2013年8月18日日曜日

ドイツの不具合な風力発電

 再生可能エネルギー普及の手本として真っ先に名前が挙がるのがドイツです。まさに優等生に見えます。ドイツの2010年の電源構成を見ると再生可能エネルギーが16.6%でした。内訳は風力が36%、バイオマス28%、水力20%と続きます。日本の場合は約1.2%にとどまっています。ドイツでは風力発電の存在が大きいことが明らかです。11年の出力は2907万キロワットに達します。日本は250万キロワット(日本風力発電協会まとめ)だから1/10以下です。

 風力発電設備の多くは北東部に偏在し、需要の多い南部に送電しています。ところが送電網の容量不足で、風の強い日は余剰電力が隣国のチェコやポーランドに流れ込み、先方の送電網に悪影響を及ぼすそうです。「困った両国は移相変圧器という装置を導入して流入を防ぐ計画」と海外電力調査会の伊勢公人上席研究員は語っています(7月30日の日経新聞)。

 ドイツが自国内で電気を使い切るには南部への送電網増強しかありませんが、環境破壊を理由に反対されており送電鉄塔を新設できません。行き場を失った電気で系統が不安定になるのを避けるために風力発電の停止案まで浮上しているといいます。

 風力発電が増えると、無風のときに肩代わりできる同出力の火力発電所が必要になります。しかし風力が増えるとその分だけ普段の火力の稼働日数は減ります。不採算の火力は、担い手探しが難しくなるというわけです。再生可能エネルギーを推進する層は送電網増強に反対し、結局は風力の出力抑制を招きます。こうした矛盾は「再生可能エネルギーの電源構成比が20%に近づくと表面化する」と伊勢上席研究員は語ります。いずれにしろ、再生可能エネルギーを使うのもなかなか難儀です。

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