2013年3月13日水曜日

インフレの弊害はあるのか

 インフレの社会コストは、経済学ではいろいろ論じられていますが、経済学者と一般の人の間に認識ギャップがあるようです。経済学者は小さくみますが、一般的の人は心理的なものもあるのでしょうが、大きくみる傾向があります。もちろん経済学者も、年率1万%を超えるようなハイプーインフレについては社会経済構造を根こそぎ壊すような大きなコストがあると考えていますが、年率5%にもならないようなインフレではほとんど問題にならないといいます。

 経済学者はインフレの社会コストを、価格を書き直す「メニュー・コスト」、現金を保有するときに目減りするコスト、インフレ率が高くてもすぐに価格を書き直せないので資源配分が非効率となるコストなどを列記して計算しています。

 インフレ率2%程度でインフレの社会的コストは最小となり、GDP(国内総生産)1%程度というものが多いといいます。アベノミクスでインフレ予想が高まりつつありますが、まず見られるのが資産価格の上昇であるため、「儲かっているのは外資と一部の投資家だけ」、「資産家や富裕層は資産価格の上昇で潤うが、庶民の生活は物価高で苦しくなり、格差が開く」といった指摘がしばしばあります。デフレからマイルド・インフレになって、自分の賃金がどうなるかが本当のポイントです。1971年~94年までのマイルド・インフレ時代と95年~2011年のデフレ時代に、それぞれ賃金上昇率とインフレ率を比較し、前者が大きい場合、「勝ち」としてみてみましょう。

 マイルド・インフレ時代は213敗、デフレ時代は512敗となります。マイルド・インフレの方が労働者は勝っています。賃金とインフレ率の上昇はどちらが先とはいえないくらい、いい勝負です。

 平均的にみて、賃金の上昇がインフレ率を上回る公算が大きいのはマイルド・インフレの時代の方です。マイルド・インフレを罪悪視する必要はないと高橋洋一氏も語っています。

 

 

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