2013年3月1日金曜日

松下幸之助は泣いている(14)

 アメリカは依然として世界のおよそ三分の一近い購買力を保っています。最大の市場ですからこれを無視することなどできません。そして、もう一つ重視しなくてはならない国があるとすれば、それはやはり中国でしょう。

中国の人たちが豊かになった時に、日本ブランドに親近感や憧れを抱き続けてくれているかどうかは、日本家電の将来を占う上で非常に大きな分岐点になるではないかという気がします。

まずアメリカと中国を中心にアジアにしっかりと根を張る。これを家電復活のための共存共栄戦略の基本的な見取り図にしていくべきでしょう。

国内基準に考えて商品づくりをしてしまう日本の家電メーカーは、自分たちがよいと思う商品をつくるのが優先で、小売り、特に海外のディスカウントストアが気合を入れて売りたくなるような商品はあまりつくってきませんでした。また、日本の消費者は大手メーカーのブランドが大好きなので、商品開発からテレビCM、店頭でのプロモーション、販促施策などまで、すべてメーカー主導で行われてきました。

今後は世界のディスカウントストアと共存共栄を図っていこうというのなら、こうした姿勢をただちに改める必要があるでしょう。まず基本的に、海外の大手ディスカウントストアは、メーカーと小売りと対等と考えています。というよりも、むしろ消費者と直接の接点を持っている分だけ、小売り主導であるのが当たり前だとう感覚かもしれません。

ディスカウントストアにお客さんを呼べる商品、いわゆる「呼び筋」の商品開発は利益度外視の目玉商品ですから、それ自体で利益を出すことは難しいでしょう。しかし、ディスカウントストアに多くのお客さんが集まれば、「売れ筋」商品の売上も伸びます。そこで利益は確保できます。その「売れ筋」の商品は、機能と価格のバランスがとれたディスカウントストアのお客さんに喜んでもらえる商品であることが条件です。 

バブル以降の日本企業には、「この良さが分らない方がおかしい」というような、お客さん不在の論理で商品づくりをしていたところがたしかにあったと思います。

まず早急に取り込まなくてはならないのは、世界の「売れ筋」である低価格帯の普及品と言われる商品を強化することです。そのためには、自前主義・自国主義にこだわらず、アジアとの共栄共存をはかる水平分業が不可欠だということは、すでに何度も述べてきました。

もう一つ忘れてはならないのは、世界の各地のニーズにあった商品づくりです。

メイド・イン・ジャパンというブランドがもっとも生きるのは、やはり日本が得意としてきた「メカトロニクス」の分野だと考えるべきでしょう。

「日本ブランド」の製品は、大手流通ではなくアップルストアのような直販方式のショップで売っていくのも一つの方法でしょう。

パナソニックは「百本の矢」というスローガンで、新たに100事業で、1兆円程度のビジネスをつくろうとしています。これは、10年程度を目安にしているそうですが、もっとスピードをあげ、3年で達成すべきだと思います。

 

 

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