2013年1月6日日曜日

藤巻健史の日本大沈没(6)


米国では「無尽蔵に国債発行をしていては将来大変なことになるから、そうならないように事前に法律で国債発行額を制限していた」のです。GDP1500兆円に対して、1130兆円の国債発行枠だったのに、GDP468兆円に過ぎない日本は、すでに米国に近い960兆円もの巨額借金を抱えています。日本はGDPが米国の3分の1しかないにもかかわらず、ほぼ同額の借金を抱えているのです。
こうなったのは、「日本は米国と違い、国債発行枠という自主制限を設けなかったから」です。たしかに日本にも財政法という法律があります。
そんな法律など、どこ吹く風の国債増発ぶりなのです。

「国債ムラの住人(日本人)は、保有債券を売り始めると債券価格が崩れて、自分で自分の首を絞めることになるから、そんなバカなことはしない」と主張する識者もいます。
しかし、いつも国債ムラの住人自身が国債を売って、マーケットを崩しているのです。

1989年にタテホショックというのが起きました。タテホ化学工業が債券先物市場で多額の損失を出したニュースが報道され、その損失処理を懸念した債券市場が大崩れしたのです。
このショック後の4ヶ月間で長期金利が2.55%から6%まで跳ね上がったときも、199812月の1ヶ月間に長期金利0.8%から2.4%まで跳ね上がったときも、売り崩したのは外国人ではなく、自分の身を守ろうとした国債ムラの日本人自身だったのです。
いま、国債とか株式の市場では現物取引より先物取引の方が段違いに大きくなっています。その先物市場では、国債を持っていなくても簡単に売り崩せることができます。
海外の年金は、「日本国債の売り」という形で日本国債市場に参入してくると藤巻氏は語っています。
先物とは、「値段は本日決めるが、決済(お金とモノの交換)は将来行う」という取引です。
年金のファンドが1000億円のお金を日本に持ち込んだとします。990億円を金庫の中に入れていて(これは損したときに追加的に差し入れる証拠金用です)10億円を証拠金として、1兆円分の債券を先物市場で売ることができます。

しばらくして債券の値段が暴落したところで買い戻して500億円を儲けたとします。
そこで、その500億円の儲けと金庫の中に入れておいた990億円と10億円の証拠金を回収して、合計1500億円を本国に持っていけるのです。
年金ファンドとは、「ありあまる資金をどこかに投入するもの」と思い込んではいけません。
年金ファンドの目的は「どこかに投資すること」ではなく、「年金支払いの準備金を増やす」ことなのですから、「売って設けてもいい」のです。
 ですから、国債保有がゼロの海外年金でも、日本国債を売り崩すことが出来るのです。

日本国債の91.7%を日本人が持っているということは、外国人にとって日本国債はまったく魅力がないということです。
先進国の中で、これほど自国民しか買っていない国債は他にあるのでしょうか?
日本の銀行は米国債を買う際、円をドルに換えているのではなく、ドルを金融市場から借りて米国債を買っているのです。為替のリスクを取っていません。

国が財政破綻をすれば、我々自身が、いままで築き上げてきた個人財産をすべて失いかねません。将来もらうべき年金も、パーになってしまうかもしれません。というのも、金融機関が預かった預金で大量の日本国債を買っているからです。

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