2013年6月3日月曜日

リーダーの手本リンカーン

 
 
 ゲティーズバーグで北軍が勝利した時、亡くなった兵士のための国立墓地の儀式でリンカーンが行った演説は3分足らずであったといいます。「人民の人民による人民のための政治をこの地球上から決して消滅させてはならない」としめくくりましたが、この有名な演説は、わずか272語のスピーチでした。
 
 このスピーチはこの戦場で死んでいったすべての兵士への悼みであり敵も味方もない。集まった人たちは敵に憎しみを持った人たちであり、リンカーンの考え方を素直に受け入れることは難しかったといいます。北部の愛国心を自賛し、彼らの勇気と忍耐を讃える方がどれだけ民衆に受け入れ易かったことでしょう。事実、聴衆の意識とリンカーンのそれとのあまりの差に、演説が終わったとき、ほとんど拍手はなかったそうです。
 
 しかし、その後多くの国民がこのスピーチに感動し、50年後にはこの演説は小学生が暗記するほどになっていきました。リーダーは仲間に、「向かうべき方向性」を明示しなければなりません。仲間の先頭に立って、「こっちへ進もう」と旗を振らなければなりません。その「旗」とは言葉にほかなりません。
 
 自らの意思や思想を最も明確に伝えることができるのは言葉でしかなく、リンカーンのリーダーとして優れたところは死を全く恐れなかったことであると言われています。命を落としても仕方がない。それは神の計らいだとリンカーンは考えていました。

リンカーンは人事においては適材適所に徹したそうです。2期目に任命したサーモン・チェイス最高裁長官は、財務長官だった3年間、リンカーンに最も逆らった人物でした。リンカーンが重視したのはチェイスは有能な弁護士であり、最高裁長官として最も適していると考えたからです。

南北戦争後にアンドリュー・ジョンソンという民主党の南部人を副大統領に選んでもいます。

週刊文春の5月30日号では、リンカーンを見習うべきリーダーと称えています。

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