2013年1月27日日曜日

藤巻健史の日本大沈没(12)


ここまで累積赤字がたまってしまうと、歳出カットや消費税上げだけでは、財政破綻を避けることはできません。累積赤字の急増を抑えることは不可能だからです。
となると、考えられる道は一つしかありません。

それは「大増税」です。
ハイパーインフレというのは、政策としては最悪の政策です。ものすごい逆進性(実質的な税の負担が、高所得者よりも低所得者にくること)があるからです。
 消費税を上げる際、逆進性が問題になります。しかし、消費税の逆進性など、ハイパーインフレに比べると可愛いものです。
汗水たらして10年間で100万円ためても、タクシー初乗りが100万円になれば、1回の乗車で貯金はパーです。預貯金をするしか財産のない低所得者層の人たちは、ものすごい貧乏になります。
ある程度、お金を持っている人たちは、株や土地、外貨などインフレ・ヘッジの効くもので運用できます。なんとかインフレに追いついていけます。所得が高くて株や不動産、外貨で運用できる人はダメージが小さくて、現金・預金しか持っていない低所得の人が、ものすごく貧乏になります。
 「逆進性が高いから消費税反対」などと言っていると、「とんでもなく逆進性の高いハイパーインフレの襲来となり、低所得の人たちは何十倍も苦しくなります。

税金とは言葉は悪いのですが、「国家が国民から富を奪うこと」です。
インフレとは「債務者が債権者の富を奪うこと」です。
日本最大の債務者は日本国です。債権者は国民です。インフレがくれば、国民から国に富が移行します。すなわち税金とまったく同じです。
ここまで累積赤字大きくなると、「インフレ税」を大幅に上げる、つまりハイパーインフレしか解決方法はないと藤巻氏はいいます。

ドイツで1923年の1年間に起きたパンの値段の推移をみますと、1月に250マルクだったパンが、12月には3990億マルクになっています。換算すると、タクシー初乗り780円が、1年後には約1兆円2000億円になったということです。
これが、ハイパーインフレというもので、社会生活は滅茶苦茶になります。それまで貯めた現金預金は実質パーになります。

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