2013年9月25日水曜日

安重根像の設置

中国当局に撤去された韓国人事業化らが建てた銅像
  ハルビン駅から西へ約1キロ離れた繁華街の交差点に「朝鮮民族芸術館」という7階建てのビルがあります。ビルの2階が「安重根義士記念館」になっており、玄関を入ると大きな安重根の像があります。伊藤博文を暗殺したときの様子を再現した模型もあります。

 展示物や放映されているビデオは安重根の偉大さを全面的にたたえる一方、日本の凶暴さや残忍さも強調しています。伊藤博文は「日本で天皇の次に影響力をもつ政治家」「日清、日露戦争を起こした戦争狂人」などと紹介されています。

 中国と国交を樹立した1990年代前半から、韓国はハルビン市内で安重根記念館の設立を中国側に要請していましたが、なかなか同意を得られなかったといいます。粘り強く陳情を続けた結果、20067月に朝鮮民族芸術館内でという条件で、ようやく許可が下りました。訪れるのはほとんど韓国からの観光客だといいます。漢族の中国人は朝鮮族の安重根に全く興味を持ってくれないといいます。

 朴大統領の要請に習首席は、「関係部署に検討するよう指示する」と曖昧に回答しました。翌日の中国各紙は首脳会談を伝える記事のみで、記念碑の件には全く触れていませんでした。

 首脳会談から2週間後の7月中旬になっても、ハルビン市関係者は「中央からまだ具体的な指示がきていない」と話していました。ハルビン在住の韓国人企業家らが061月、ハルビン駅から約200メートル離れた同市の中央大街広場公園内に、高さ約4.5メートルの安重根の銅像を建てましたが、「外国人の銅像建設は許可しない」との理由で約10日後、ハルビン政府が撤去しました。

 中国にとって、要人暗殺という過激な手段に出た人物の顕彰が、国内治安に悪影響を及ぼしかねない点を懸念しています。中国当局は現在、チベットや新疆ウイグル自治区での焼身自殺や暴動に手を焼いています。そういったなかで異民族の統治者に抵抗した安重根のまねをする人物が国内で現れることは、指導部にとって悪夢に違いありません。

 共産革命や抗日戦争などで戦死した中国の英雄が多数いるのに、外国人の記念碑を優先して造ることには軍人や保守派の反発も予想されます。冬の氷雪祭で知られる観光都市ハルビンで、安重根の記念碑を造れば、日本からの観光客が減る可能性もあります。

 ハルビン市幹部によると、韓国からの観光客誘致のため、中国在住の韓国人と朝鮮族団体の関係者が「安重根記念平和観光路線マップ」の作製を中国各地の政府に提案する動きがあるといいます。

 この路線マップ構想は、ハルビン駅の記念碑に加え、安重根が反日活動をしていた上海や死刑が執行された旅順など、中国国内のゆかりの地約10カ所に記念碑や銅像を建て、韓国と中国の青少年のための愛国、民族主義教育の拠点にする狙いがあるといいます。困った人たちです。

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