。そして養子にするという外国人から、何倍かの手数料を取ります。実体は「赤ん坊、障害をもった児童の輸出」なのであると室谷氏は断じています。

 12年中に米国に養子として入国した児童は中国が最も多く2500人ほどで、韓国は800人弱で4位だったそうです。中国は「1人っ子政策」があり、人口そのものが韓国の30倍規模ですから、実質的には、韓国が依然として「世界に冠たる養子輸出大国」であることは間違いないといいます。

 韓国に、海外養子に出された少年少女の碑があるだろうかと室谷氏は問うています。

2013年8月21日水曜日

韓国人は中国が好きか?

  産経新聞のソウル駐在特別記者の黒田勝弘氏の「から(韓)くに便り」に書かれていたものである。
  ソウルの観光名所の1つである東大門市場から遠くない、東大門のすぐ先の大通りが最近、チャイナ・ストリートの雰囲気になっている。漢字排除の韓国では珍しく、でっかい漢字の看板を出した中国人(朝鮮族)の焼き肉店が軒を並べている。

 店の名前を「京城羊肉串」という。「京城」は日本統治時代のソウルの名前である。戦後(韓国でいいう解放後)はシャクに障る名前として排斥された。今や死語に近い。

 店はその「京城」を堂々と使っているので実にほほえましい。

 首都ソウルの名前は李朝時代は「漢城」といった。いかにも中国の影響を思わせる。これが日本統治の前まで続いた。戦後は漢字では書けない純韓国語の「ソウル」になったため、中国は漢字表記に困り李朝時代の「漢城」をそのまま使ってきた。

 これに韓国は不満で1992年の国交正常化以降、直すよう要求し続け、つい数年前に韓国が希望する「ソウル」の発音に近い漢字をあてはめた「首尓」に変更された。今ソウル市内の道路標示や観光案内はすべて「首尓」になっている。

 「首尓」は漢字としてはまったく意味をもたない。中国人記者に「首尓」について感想を聞いたことがあるが、「発音だけの漢字名は辺境民族を意味するんですがねえ」と苦笑していた。「哈爾浜(ハルビン)」や「烏魯木斉(ウルムチ)」と同じというわけだ。

 中国人からすると「中華文明」に浴しない格下げの名前という。その意味では、「東京」が首都で漢字大好きの日本は、中国から見れば実にかわいく見え、かつ文明的ということになる。

 歴史的、地理的に韓国は日本よりはるかに中国に気を使わなければならない環境にある。それを見越して、「これからは中国だ」と、日本語に代わって中国語を目指す韓国人が増えている。

 ただ韓国での生活体験からすると韓国人は中国にそれほど親近感はない。中国にとってもあの中国文化の象徴である漢字を捨ててしまった韓国はかわいくないに違いない。

2013年8月20日火曜日

一知半解の安倍首相

 以下は、高野孟氏の日刊ゲンダイの「永田町の裏を読む」から拾ったものです。
 安倍晋三首相は、「中央公論」7月号の田原総一朗インタビューで、集団的自衛権の見直しに触れ、こう語った。
 「例えば公海上で日本の船を警護するためにいる米艦船に対して、ミサイルが飛んできた。近くにいた日本のイージス艦がそれを察知し、撃ち落とす能力も持っていた。見過ごせば何百人もの米兵が死ぬ。そうなれば、日米安保体制は『終わりの始まり』になるでしょう」

 これを読むと、この人が相変わらずの一知半解でデマゴギーを振りまいているだけだ。

 第1に、米艦船と近くにいる日本のイージス艦が公海上で日本の船舶を警護しているというのは、すでに相当緊迫した事態であって、当然、巡洋艦にせよ駆逐艦にせよイージスシステムを搭載しているに違いない米艦船は最大限の警戒態勢にある。

 その時に米艦船が気付かないミサイル攻撃を日本だけが気付くという間抜けなことは、まずあり得ない。しかも、日本のイージス艦はすでにデータリンクされているから、探知情報は直ちに共有される。

 第2に、イージスシステムは四方に向けたレーダーで全周450キロ以内の200の目標を探知し、それをコンピューターで瞬時に解析して複数の目標の脅威度を判定して迎撃の優先目標と手段を選択し、1018の目標に同時にミサイルなどを発射するプロセスを半自動・全自動で処理する。米艦が気付かないのを日本が察知し、「こちらで撃ち落としましょうか」などと電話で問い合わせる暇はない。

 第3に、日米の艦船は同じ作戦区域内で共同作戦に当たっているのだから、同時に攻撃されている。その時、日本艦はすでに自衛のために瞬時にイージスシステムを発動していて、これは自分に向かっているから撃ち落とす、これは米艦に向かっているから撃ち落とさないというような振り分けをすることは技術的に不可能である。その公海上での日米共同作戦が妥当かつ合法的な(つまり侵略ないし武力威嚇に当たらない)ものであったと仮定して、その時に日本艦が個別的自衛権を発動してミサイル攻撃を撃退しようとすれば、おのずと米艦の助けにもなる。つまり、集団的自衛権を法的に解禁しなければならない理由はどこにもないのだ。

 安倍は何をどう理解し、何が言いたいのか。サッパリわからない。

2013年8月19日月曜日

アマゾンは日本で税金を払わず

 「Amazon.co.jpが販売する電子書籍などには、消費税は課税されません」
  現在の国際課税原則では、電子データを国内のサーバーから配信すると消費税の課税対象ですが、海外企業には納税義務がありません。電子データを海外から送れば課税対象から外れます。法人税も同様です。海外企業の課税では、国内に支店や事業所などの恒久的施設(PE)を持つ外国企業にしか課税できない「PE原則」があるわけです。

 アマゾンが公表した201212月期の日本での売上高は前期比18%増の78億ドル(7700億円)。だが米国法人が通販事業で上げる利益に日本の税務当局は手出しできないことになっています。

 千葉県市川市。首都高速道を降りてすぐの臨界工業地帯に、アマゾンの巨大物流施設が姿を現します。国税庁は数年前、この施設が米国法人の一部機能を備えた事実上のPEに当たるとして、140億円に上る法人税の追徴課税処分を下しました。だが、アマゾン側は、同施設はPEに当たらない「倉庫」と主張。日米税務当局の協議の末に、日本側の主張は退けられました。

 先進34カ国でつくる経済協力開発機構(OECD)は、国境を超える電子商取引に限ってPE原則を見直し、売上高や雇用者数に応じて課税する案を検討中といいます。だが、強制力がない指針になる見通しのようです。

 日本の法人税の実効税率は約38%と米国に次ぐ高さです。「税率が高すぎて海外のライバルと戦えない」。ある国内大手ネット企業はデータセンター機能の海外移転を検討しているといいます。

 「電子空間で生まれる富が増え、研究開発など企業の資産の無形化も進む。旧来型の産業しか納税しなくなるかもしれない」。

 危機感をもって対処すべきでしょう。

2013年8月18日日曜日

ドイツの不具合な風力発電

 再生可能エネルギー普及の手本として真っ先に名前が挙がるのがドイツです。まさに優等生に見えます。ドイツの2010年の電源構成を見ると再生可能エネルギーが16.6%でした。内訳は風力が36%、バイオマス28%、水力20%と続きます。日本の場合は約1.2%にとどまっています。ドイツでは風力発電の存在が大きいことが明らかです。11年の出力は2907万キロワットに達します。日本は250万キロワット(日本風力発電協会まとめ)だから1/10以下です。

 風力発電設備の多くは北東部に偏在し、需要の多い南部に送電しています。ところが送電網の容量不足で、風の強い日は余剰電力が隣国のチェコやポーランドに流れ込み、先方の送電網に悪影響を及ぼすそうです。「困った両国は移相変圧器という装置を導入して流入を防ぐ計画」と海外電力調査会の伊勢公人上席研究員は語っています(7月30日の日経新聞)。

 ドイツが自国内で電気を使い切るには南部への送電網増強しかありませんが、環境破壊を理由に反対されており送電鉄塔を新設できません。行き場を失った電気で系統が不安定になるのを避けるために風力発電の停止案まで浮上しているといいます。

 風力発電が増えると、無風のときに肩代わりできる同出力の火力発電所が必要になります。しかし風力が増えるとその分だけ普段の火力の稼働日数は減ります。不採算の火力は、担い手探しが難しくなるというわけです。再生可能エネルギーを推進する層は送電網増強に反対し、結局は風力の出力抑制を招きます。こうした矛盾は「再生可能エネルギーの電源構成比が20%に近づくと表面化する」と伊勢上席研究員は語ります。いずれにしろ、再生可能エネルギーを使うのもなかなか難儀です。

2013年8月17日土曜日

消費税増税見送りで株価は下がるか?

 元内閣参事官の高橋洋一によると、7月下旬、株価が下落し、円高になる場面があったが、これについて「消費税増税に対する慎重論が誘発している」という記事を見た。説明が正しいのであれば「対称性の原則」を満たすはずだ。それは、原因が逆の動きの時には、株価は逆の動きになるはずという原則だ。消費税増税に対する慎重論は出ているから株価が下がるというのであれば、逆に消費税増税に対する積極論が出たときに株価は上がるはすだ。

 消費税増税への積極論でいえば、消費税増税法案が国会で成立した昨年810日や、同法案が国会提出された330日の株価は高くなっていいはずだ。消費税増税の国会審議中も株高になるだろう。だが実際には、810日の日経平均株価は889144銭で前日比8716銭安。330日は1008356銭で3123銭安だった。国会審議中の4カ月間で、平均株価は1192円も安くなっている。

 為替をみても、国会審議中を通じて454銭の円高となっている。

 こうした事実から見ると、増税慎重論が株安、円高になっているという議論は対称性原則を満たしていないことから、かなり眉唾であると高橋氏は明快です。

 こうした発言をするのがどういう市場関係者かといえば、アベノミクスの効果を見誤った人か、財務所の応援団であろうと高橋氏の指摘は、正鵠を捉えています。消費税増税派のひとは、高橋氏に議論を臨んでほしいものです。

2013年8月16日金曜日

認知症高齢者462万人

 65歳以上の高齢者のうち、認知症の人は推計で15%ほどおり、平成24年時点で約462万人に上ることが51日、厚生労働省研究班(代表者・朝田隆筑波大教授)の調査で分かりました。認知症になる可能性がある軽度認知障害(MCI)の高齢者も約400万人いると推計され、65歳以上の4人に1人が認知症とその“予備軍”となる計算になります。

調査は、5386人分のデータを分析したところ、22年時点では約439万人となり、うち在宅有病者数は約270万人、その中で独居者は約43万人と分析しました。

 有病率は、年代別にみると、74歳までは10%以下ですが、85歳以上では40%超となるといいます。ほとんどの年代で女性の方が男性より高かったといいます。それだけ、男性のほうが早く亡くなっているのでしょう。

2013年8月15日木曜日

安倍政権の戦前回帰政策

 高橋乗宣氏によると、日本経済を再生し、国民の暮らしを上向かせるためのシナリオが安部政権はメチャクチャなのであると断じています。「異次元の緩和」「アベノミクス」「3本の矢」「成長戦略」などと、調子のいい言葉がいろいろと踊っていますが。

政府は、日銀に大量の国債を買い取らせてカネをつくり、公共投資と企業向けの減税に振り向けようとしています。財政をユルユルにして経済を立ち直らせようという考えです。その一方で、財政規律に目を配り、福祉や社会保障の制度を見直すとしていますが、いったい、緩めるのか締めるのか、どっちを目指すのか。カネ余り状態の企業に向けて、設備投資減税をやるというのも矛盾しています。思いつき、行き当たりばったりの政策がゴロゴロあり、政策の一体感がないのだと高橋氏は言います。

「結局、安倍政権がやっているのは、日銀に国債を買わせ、使えるカネを捻出するということだけ。かつて日本は戦費の調達のために国債を日銀に引き受けさせた。当時と同じだ。安倍首相は日本に軍隊をつくり、戦争ができる国家に変えようとしているらしい。少なくとも経済政策は戦前に回帰している」と恐い話になって来ています。

2013年8月14日水曜日

中国リコノミクスの失敗?

  日刊ゲンダイの北京特約記者の李大音氏によれば、中国の李克強首相は、安部首相に対抗して、リコノミクスを始めたそうです。
  中国株の目安となるのは、日経平均株価に相当する上海総合株価指数(上証指数)です。82日の週末の上証指数の終値は2029ポイントと、2007年に6429ポイントもあったのがウソのように下がっています。

 中国の「股民(個人投資家)」たちは、口を開くと「跌跌不休(ディエディエブーシウ)」(株価が落ち続けて休むことがない)とぼやいています。本当は「喋喋不休(おしゃべりがやむことがない)」という四字熟語なのですが、発音が同じところからつくった造語だそうです。

 625日には、上証指数が、悪夢の1849ポイントまで下落しました。上海の投資家の間では、「アヘン戦争の再来だ」と相当騒がれたようです。李大音氏によると、もはや、習近平、李克強には任せておけないと言っているようです。

2013年8月13日火曜日

老化は治せる(14)

 アスピリンなど痛み止めを服用している関節リウマチの患者さんには、アルツハイマー病が少ないのです。どうやら、アルツハイマー病にも消炎鎮痛剤は効くのではないか。アルツハイマー病の患者を調べてみますと、脳のなかにアルミロイドβという物質が沈着しているのがわかります。これは、酵素でも分解しにくい不溶性物質です。
 
 脳の酵素で分解されなかったアミロイドβは、黒っぽいシミのようになって脳内にたくさん観察されます。
老化は、一面このように不溶性(からだの中では、不溶性ということ)のゴミが蓄積した結果で起きるとも言えるでしょう。ゴミが細胞活動を阻害したり、毒として作用したりすると、そこに炎症が起こります。
このアミロイドβが周囲に炎症を引き起こし、その炎症反応がさらにより多くのアミロイドβを沈着させるという悪循環が起きてしまいます。

この動脈硬化は慢性炎症によって引き起こされる典型的な病気です。動脈硬化が原因で起こる病気はいくつもありますが、それらに対してもアスピリンの効果が期待できそうです。
内臓脂肪は、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病に深く関わります。糖尿病は、過剰なカロリー摂取によって内臓にたまった脂肪細胞が炎症を起こし、それが原因で悪化する病気であることがはっきりしてきました。


糖尿病でもっとも恐れられている失明の予防薬としても、アスピリンが効果的である可能性が出てきました。現在、成人の失明の主な原因として挙げられるのが、糖尿病と緑内障なのです。アスピリンは(糖尿病の合併症による)失明の予防薬としても将来的には眼科医から処方されることがありそうです。

2013年8月12日月曜日

老化は治せる(13)

 現在、心筋梗塞の既往者に対し、再発を防ぐため「バイアスピリン」が処方されます。
 「1錠で効くものであれば、2錠飲むと、効果は2倍とはいかなくても、1錠のときよりもっとよく効く」と多くの人は考えがちです。
通常量の2倍服用すると、副作用は確実に増加するのですが、肝心の効果はほとんど変わらない、というのが大部分の薬に当てはまることなのです。さらに、効果が逆に低下してしまう薬も少なくありません。
必要量以上の薬は、無駄どころか、かえって悪影響を及ぼす可能性があります。必要のない薬のほとんどは肝臓によって解毒され、からだの外に排出されることになります。

常用量の3分の1程度のアスピリンを服用すると、うまい具合に、血小板の血栓生産機能を抑え、さらに、血管への血栓付着作用も阻害することができるのです。医療現場で少量のアスピリンが動脈硬化の予防薬(バイアスピリンやバファリン配合錠A81という薬品名)と言われるのは、こういった事情があるからなのです。これに、悪玉コレステロールや中性脂肪の治療薬と併用すれば、動脈硬化対策にはもっと有効だと見なれているのです。

アスピリンの飲みすぎには注意が必要です。アスピリンを飲みすぎると血栓症の予防どころか、胃潰瘍になるのがオチです。アスピリンを処方されている方が、アルコールやイチョウエキス、ニンニクエキス、ビタミンEなどほかのサプリンメントと併用すると、血が止まりにくくなり、危険です。
タバコやほかの種類の消炎鎮痛剤と一緒に服用すると、抗血栓作用が落ちます。欧米の疫学調査から大腸ポリープや大腸ガンの予防にアスピリンが有望視されるようになりました。日本ではいまだ保険が適用されておらず、ガンの予防的治療にアスピリンを処方するときには自費負担となっています。

2010年12月にイギリスの権威ある医学誌「The Lancet」に載った報告が注目を集めました。大腸ガンにとどまらず、前立腺ガン、咽喉ガン、肺ガンなどのガン予防に毎日一定量のアスピリンを内服することが有効だというのです。アスピリンがガン予防に対して効果があるのではないかという見方は、翻すとガンもまた炎症が引き起こす病気であると推論されるからです。

肝炎ウィルスにより発病する肝臓ガン。ヘリコバクター・ピロリ菌の感染によって起こる胃がん。これらは、ガン発症の下地になる組織にウィルスや細菌が炎症を起こすことで発病することがわかったのです。

2013年8月11日日曜日

老化は治せる(12)

   酸化した油を体内に取り込むと炎症が起きやすくなります。酸化した油は免疫システムから異物と認められ、攻撃の対象となるからです。血液に取り込まれた活性酸素がLDL-コレステロールを酸化LDL-コレステロールへと変性させるのです。

発生した酸化LDL-コレステロールは、免疫システムからゴミや毒として認識されるので、ゴミ掃除をするマクロファージの出番となります。マクロファージは酸化LDL- コレステロールを貪食します。脂肪をお腹いっぱいにため込んだマクロファージは、酸化LDL-コレステロールを消化する過程で、炎症を引き起こすタンパク質を多量に周囲にまき散らします。そればかりでなく、脂肪をため込んで変性したマクロファージ自体が、泡沫細胞に変化して血管の壁に付着します。
この泡沫細胞を貪食し、処理しようと、またほかのマクロファージが集まってきます。やがてその場所に脂肪細胞の固まりができてきます。明らかに慢性的な炎症の発症です。こんどは、その部分に血小板を呼び寄せるタンパク質が生産されるため血小板がどんどん引き寄せられてきます。血小板は血液を凝固させる役割があります。そして、ついに血栓となって動脈の内腔を狭くします。
これをもって動脈硬化症の完成です。さらに血栓が大きくなると、血管が詰まってしまい重大な事態を招くわけです。
「少量のアスピリン」は血小板の凝集を抑えることが明らかにされました。血栓ができにくくなるのです。ここでも、アスピリンの炎症抑制の効果がはっきりとしたのです。逆節的ですが、アスピリンは動脈硬化もまた炎症の1つであることを示したのです。

2013年8月10日土曜日

老化は治せる(11)

  しかし、時を経るにつれ新薬には難しい問題が生じてきました。
  アメリカで、米国メルク社から発売されたバイオックスを服用しはじめた人のなかから、心筋梗塞で死亡する患者が続出したのです。米国メルク社は、2004年にバイオックスの発売を中止して、原因究明をはじめました。同時に数多くの訴訟が起こされ、米国メルク社は、最終的に50億ドルもの和解金を支払う羽目になったそうです。
心筋梗塞は、むかしもいまもアメリカ人の死亡の第一原因となっています。
1970年代はじめから、アスピリンを常用している人の心筋梗塞になる確率が、常用していない人に比べてずいぶん低いことも、欧米の医療関係者の間では経験的な事実として知られていたのです。
少量のアスピリンの常用は男性ばかりか、女性でも心筋梗塞の予防に役立つことがデータから読みとれたのです。この「少量の」アスピリンが話の“みそ”です。
広く調査が行われた結果、脳血栓症の予防にも少量のアスピリンが有効であることが世界各地から次々と報告されてきたのです。
この結果を受けて、現在、世界中の医療現場で脳梗塞の予防、再発防止のために少量のアスピリンが処方されています。血液中の脂肪は、HDL-コレステロール(俗にいう善玉コレステロール)とLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)、さらに中性脂肪の三種類に分類されます。この悪玉と呼ばれるLDL-コレステロールや中性脂肪が、動脈硬化をもたらすのです。

2013年8月9日金曜日

老化は治せる(10)

 前立腺を「Prostate gland」と言いますが、「前立腺から出てくる物質」という意味でプロスタグランジンと名づけられたのです。発見から数十年経った20世紀後半になって、前立腺や精液にしかないと思われていたプロスタグランジンが、人体のほとんどの組織に存在することが確認されました。   プロスタグランジンは炎症の起きた組織で急増することもわかりました。つまり、この物質は炎症と密接な関係があるに違いないと考えられたのです。
 この関係を明らかにしたイギリスの薬理学者ジョン・ベインは、スウェーデンのベンクト・サムエルソンやスネ・カール・ベリストロームとともに、1982年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

炎症が起きている場所で、なぜプロスタグランジンが大量に生成されているのか。
アスピリンが痛みや炎症に効くのは、プロスタグランジンの生成を抑える効力があったからなのです。シクロオキシゲナーゼ1は、とくに胃粘膜や腎臓にたくさんあって、胃粘膜の保護や、腎臓の機能を調整する大切な作用を担っていることも明らかになったのです。
シクロオキシゲナーゼ1によって合成されるプロスタグランジンは、ふだんは、胃粘膜の表面を覆う粘液中に非常に多く存在しています。これには、胃液にふくまれる塩酸や消化液から胃粘膜を守る重要な作用があり、胃の局所ホルモンと呼ばれています。いわばシクロオキシゲナーゼ1は、善玉的な役割がある酵素といえます。シクロオキシゲナーゼ2のほうは、炎症や痛み、発熱などのからだの緊急時に、プロスタグランジンの生合成を過剰に促す働きがあります。シクロオキシゲナーゼ2は悪玉的な働きをすることになります。シクロオキシゲナーゼは「1」と「2」で、役割がまるで正反対であることがわかりました。

「善玉」のシクロオキシゲナーゼ1は胃粘膜や腎臓の組織にたくさん分布しているので、これをやっつけてしまうと、当然のように胃腸障害や腎臓障害などの副作用を引き起こしかねません。それでは、この「1」は攻撃しないで、悪玉たる「2」だけをピンポイント攻撃できないか。
痛みが発生しているところだけを、つまり炎症が起きている組織で活性化するシクロオキシゲナーゼ2だけをターゲットにすれば、痛みを抑えることが可能だとする、まことに望ましい実験結果が基礎研究で得られたのです。最初のコックス2阻害薬は、アメリカの製薬会社ファイザーで製品化されます。

夢の抗炎症剤という触れ込みで、通称「スーパーアスピリン」と呼ばれ、アスピリンに代わって、あっという間に消炎鎮痛剤の売り上げで世界一を記録することになりました。

2013年8月8日木曜日

老化は治せる(9)

 脂肪というと、真っ白な塊を思い浮かべます。これは「白色脂肪」と呼ばれるものです。白色脂肪は、エネルギーを貯蔵する石油タンクの役割とともに、外界から受ける刺激を和らげるクッションの役目も果たしています。真っ白な皮下脂肪のなかに、やや褐色がかった部分がありますが、これを「褐色細胞」と呼んでいます。褐色細胞はからだの体温調節の機能を担っており、褐色細胞を活性化させるなんらかの方法があれば、脂肪の量が減り、メタボ撃退に役立つということになります。
 唐辛子の辛みの主成分であるカプサイシンというアルカロイド(天然の有機化合物)は、交感神経を活性化し、有効な肥満治療薬のひとつになると期待されています。

 活性酸素を産出するのは、ミトコンドリアの仕事の一部です。
競争がほとんど見られなくなった現代の社会では、生命維持のためにさほどエネルギーを必要としないのです。過剰なエネルギー摂取とエネルギー消費の低下は、メタボリックシンドロームのような慢性炎症を起こし、わたしたちを死へと誘います。体内での過剰なエネルギー生産は、飽食と快楽を貪っている人類を死滅させる危険性があるといわれています。
 こどもの頃、外敵からの攻撃をうけ過ぎると、免疫システムはほどなくダメージを受けて弱ってしまいます。
 出生時体重が低いほど、つまり、未熟児で生まれた小児ほど肥満や心臓病、糖尿病などの生活習慣病にかかりやすくなり、老化が早まる可能性があることが分かって来ました。
小児期に重症の感染症に罹ると、大人になってから生活習慣病になりやすくなり、寿命も短くなる傾向があるとされています。
 その逆に、最近、世界中で長寿者が激増しているのは、母体が保護されるようになったことと、こども時代の重症の炎症が減っているからだともいわれています。


2013年8月7日水曜日

老化は治せる(8)

 ここで問題になるのは、内臓脂肪の蓄積が多くの病気を引き起こす元凶である点です。

 内臓の周囲にたまった脂肪細胞は、動脈硬化症、糖尿病をはじめ、多くの生活習慣病を引き起こします。炎症は、脂肪細胞が「炎症誘発性タンパク質」をたくさん生産し、血液を介して体中にばらまくために起こります。

 慢性炎症を起こす炎症誘発性タンパク質の正体は、「TNFα」や「PAI-1」などといったタンパク質です。もともとはガン細胞を壊死させる作用(つまり、ガン細胞を殺す作用)があることから命名されました。末期のガン患者が、がりがりにやせ細ってしまうことがよく見受けられます。「なぜやせ細ってしまうのか」という疑問がきっかけとなって、その原因物質を追求した結果、このタンパク質に突き当たったのです。

 懸命にガンをやっつけようと過剰に生産されたTNFαは、一方で、蓄積された脂肪や筋肉などをゆっくりと燃やして溶かします。燃やすということは、炎症です。つまり、TNFαが弱い炎症を引き起こしているわけです。弱い炎症によって脂肪や筋肉が溶けていくために、患者はガンの末期になると、次第にやせ細ってしまうのです。

 関節リウマチの治療では、このTNFαをブロックする治療が行われるようになっています。
 
 アディポネクチンというタンパク質は、糖尿病を防ぐ作用があり、ヒトの体内に広範囲に存在しています。アディポネクチンは、実のところ、内臓の脂肪細胞そのものが生産しているのです。つまり、適量に抑えられていれば、からだにとって脂肪細胞は必要な細胞だと言えるのです。アディポネクチンの濃度が高いほど、善玉コレステロールの濃度も高いというデータがあります。

 最新の研究では、悪玉とされる炎症誘発性タンパク質を抑える役割のある免疫細胞の1つ、「T細胞」が、脂肪組織のなかに共存していることが判明しました。

 老化にともなって、免疫細胞の働きがうまくいかなくなると、悪玉タンパク質が増え、善玉タンパク質が減ると見られるのです。

 

2013年8月6日火曜日

老化は治せる(7)

 老化について、プログラム説が有力になってきた原因の1つは、アポトーシス遺伝子の仕組みが明らかになったことが挙げられます。アポトーシスとは、ある細胞が老化した場合にその細胞が自殺する現象をいいます。遺伝子の異常によって老化が極端に早く進む早老症がいくつもあることがわかってきました。また早老症遺伝子も複数発見されて、プログラム説は勢いを得ました。

 こうした動きに一石を投じたのが、「老化は、自然炎症をはじめとする炎症という病気が深く関わっている」という新しい知見です。

 生まれたときから次の世代へバトンタッチをするまでの前半生は、キッチリと遺伝子よってプログラムされています。つまり、種の存続や繁栄に必須な性成熟までは、遺伝子情報に従って順々に進んでいきます。そして、時間経過とともに確実に起きている自然炎症に加え、性成熟以降、偶発的に起きる急性、慢性の炎症によってからだが傷害を受けます。さらに、傷害を修復する機能が次第に衰えていきますので、炎症が起き、老化が促進されます。その結果、生活習慣病や老人病になって、老化が促進され、やがて生命を終えることになります。

 肥満は脂肪細胞の増加・蓄積が原因で起こります。この脂肪細胞ができるときに働いているのが活性酸素です。活性酸素は、通常の酸素分子(O2)がわずかに変化した分子ですが、通常の酸素に比べて化学反応が非常に起こりやすい性質があって、過酸化脂質の生成に関わります。

 脂肪の粒(脂肪滴)が皮下にある細胞に多量にたまれば皮下脂肪となり、内臓や腹腔の細胞のなかに蓄積されれば、内臓脂肪と呼ばれます。メタボリックシンドロームは、正確な内容に沿って訳せば、「内臓脂肪症候群」という病名になります。

2013年8月5日月曜日

老化は治せる(6)

 ストレスを受けると、わたしたちのからだは生物学的な反応を引き起こします。その反応の原因となるものをストレッサ―と呼んでいます。ストレス反応は、ストレスによって細胞のなかにさまざまな物質が生じることを指しています。その代表的な物質が「ストレスタンパク質」と呼ばれる分子の一種なのです。ストレスタンパク質の発見が、老化学をさらに進展させることになりました。

 非常に弱い、あるいは弱いストレスが自然炎症を引き起こします。この炎症は、生体が性成熟するまでの間、からだにはよい刺激を与えます。つまり、弱いストレスは成長段階ではプラスに作用するのではないかと考えられています。

 強いストレスを受けた細胞はストレスタンパク質を過剰に発生させ、細胞自体を傷つけた結果、その細胞が自殺します。この場合、自殺した細胞から放出された物質や、死滅した細胞自体の処理過程で急性炎症あるいは慢性炎症を引き起こす原因になることがあります。

 強いストレスを受けることなく一生を終えられるヒトはいません。歳を経るうちに強いストレスを受けつづけていくと、老化が促進されることになります。

 

 老化理論には大きく二つの学説がありました。

 その学説の1つは、「擦れ切れ・エラー説」と名付けられています。すべての生物が、時間とともに自然に歳をとり、老いぼれ、壊れ、死んでいくのであって、老化を積極的に推進する仕組みはない、というものです。

 もう一方の学説は、比較的新しい「プログラム説」です。老化という自己破壊過程も、遺伝子にキッチリと整然とプログラムされた衰退の過程だというのです。

 「なぜ、老化という自己瓦解の不利なことまでも遺伝子にプログラムされているのですか?」という質問に対し、プログラム説をとる学者は、「世代交代を容易にし、種の繁栄継続に有利であるため、積極的に採用された方法だから」と答えるはずです。

2013年8月4日日曜日

老化は治せる(5)

 成長期までは身体を形成するのに役立った非常に弱い炎症である自然炎症に加えて、それ以外の炎症、つまり病気を引き起こすような急性炎症や慢性炎症、さらに弱い炎症が加わって、ヒトのからだを傷つけるエネルギー量が増え、歳を重ねるにしたがって、急速に老化現象が加速することになります。これが、老化の仕組みなのです。

 すなわち、老化は自然炎症と弱い炎症、慢性炎症、急性炎症といった四種類の炎症によって進行すると考えられます。このうち、自然炎症は止められませんが、急性炎症、慢性炎症、弱い炎症は病気ですから、止めることが可能なわけです。老化は炎症によって起こります。炎症はあきらかに病気ですから、老化も病気であるという数式が成り立ちます。

 わたしたちのからだは、「ホメオスタシス(恒常性の維持)」という仕組みによって、どのような過酷な状況になっても、体温はいつも3637度、血液は化学的には弱アルカリ性に保たれています。

 不都合な出来事は、からだのなかで常時起きています。できそこないのタンパク質や過剰な脂肪、糖質などの発生にともなう処理の失敗が蓄積されると、次にはガン細胞が発生し、からだの内外からやってくるいわゆるストレスが、自然炎症のもとになります。

 システムが自己防衛という機能を発揮する過程で、副作用として自然炎症を発生させるのです。

 通常、免疫システムのパトロール隊である「ナチュラルキラー細胞」や「T細胞」は、組織に発生したガン細胞やストレスを受けている細胞を速やかに攻撃・処理します。しかし、免疫システムは、ヒトにもっとも古くから備わった「細胞の内部でのエネルギー発生システム」を抑えることはできません。

 細胞のなかにまで免疫システムが及ばないということが、自然炎症の原因の1つと考えられるのです。

 ヒトの場合、それがストレスとも大いに関わっていると考えられるからです。

2013年8月3日土曜日

老化は治せる(4)

 新しい炎症の概念を、最近「自然炎症」と呼ぶ研究者が増えてきたそうです。自然炎症は、「おぎゃー」と生まれた瞬間から、死ぬときまで、まったく健康なときでも四六時中起きていて、だれも異常とは感じません。この炎症は、生きている限り、どうしても避けられない現象なのです。むしろ、ヒトに必要な炎症と言い換えたほうがいいかもしれません。

 そもそも生命活動とは、「体内になにかを取り込んで必要なものに変えていくこと」、すなわち「代謝」が基本です。炎症は基本的に発熱現象ですから、炎症がエネルギーの供給源であるとも言えるわけです。エネルギーを燃やすには酸素が必要なので、ここに酸化が生じます。つまり、炎症とは酸化であるとも言い換えられるのです。

成長段階に身体をつくるために必要であった膨大なエネルギーは、だいたい十代半ばに訪れる性成熟期の後には過剰になってしまいます。いわばエネルギーがメタボリック状態になってしまうわけです。ここが炎症と老化の関係を考えるうえで、大きなポイントとなります。老化は、過剰なエネルギーが自分自身に対し攻撃を加え始める時期からスタートすると考えられるのです。

 性成熟した後、ヒトの組織や内臓は、自然炎症によって生じる熱エネルギーと、食事などによって外から取り込まれる科学的・物理的エネルギー、さらには急性・慢性炎症によって産出される過剰な熱エネルギーによって、着実にむしばまれていくことがわかってきました。それらのからだをむしばむのが、老化そのものと言えるのです。

2013年8月2日金曜日

老化は治せる(3)

  後藤眞氏は、炎症には大きく分けて急性と慢性の二つがあるといいます。

 結核菌やヘリコバクター・ピロリ、あるいは肝炎、インフルエンザなどのウィルスが、感染症を起こす手ごわい外敵として流行しはじめました。

 「頭のいい」細菌やウィルスは、いつまでもわたしたちのからだのなかにとどまって、からだが弱くなるのを見計らって、組織に危害を加えつづけます。また、自分のからだの組成を四六時中変化させて、免疫組織から駆逐されないように逃げつづけます。重い感染症を引き起こす慢性炎症以外にも、歯周病(歯槽膿漏)、結膜炎、皮膚炎(水虫など)、痔ろうなど、あまり病気と意識されない軽微な慢性炎症もあります。
 
  急性炎症は症状が激しく現れますが、慢性炎症の症状は比較的ゆるやかです。
 
  急性炎症は生物に本来備わっている、原始的な自己防衛反応であり、慢性炎症には自己防衛反応は見られません。慢性炎症は、もっばら自分自身を傷つけ、自己破壊的悪循環の状態にあるケースを指すのです。
 
  自己免疫疾患はすべて慢性炎症がもたらす病気です。免疫システムが、なんらかの原因から自己と敵(非自己)の区別がつけられなくなってしまって、自分の組織の一部を攻撃し、延々と傷つけるという点がこの病気の特徴です。
 
  老化の仕組みを具体的に表現する言葉として、「inflamm-aiging(インフラメイジング。「炎症老化」と訳しています)という医学用語が登場してきました。「炎症(inflammation)」と「老化(aiging)」を掛け合わせた造語です。最近の研究から、老化現状が「非常に弱い炎症」と「弱い炎症」にも深く関わっていることがわかってきたのです。
  弱い炎症も気がつかないうちに起きている炎症の一種ですが、これは細胞のなかではなく、組織(細胞の集まりで、筋肉や皮膚、骨など)のある部分に起こります。

2013年8月1日木曜日

老化は治せる(2)

  「なぜ老化は病気であると言えるのか」、

「どのように老化を防ぐことができるのか、若返りが実現できるのか」

1979年に122歳で亡くなったフランス人女性のジャンヌ・カルマンさんは、出生記録の確認できる世界最高齢者として広く知られています。最近の厚生労働省の統計(2012年)では、日本における「百寿者」(100歳以上の長寿者をこのように呼びます)の人口は、5万人を超えました。

ヒトの場合、誕生の段階では最長120歳ぐらいまでの寿命と設定されており、寿命とは生物にあらかじめ備わった(プリインストールされた)固有の電池式時計のようなもので、電池が切れたときに寿命となるというわけです。

老化イコール炎症という新方程式

 「老化」という言葉から具体的にどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。見た目の劣えは当然として、体力や気力、感覚の衰え、内臓や骨格とか関節などいくつかの器官の深刻なトラブルを抱えるようになります。体のなかでトラブルを生じさせる病気としては、高血圧、脂質異常症などが原因で起こる動脈硬化症はその最たるもので、肥満、糖尿病やガン、認知症も現在の医学では生活習慣病として分類されています。

 炎症とはいったいどんな現象を見せる病気なのでしょうか。

 炎症は、その範囲はものすごく広いのです。アレルギーも、気管支、鼻の粘膜、眼の結膜などの炎症によって起きているのです。炎症なのかどうかの判断をする医学上の古典的な判断基準は、「赤になる」「熱くなる」「腫れる」「痛みが出る」―この4つの条件を備えている場合に、炎症という診断が下されるわけです。これを、「炎症の四主徴」と呼んでいます。

 タバコ好きは風邪を引きやすいと、よく言われます。愛煙家が咳き込んでいる場面にしばしば出会います。これは、タバコの刺激で気道や肺が常時刺激され、「慢性的な炎症」を起こしているためなのです。そのためウィルス感染しやすくなって、風邪をひきやすくなります。