2013年1月31日木曜日

藤巻健史の日本大沈没(16)

資産運用の大原則は、「強い国のリスク資産を買う」ことです。

日本が強かった1980年代には日本の不動産と株に投資し、1990年代から2000年代には強い米国の株や不動産に投資するのが原則で、それを実行した人がお金持ちになれました。

世界で一番強い国は、いまも米国だと思います。

なぜ米国が強いのか

米国が強いのは、まず第一に資本主義国家のリーダーだからです。

米国は市場原理が発達しているので、膿が大きくたまることはありません。これは大きな強みです。

2の理由として、財務大臣がプロ中のプロで、財政、金融や経済のコントロールに安心感があります。

米国金融機関では、商品について一番よく知っている人が、その部署のトップとなります。

3の理由は、株価自体が「米国は強い」と言っているからです。

「株価は6ヶ月先、1年先の景気を予測する」と言われますが、その米国株価自体が強いのです。

株価には、「景気を予想する以上の働き」があります。「株価自体が実体経済を押しあげたり押しさげたりする」のです。

日本のバブル時代のシーマ現象は有名です。

日産の当時の高級車シーマがバカ売れした話です。土地や株の価格が上がって、皆、お金持ちになったつもりになったから、軽自動車のかわりにシーマを買いました。シーマが売れているので、投資家はさらに日産の株を買い増す、という好循環が生まれました。これを「資産効果」と言います。

株価の上昇が消費を刺激し、それがさらに株価を押し上げた、という具合です。 

リーマン・ショックの1年前の2007年に史上最高値をつけた後、リーマン・ショックを受けて、一時、最高値の半額程度まで急落しました。

しかし、また上昇して、いまや史上最高値を再度狙おうという勢いなのです。

日本株の値段は情けないことに、米国の株価が史上最高値をつけた2007109日と比べても、その半分です。

2013年1月30日水曜日

藤巻健史の日本大沈没(15)

財政破綻に備えて、日本を脱出する必要はあるのか

不安を感じた個人が円高を好機とみて、自己資産を海外に移しているというひともいます。

海外に物理的に資産を移す人の不安は、だいたい次の2つといいます。

一つは「財政破綻の際、日本の金融機関が倒産してしまう可能性」であり、もう一つは「国の財政の補てんのために、国民の財産が没収されてしまう可能性」でした。

  しかし、財政が破綻しても、日本国が破綻するわけではありません。銀行は社会のインフラですから、すべての銀行がなくなってしまうことはありえません。

藤巻氏は、「資産を日本から脱出させて、外国金融機関の本店や支店に預けるなどの対策は必要ない」と言っています。また、資産を移すのもやり過ぎといっています。

海外の口座を開設すると、税金の問題などが出てきます。

せいぜい、「外貨建て資産に分散資産する」のか、「全部の資産を円のみにしておく」かの判断というわけです。

藤巻氏は、日本の金融機関が運用しているMMFと、海外の金融機関が運用しているMMFの両方を日本で購入しているということです。

国が莫大な借金を実質的にチャラにしなければならない状況に追い込まれている以上、いずれはハイパーインフレになるだろうと藤巻氏はみています。

そのうえで、外貨建て資産という保険を用意したうえでの、不動産購入が望ましいといいます。

1989年は日本のバブルが真っ盛りで、日経22512月に史上最高値の38915円をつけ、12月末は38753円でした。そのときのNYダウは2753ドルですから、23年後のいま、米国株はそのときの4.6倍にも上昇しています。

 一方、日本株は4分の1以下です。情けなや、です。

2013年1月29日火曜日

藤巻健史の日本大沈没(14)


「財政破綻リスク」が注目されて、日本国債の価値に疑いが出ると、国債で担保されている日銀券の価値が急落します。お金の価値が下がるということは、ものの値段が上げることですからインフレです。

また、日銀券とは日本のお金ですから、日本のお金である「円」が急落します。円の価値が下がれば、輸入品が値上がりします。

長期金利も当然上がります。長期金利が上昇するということは、「国が支払う金利」が急増するということで、さらに財政破綻の懸念が広がります。

藤巻氏は、結論としては、日本はハイパーインフレになるだろうと予測しています。

円資産しか持たない日本人はどうなるか

現金・預金はいまでこそ一番の安全資産と言われていますが、それは現金に価値があるデフレだからで、ハイパーインフレになると一番危ない資産になります。

1997年の韓国の通貨危機のときと同じように、社会が混乱すれば、企業もバタバタつぶれます。仕事がなくなり、保有している株の価値が大幅に下がる可能性があります。

藤巻氏は、「23割の確率でフジマキの言うことが起こるかもしれないな」と思うのでしたら、外貨建て資産の購入をお勧めしますと述べています。

万が一、財政破綻、またはハイパーインフレになったら、仕事から財産から将来の年金まですべて失います。国は助けてくれません。1ドル80円が300円、いや400円になれば、外貨建て資産は急勝しますから、保険として極めて有効です。

会社の倒産の場合は、雇用保険等で政府が助けてくれるでしょう。国の財政破綻の場合は、国自身が破産しまうのですから、助けを期待できません。ですから外貨建て資産の購入を保険として考えるべきなのです。

財政破綻の可能性のある国にいるのなら、「自分自身は日本から逃げなくても、財産の一部は逃がしておきましょう!」

2013年1月28日月曜日

藤巻健史の日本大沈没(13)

それでは、日本でどのようにハイパーインフレが起きるのでしょうか

「財政破綻が起きると政府はどうなるのでしょうか」


悪夢のシナリオ①――財政破綻編

日本の金融機関は、景気悪化で不必要になった融資向けのお金を、国債購入に振り向けてきました。

しかし、やりくりはもう限界です。国債入札で未達(国債が完売できないこと)が起きれば、財政破綻になる可能性が十分にあります。

国民が円預金を引き出し、外貨投資を一斉に始めると、銀行の円資金が不足します。ギリシャ人が現在ギリシャ国内の銀行から預金を引き出し、ドイツの銀行に預け換えたり、ドイツ国債を買ったりしていますが、それと同じ状況です。

こうなると銀行のお金がなくなりますから、銀行は国債入札に参加できないどころか、国債を売却しないと、円資金の引き出しに対応できなくなってしまう可能性があります。

国債未達のニュースが流れた瞬間に、「国債・株式・為替」市場は一巻の終わりなのです。


悪夢のシナリオ②--ハイパーインフレ編

お金がないなら、「日銀がお金を刷ってしまえ」というのが第二のシナリオです。

取りつけ騒ぎを収めるために、政府・日銀は2つの手を打つでしょう。

一つは、現在は財政法第5条で禁止されている「日銀の国債引き受け」です。

通常、国債入札は、民間の金融機関のみが参加しています。ですが、取りつけ騒ぎを回避するために、売れ残った分を日銀が引き受けるのです。その替わり金で、政府にお金ができれば、政府機能のシャットダウンは回避できます。

 
もう一つは、取りつけ騒ぎを収めるために金融機関の店頭にお金を並べ、ATMや店頭に並んでいる人たちに「お金はあるぞ!列の最後の人も預金はちゃんと引き出せるぞ」と示すことです。そのために日銀は、民間金融機関が保有している国債を買い取り、お金を民間金融機関に渡すのです。

ノーベル賞経済学者クルーグマンが「日本をインフレにするのは簡単だ。日銀がヘリコプターで紙幣を日本中にばらまけばいい」と発言したのは有名です。

 

2013年1月27日日曜日

藤巻健史の日本大沈没(12)


ここまで累積赤字がたまってしまうと、歳出カットや消費税上げだけでは、財政破綻を避けることはできません。累積赤字の急増を抑えることは不可能だからです。
となると、考えられる道は一つしかありません。

それは「大増税」です。
ハイパーインフレというのは、政策としては最悪の政策です。ものすごい逆進性(実質的な税の負担が、高所得者よりも低所得者にくること)があるからです。
 消費税を上げる際、逆進性が問題になります。しかし、消費税の逆進性など、ハイパーインフレに比べると可愛いものです。
汗水たらして10年間で100万円ためても、タクシー初乗りが100万円になれば、1回の乗車で貯金はパーです。預貯金をするしか財産のない低所得者層の人たちは、ものすごい貧乏になります。
ある程度、お金を持っている人たちは、株や土地、外貨などインフレ・ヘッジの効くもので運用できます。なんとかインフレに追いついていけます。所得が高くて株や不動産、外貨で運用できる人はダメージが小さくて、現金・預金しか持っていない低所得の人が、ものすごく貧乏になります。
 「逆進性が高いから消費税反対」などと言っていると、「とんでもなく逆進性の高いハイパーインフレの襲来となり、低所得の人たちは何十倍も苦しくなります。

税金とは言葉は悪いのですが、「国家が国民から富を奪うこと」です。
インフレとは「債務者が債権者の富を奪うこと」です。
日本最大の債務者は日本国です。債権者は国民です。インフレがくれば、国民から国に富が移行します。すなわち税金とまったく同じです。
ここまで累積赤字大きくなると、「インフレ税」を大幅に上げる、つまりハイパーインフレしか解決方法はないと藤巻氏はいいます。

ドイツで1923年の1年間に起きたパンの値段の推移をみますと、1月に250マルクだったパンが、12月には3990億マルクになっています。換算すると、タクシー初乗り780円が、1年後には約1兆円2000億円になったということです。
これが、ハイパーインフレというもので、社会生活は滅茶苦茶になります。それまで貯めた現金預金は実質パーになります。

2013年1月26日土曜日

藤巻健史の日本大沈没(11)


大増税時代は始まったばかり
 ここまで累積赤字がたまった状況で、日本が財政破綻を回避する道はあるのでしょうか。政府が無駄を省く努力はとても大事なことですが絶えず行なっていかねばなりません。
しかし、歳出カットと財政再建とを結びつけるのは間違いと藤巻氏はいいます。財政赤字の額と無駄遣いの額では桁が違うのです。無駄を省けば、財政再建ができるわけではありません。財政赤字がちょっと減るだけです。

歳出の中で一番大きいのは、社会保障費で、歳出の約4割です。
社会保障費は予算全体に対しては2325%であるが、一般歳出でみると40%前後(2005年予算、43.1%)の大きさです。
地方の財源となる地方交付税は、地方支出で高いウエイトを持つ「民生費」(地方の社会保障費)を支えています。
社会保障費が歳出の4割を占める以上、歳出カットは社会保障費を中心にしないと効果がありません。社会保障費というのは、財政学では「所得の再配分」と位置づけられています。「社会保障費カット」を「歳出カット」と言い換える評論家や政治家はずるいと思います。
ラフな計算をしますと、今年度の予算において歳出は90兆円ですから、その4割、約36兆円が社会保障費ということになります。防衛費や国家公務員の給料、その他の歳出の合計が54兆円ということです。

歳入は46兆円ですから、それで「その他の歳出54兆円」をまかないます。すると社会保障費の36兆円は、借金でまかなっていることになります。我々の社会保障は、すべてを子ども、孫、ひ孫からの借金に頼っているということです。現在、借金額が大きすぎて、我々の世代のうちに完済するのは無理なわけです。
社会保障費は「所得の再分配」だと言いました。「再分配」と言っても、現在は「富裕から貧者」への再分配ではなく、「未来世代から現代世代」への再分配をしていることなります。
経済を拡大して歳入を増やせないのなら、社会保障費をカットしなければなりません。そうでなければ、未来世代があまりにもかわいそうです。

「消費税を1%上げるごとに、国の歳入増加は2兆円と考えてよいか思います。2011年度の赤字は44兆円。2012年度の赤字も予算段階で44兆円ですから、それを黒字化するためには、44兆円÷2兆円で22%の消費税増税が必要になります。
現在、960兆円という借金があるわけですから、仮にそれを毎年10兆円ずつ96年間で完済しようとするとします。この10兆円を捻出するためには、さらに5%の消費増税が必要になります。ここまでで27%の増税、すなわち消費税は32%です。

960兆円も借金があると、すぐにではないにしろ、1%あたり9.6兆円の支払い金利増になります。
消費税の10%への上げでは、残念ながら「焼け石に水」だとうことです。消費税を10%にしても、960兆円の累積赤字はさらに増え続けていきます。

2013年1月25日金曜日

藤巻健史の日本大沈没(10)


「ものづくり日本」が沈没したのは、ひとえに為替のせいだと藤巻氏はいいます。これは、わたしも賛成です。
問題は、日本企業が韓国企業に負けた理由に、主として「マーケティング力の差」と捉えていることです。

人が生きていくためには、「働く」か「お金」に働いてもらうしかありません。日本企業が日本に戻ってくるためにも、そして外国企業に日本進出してもらうためにも、円安は極めて重要です。
円高とは「外国人が円を買っている」せいではなくて、「日本人が円を売って外国に投資しない」方が主因です。外国人が円を買っているのであれば、一部は銀行預金のままであるにしても、買った円で何かに投資しているはずです。

しかし、「日本の国債の91.7%を日本人が持っている」のならば、「外国人の日本国債への投資は少ない」ということです。
ヘッジファンドの報酬は、「預かり資産の2%程度の固定手数料と成功報酬」から成り立っています。ヘッジファンドの成功報酬は通常、「6ヶ月ものドル預金の金利より多い部分」を「儲け」と定義とするケースが多いのです。

いまでこそ米国もゼロ金利を採用していますが、以前はドルの6ヶ月金利はそこそこ高かったのです。その6ヶ月金利よりかなり低い国債等の円資産に投資したら、一種のハンディキャップレースになります。
そのハンディキャップ以上に為替で儲かるとかキャピタルゲインを稼げるとか、そういう自信がなければ、わざわざ資産を日本に振り向けるはずがありません。
多くの方が想像しているほど、外国人が日本に投資しているとは思えません。

2013年1月24日木曜日

日本が資源大国になる

   標題で、15日の日経新聞のエコノ探偵団に書かれていました。

JX日鉱日石エネルギーなど3社はミドリムシがつくる油の実用化に取り込んでいます。目標はジェット燃料。飛行機が二酸化炭素(CQ2)を出す一方、ミドリムシは光合成でCQ2を吸収するので、結果的に排出量を控えられるというわけです。20年度の技術完成を目指すといいます。

仙台市職員の柳津英敬は、「将来、下水の有機物を取り入れて石油系油をつくる従属栄養藻類と呼ばれる生物などを育てる考えです」と語っています。


一方。12年には、日本が経済権益を持つ水域(EEZ)で新たな海底資源の発見が相次いでいます。

東大教授の加藤泰浩教授らは、南鳥島沖の深海に大量のレアアース(希土類)を含む泥が堆積していると公表しました。埋蔵量は国内消費量の少なくとも約230年分と推定しています。

13月には地球科学総合研究所が長く調査に携わってきた新しい資源の産出実験が予定されています。「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレートです。都市ガスの主原料のメタンを水分子が閉じ込めている固体で、日本周辺の海底などに豊富に存在するといわれています。

世界の国の中で日本の面積は国土が60位くらいですが、EEZでは6位の『大国』です。

JAPIC0812月にまとめた海底資源の推定埋蔵量は①熱水鉱床の金、亜鉛などの原鉱石が75千万トン②コバルトリッチクラストのチタン、マンガンなどの原鉱石が24億トン③メタンハイドレートが126千億立方㍍でした。「回収可能な量と0507年の平均金属価格などから3大資源の価値は300兆円以上と推定できます」と明かにしました。


その後に見つかった南鳥島沖のレアアースなどを加えると、さらに多くの資源が近海に眠っているようです。

「原油など資源の国際価格上昇も最近の発見や研究につながっていますが、自給や輸出ができるほど大量のエネルギーや鉱物を産出するのはまだ夢物語です」海底資源は技術やコストが課題で、まだ商業化のメドが立っていません。

 埋蔵量を試算すると次のようになります。これらは、200812月まとめのJAPICの資料から作成されたものです。 

 早く商業化してくれればいいのにと思う反面、これだけの棚ボタの資源が商業化できても、いまの国の赤字は、この3倍以上あるわけですから、心してお金を使わねばならないと、つくづく思います。

2013年1月23日水曜日

日本企業は復活できる

 ビジョナリーカンパニーの著者であるジム・コリンズ氏が、日経ビジネスの114日号に標記の題で語っていました。

これによると、

1は、適材をバスに乗せ、適所に座らせ、「不適材」をバスから降ろす。おのずとバスの行き先は決まります。まず人選をしようというわけです。

機器に際しては、「戦略を変えよう」「製品を変えよう」「ブランドを変えよう」「技術を変えよう」などと思ってはいけません。最初にバスを見るべきです。厳格な能力主義によって、最高の人材をバスに乗せ、最適の席に座らせているかどうかチェックするのです。経営が傾いているとすれば、能力主義を貫いていない証拠です。

二流の人材を抱え続ける贅沢は許されません。最高格の「トリプルAプラス」の人材を選りすぐり、中核ポストを与えるのです。登山に際して最高の隊員を選んで登山隊を組むのがもっとも重要であるのと同じです。


2は「残酷な現実の直視」です。各自が白紙1枚を手に取り、中央に上下に直線を引きます。左側に社内の問題、右側に社外の問題を列挙します。列挙する項目は冷徹な事実だけです。

10年後に我々は今よりも格段に強くなっている」という確信を持つためには、目の前の現実を直視する必要があります。」


3は「銃撃に続いて、大砲発射」をすることです。銃撃とは、何が実際に有効なのか検証する実験のことです。「これまでに撃った多数の銃弾のうち目標に命中したのはどれか」と自問します。

命中した銃弾には、すなわち潜在力があるということです。その段階で銃弾を大砲へ切り替えます。

  銃撃なしにいきなり大砲を発射するのは禁じ手です。
「救世主にすがる」こと、つまり、無謀な賭けに出るのと同じです。まずは十分に銃弾を撃つ。


10X型企業は幸運に恵まれて卓越した実績を出したわけではない。むしろ不運を跳ね返し、偉大になれたのですと、ジム・コリンズ氏は語っています。

2013年1月22日火曜日

習体制の危険な民族主義


習近平総書記が1115日の就任会見で「中華民族の偉大な復興を果たそう」との民族主義を鼓舞するスローガンをしきりに連呼しました。

その後も、その勢いはやみません。

「中国民族の復興」という言葉は中国が欧米列強に蚕食されていた19世紀末から20世紀前半に孫文や蒋介石らが唱え、前世紀末に江沢民政権が“借用”したものです。それをなぜ今頃になって持ち出したのでしょうか。



近現史を振りかえれば、独裁政権が国民の不満をそらすために民族主義を鼓舞し、対外侵略を繰り返した例はあまたあります。

中国共産党政権も1989年の天安門事件やソ連崩壊による独裁体制の危機を、江沢民政権の反日民族主義と富国強兵路線で生き延びて来ました。


習近平体制には2つの道がありました。

1つは胡政権が先送りした国内の政治・経済改革に正面から取り込むことで国内矛盾を解消し、外に向けては平和外交を展開すること。


もう1つは江政権の民族主義・富国強兵路線への回帰です。習総書記が後者を選択したことは明らかです。真の改革を進めるには、

①特権層の既得権益体制を打破する

②天文学的規模の腐敗を根治して、所得分配の公平、公正化を進める

③言論・報道の自由を保障して権力を監視し、真の民主と法治の社会を構築する

ーなどが最低要件です。


だが習氏は幹部の腐敗絶滅には「党が党を厳しく管理せよ」(1115日会見)と説いています。

共産党が法の制定と執行の権力を独占して「法の下での万人の平等」が保障できるわけがないはずです。習氏の法治の本質は「党治(党による統一)」に他なりません。



国内外向けの発言のズレも気になります。125日の外国人専門家グループとの会見では「中国は決して他国を脅かさず、対外拡張しない」と述べました。ところが、その舌の根も乾かぬ同日、戦略ミサイル部隊との会見では同部隊を「わが国の戦略的威嚇力の核心」と称揚しました。

日本にとっても、一瞬たりとも気の抜けない日々が続きそうです。関係者の一層の奮励努力を期待したいものです。

2013年1月21日月曜日

尖閣に対する整備増強


1213日にあった中国国家海洋局所属プロペラ機による尖閣諸島上空での領空侵犯、接近を探知できなかったため空自は空中警戒管制機AWACSや早期警戒機E2Cによる空からの警戒を強化したようです。

森本前防衛大臣は、「まず、自力でやりぬく覚悟を示さないといけない。日本自身が自衛隊や海保の拡充で抑止力と対応力を向上させる必要がある」との認識を示しました。

日本がすぐに手をつけるべき課題は警戒・監視能力の向上で、中国国家海洋局のプロペラ機による領空侵犯は、中国軍の空挺部隊が降下作戦で尖閣に不法上陸することがいかにたやすいかを如実に示しています。


「前線」に近い那覇基地をE2Cの拠点にするための施設整備は平成27年度末を予定していますが、計画の前倒しを求める声も多いようです。

海上監視能力も不安が残るとも産経新聞は、書いています。

中国の国家海洋局は、海洋監視船「海監」を36隻建造する予定で、中国公船が海上保安庁の巡視船を数で逆転するのは避けられません。領海侵入を排除できるよう平時から海上自衛隊に海上保安庁を支援させる「領域警備琺」などの制度も待ったなしでやらねばなりません。

米政府は尖閣について日米安保条約の適応範囲と明言していますが、米側には新ガイドラインに対中有事を盛り込むことに抵抗感を示す勢力もいるといいます。外務省幹部は「実際に適応するかどうかは日本の『本気度』にかかっていると話します。

本気度とは「尖閣有事では日本が独力で対応する気構えを示す」ことに尽きると自衛隊幹部は述べています。
政府は1229日、沖縄県・尖閣諸島周辺を自国の権益が及ぶ海域と主張する中国の大陸棚拡張申請に反対し、審査対象としないよう求める意見書を米ニューヨークの国連事務局に提出したと発表しました。国連大陸棚限界委員会が申請を取り扱いますが、審査入りには利害が絡む隣国の同意が必要で、日本の意見書を受け、中国の申請は審査されないまま棚上げとなる見通しです。

意見書で日本政府は「尖閣はわが国固有の領土。中国の主張には根拠がなく申請は全く受け入れられない」と強調しました。

1214日に申請した中国側は日本側の同意が得られないのは織り込み済みで、中国の主張を内外にアピールする狙いだったとみられます。ジャブは、数多く出しておこうという作戦のようです。

2013年1月20日日曜日

尖閣諸島に対する丹羽宇一郎発言

  丹羽宇一郎前駐在中国大使は1220日、東京・内幸町の日本記者クラブで会見し、沖縄県・尖閣諸島をめぐる中国との関係について「外交上の係争はある。日本人だけが『ない』と言うのは理解不能だ」と述べ、「尖閣は臨界点を超えさせてはいけない。臨界点は軍隊が出ることだ」と強調しました。一方で、「話し合いで領土、主権問題は解決しない。日本は一寸たりとも譲歩すべきでなはい」とも述べたようです。日本が係争の存在を認めれば中国の挑発がやむのかとの問いには「それ以外、道はない」と述べるにとどめた。


丹羽氏は1218日に大使の任期を終えたばかり。


 わたしが、丹羽氏を信用できないのは、昨年の11月29日号の週刊文春に、深田祐介氏が丹羽宇一郎・中国大使(このときは、まだ伊藤忠の役員でした)に会ったときに丹羽氏から『アジアを制するのは中国。日本は幸福のために奴隷の道を歩く。それ以外にありません』と言い切ったそうです。こういうひとを大使にした民主党は、やはり狂っていましたね。

2013年1月19日土曜日

尖閣に対する1950年文書


沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐり中国政府が1950年、「尖閣諸島」という日本名を明記した上で、琉球(沖縄)に含まれるとの認識を示す外交文書を作成していたことが1227日分りました。

中国共産党・政府が当時、尖閣諸島を中国の領土と主張せず、「琉球の一部」と認識していたことを示す中国政府の文書が発見されたのは今回が始めてだそうです。

尖閣諸島を「台湾の一部」と一貫して主張してきたとする中国政府の立場と矛盾することになります。

この外交文書は「対日和約(対日講和条約)における領土部分の問題と主張に関する要網草案」(領土草案、計10)で、中国人民共和国成立の翌年に当たる50515日に作成され、北京の外務省档案館(外交資料館)に収蔵されています。

領土草案の「琉球の返還問題」の項目には、戦前から日本側の文書で尖閣諸島とほぼ同義に使われてきた「尖頭諸嶼」という日本名が登場しています。

中国が尖閣諸島を呼ぶ際に古くから用いてきたとする「釣魚島」の名称は一切使われていいませんでした。

東京大学大学院の松田康博教授は、『釣魚島』が台湾の一部であるという中華人民共和国の長年の論理は完全に崩れたと解説しています。

在日中国大使館の楊字報道官は、1227日の記者会見で、「たとえ文書があるとしても、中国が(固有の領土との)立場を変えることはない」とコメントしました。

2013年1月18日金曜日

嘉田滋賀県知事の口の軽さ

113日の大津市で開かれた後援会の新年会で、「日本未来の党」の結党について触れ、小沢氏から「あなたが出てくれたら100人通る」と説得されて決断したと明らかにしました。

結果は、当選者は9人で未来も分党しました。

 そして、「後から思えば(小沢氏を)信じるべきではなかった」と後悔をにじませたと、116日の夕刊フジは書いています。


 嘉田滋賀県知事は、先の衆院選挙中も「こんなに厳しいとは思わなかった」と弱音を吐き続けました。明らかに政治家でなく、一女性に戻っています。また、小沢氏についても、「小沢氏ひとりコントロールできなくて、なにが政治家だ」と強気でした。しかし、今回のような、「小沢氏を信じるべきでなかった」といった発言は、騙された若き女性が言うもので、60歳になろうという女性が言うものではありません。生き馬の目を抜く政治家など目指すべきではありませんし、やめるべきです。さすがに小沢氏はひとことも話していません。かれは、マンション一棟を売却して、今回の選挙資金を作りました。恨みごとを言わせれば、小沢氏の方に多くあるでしょう。滋賀県から、未来からの立候補者もいるだろうと思っていたでしょうが、ゼロでした。小沢氏は、相当に悔しいをしたでしょうが、さすが一流の政治家です。ひとこともその口からは、発しられていません。


  今回の選挙における「日本未来の党」の惨敗、維新の会が思うように伸びなかったのも、野田前首相の「自爆テロ解散」によるものでしたが、小沢氏も組む相手を慎重に選ぶべきです。そして、いいブレーンを再度集めるべきです。参議院選挙も近いので、急がねばなりません。これまで、地上はテレビを避けて、ネットテレビのみに出演していましたが、頭を下げてでも、地上波テレビに出なければなりません、嘉田氏には、なにも期待しませんが、小沢氏には、もうひとがんばりして欲しいと思います。

2013年1月17日木曜日

東通発電所の敷地内を走る断層は活断層(原子力規制委)


原子力規制委員会の有識者会合は1226日、東北電力東通原子力発電所(青森県)の敷地内を走る断層が活断層かどうか評価する2回目の会合を開きました。東北電は「活断層ではない」と反論しましたが、規制委は前回会合で一致した「活断層の可能性が高い」との見解を変えませんでした。年明けに正式な見解を文書にまとめるそうです。

東北電力が断層の地下深くから掘削した土が固まっていることや航空写真でみても地形のずれが見あたらないことなど挙げ、「断層は活断層でははい」と主張しましたが、規制委の島崎邦彦委員長代理は会合後の記者会見で「全体として敷地内に活断層があるとの考えを否定できるものはなかった」と指摘しました。

敷地内に活断層がある可能性が高まったことで、東通原発の再稼働は当面難しくなかったようです。そして、耐震補強工事が必要になる公算が大きいと思われます。東北電力は来年度から家庭向けで1割程度の値上げを検討中です。

 原発は活断層からの距離などで想定される地震の揺れを試算して設計しています。原発の敷地内に活断層がみつかれば、活断層との距離が大幅に縮まるので試算をやりなおさなければなりません。原子炉の強度が足りないとわかれば、耐震補強工事も必要になります。

日本原子力発電敦賀原発(福井県)などと異なり、東通は活断層が原子炉建屋の真下を通っているわけではないために、耐震補強工事で対応できる公算が大きく、すぐに廃炉につながる可能性は低いといわれています。
 1229日に予定されている関西電力大飯原発(福井県)2回目の現地調査では、活断層があるとわかれば、規制委は全国で唯一稼働中の大飯の運転を止める方針です。政府は今冬と来夏の節電対策を迫られる可能性があり、安部政権にとって最初の難題になりそうだと産経新聞は書いています。

 よく分からないのは、こういう重要なことを地質学の専門家でもない人が、廃炉にするかどうかを決めることです。多少は、原子力の専門家かも分りませんが、どう見ても地質学の専門家ではありません。また、断層があると、活断層と決め付けています。もし、これが活断層であれば、なぜ東北大震災のときに亀裂が入らなかったのでしょう。地質学とは、不思議な学問です。

2013年1月16日水曜日

雅子妃と紀子妃の奇妙な因縁


これは、昨年の週刊現代の6月16日号に出ていたものです。以前から、宮内庁関係者のあいだで、雅子妃と紀子妃の奇妙な因縁が囁かれていました。互いの旧姓である「おわだまさこ」と、「かわしまきこ」を、平仮名にして上下に並べ、一文字ずつ互い違いに読むと、やはりそれぞれの名前になるというものです。「やはりお二人の人生は絡みあっている。何かの因縁があるんでしょう」と宮内庁職員は、語っているそうです。

さらに「因縁」の終幕は、どうなるのでしょうとも書いています。