2013年12月9日月曜日

タクシー減車法案

  自民、公明、民主の3党は1030日に都市部でタクシー事業者に台数減らしを事実上義務づけるタクシー事業適正化・活性化特別措置法改正案を衆院に提出しました。規制緩和で台数が増え、1台当たりの売り上げが減ったというのが背景だといいますが、規制緩和に問題があったのでしょうか。たしかに、タクシーが増えて拾い易くなったのは事実です。

 認可制から事前届出制への変更などで参入障壁が低くなり、タクシー乗務員の賃金が減少し始めたといいます。ただし、06年には景気回復で改正前の水準を上回るほどに盛り返し、08年のリーマン・ショック後に再び低下したというのが事実です。

 民主党政権は、規制緩和に反対でしたので、リーマン・ショックに乗じて、09年にタクシー事業適正化・活性化特別措置法が施行され、減車が実施されました。今回、3党の出した改正案は、さらに減車できるようにするものです。

 これには、世界の主要都市でのタクシー料金が日本より安いという事実を伏せています。東京のタクシーの料金の高さは世界でトップクラスというのは、海外に行かれたひとがみな気付くことです。

 東京のタクシー料金は1997年4月に初乗り2キロが660円に引き上げられて以来、07年12月に現行の710円に再び引き上げられるまで660円が続きました。ただ、この間はデフレだったので、実質的には値上げしていたのと同じだったわけです。

 参入規制緩和によって価格は適正水準まで低下し、結果としてタクシー業者と消費者の双方にとって最適になるはずです。ところが、参入規制緩和しただけで料金を適正水準まで下げていないと、高い賃金を期待して必要以上の参入がある割には、消費者にとっては割高な料金が続くうえ、タクシー業界としても参入が増えて一台当たりの売り上げが減り、双方に不満が残る結果になってしまったというのが現在の状況です。

 世界主要都市でもタクシー台数を制限されているのは事実ですが、タクシー料金が低く、必要以上の新規参入が起きていません。

 今回の3党の法案は、民主党政権時代に行なわれた規制緩和の逆行の流れをくむもので、とても経済的に正当化できるものでないと元内閣参事官の高橋洋一氏は語っています。

 ドミノ倒しのように規制緩和の逆行が広がると、将来に禍根を残すことになります。

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