2012年9月30日日曜日

単身世帯の急増は亡国の道


  単身世帯の急増によって後続世代再生産メガ二ズムを毀損していると拓殖大学総長・学長
の渡辺利夫氏が述べています。
2006年、単身世帯数が標準世帯数(夫婦と子供から成る家族)を上回って最大の世帯類型となりました。日本の人口史上初めての事態です。
全世帯に占める単身世帯の比率は29%です。
死別以外の単身世代化の要因は未婚と離婚だが、これが現在ではごく日常的な現象となってしまいました。
単身世帯がどうしてこうまで一般的存在となってしまったのでしょうか。要するに未婚や離婚に対する人々の意識が変化し、結婚・出産・育児といったライフスタイルをどう形作るかは個人の自由な選択によるべきだ、とする考えが定着してしまったといいます。
民主党は、「第3次男女共同参画社会基本計画」なるものを1012月に閣議決定し、喜び勇んで次のように宣揚しました。
これによると、個がよほど重要な観念らしい。その観念をもとに配偶者控除の縮小・廃止、選択的男女別姓制度の導入、、未婚・離婚の増加などに伴う家族形態の多様化に応じた法制の再検討に入るのだといいます。家族が流沙のごとくこぼれ落ちていくさまをみつめてこれを何とか食い止めよう、というのではない。逆であると渡辺氏は言います。

隠然たる影響力をもつ左派的な政党事務局をも含む党の中枢部は、日本の伝統を憎悪し、伝統を担う中核的存在たる家族を解体せんと意図する戦闘的な政治集団なのであると渡辺氏は、痛烈です。

単身世帯の増加は、出産・育児という後継世代を恒常的に再生産する自然生命体としての営為を、あたかもそれが理不尽なものであるかのごとき認識に人々を誘ってしまいかねない。単身世帯という存在は、社会的エゴそのものである。かかるエゴを助長する政党に執権を委ねる国家は、亡国の道に踏み込まざるをえないと恐ろしいことを言っています。

2012年9月29日土曜日

日銀、財務省の無為無策で日本の惨敗


産経新聞の編集委員である田村秀男氏が、日本銀行、財務省の無為無策を追及しています。
日本の株価は、韓国ウオンの対円安とともに下に押し下げられる一方で、韓国株の方は逆に大きく舞い上がっています。
株式市場こそは、その国の資本主義のエンジンというわけです。

株価、通貨ともリーマン・ショック(2008915)前の8月を100とする指数に置き換えました。
リーマン後、ウオンは円に対して暴落しました。最近でもリーマン前に比べ円に対して約35%安くなっています。日本株はリーマン時にはウオンの下落速度とピッタリ同調して急落しました。ウオン安に振れるたびにウオンの下落幅以上に日本株が下方に落ち込む傾向が読みとれます。

多くの製品で日韓間の品質の差がつかない状態です。残る国際競争条件の差異は価格に絞られています。円とウオンの交換レートが決定要因になると世界の投資家の多数が受け止め、日本株売りに偏っています。
11年秋からは、ユーロ危機の深刻化に伴って、欧州の金融機関が資金不足を穴埋めするために、韓国を含む新興国市場から一斉に資金を引き揚げた結果、ウオン相場が急落しました。
円高、ウオン安でソニー株が売られると、サムソン株が買われるばかりか、日本の株式市場全体が沈みました。

真の問題は日本の当局の無為無策であると田村氏は指弾しています。財務省は円高と表裏の関係にあるデフレ容認路線で、野田佳彦政権は消費増税がデフレと円高を招くことに無頓着です。日銀は為替市場問題を財務省の専管事項とみなし、欧米のような量的緩和政策に背を向け、円高の進行を放置しています。この結果、欧州で行き場を失った余剰資金は、日本株には目も向けず、増税の裏づけのある日本国債をひたすら買い、円相場を押し上げ、株価を下げるという悪循環を続けています。政策を転換しない限り、日本は韓国には勝てそうにないと田村氏は、悲観的です。

2012年9月28日金曜日

日本の経済力


双日総合研究所副所長の吉崎達彦氏が標題で産経新聞に寄稿していました。
日本は一昨年、GDPで中国に抜かれてしまったが、国土が狭く資源に乏しい国として世界第3位は立派な成績です。
今年4月時点の国際通貨基金(IMF)データを見ると、日本のGDP5.9兆㌦でした。1位の米国15兆㌦や、2位の中国7.3兆㌦には届かないまでも、4位のドイツは3.6兆㌦なので、当分は抜かれる心配はなさそうです。韓国は、世界第15位の1.1兆㌦なので、日本の5分の1に過ぎません。

ストックたる「富」はどうでしょうか。
先月、「リオ+20」会議で国連環境計画(UNEP)が発表した「包括富レポート2012」は、この難しい計算に取り込んでいます。世界20ヶ国を対象に、それぞれが保有する富を「物的資産」(機械や建物やインフラなど)、「人的資産」(人々の教育数準や技術)、「天然資産」(土地、森林、天然資源など)に分けて計算したものです。

この尺度でいくと、日本は米国に次いで世界第2位の資産国となっています。「年収」で中国に抜かれたとはいえ、「富」を比較すると日本は中国の2.8倍もあるわけです。

人口1人当たりの富は、日本が堂々の世界第1位でした。
「わが国の資源は勤勉で教育水準の高い人材だけ」という、長年の自己認識通りの結果である。
調査された20カ国のうち、1990年から2008年まで間に「天然資産」が減少していないのは日本だけでした。「環境のきれいな先進国」であるというわけです。事実、この期間中にわが国の森林面積は増えています。

「経済の金メダル」を競う統計として、「国際競争力調査」があります。世界経済フォーラム(WEF)と、経済開発国際研究所(IMD)という2つの機関によるものが知られています。
この調査の元データは、世界各地の企業経営者に対するアンケートであるから、吉崎氏は、この調査をあまり信用していないそうです。

日本の失業率は4.4%であり、消費者物価上昇率の0.2%と足し合わせた4.6%は、世界の主要国では最も低い水準です。先進国はどこでも二桁が当たり前だし、ユーロ圏には失業率だけで10%以上という国が少なくない。日本の「悲惨度指数」は健闘しているといえると、もう少し胸を張ってもよさそうです。。

2012年9月27日木曜日

五輪に学ぶ7つのヒント


標題で日経に下記の記事がありました。日本の企業を元気にするヒントがないか、ということで7つに整理しています。

第一は、女子選手の活躍である。総メンダル数で男女は肩を並べ、金メダルに絞ると女子4つに男子3つとなっています。
現在、部長相当職の女性比率は約5%にとどまっていますが、女性を十分に活用すれば、成果は倍増する可能性があるというわけです。
第二は、五輪では、異能の人材が光かりました。松本薫選手、内村航平選手は、マイペースで金メダルをもぎ取りました。

第三は、グローバル人材の重要性で、韓国のサムソン電子は新興国に社員を派遣して生活研究から市場開拓に取り込み、日本のメーカーを圧倒しました。
第四は、絶えざる革新が欠かせないということです。金メダル3連覇を果たした女子レスリングの伊調馨選手や吉田沙保里選手は競技スタイルを進化させてきました。企業の場合も全く同じであるはずです。

第五は、敗因はとことん分析して、戦略を立て直して巻き返せということです。
男子柔道の惨敗は、長期低落傾向の帰結と見た方がよい。構造的な要因を探るべきだろう。国際市場でのビジネスの競争も「頑張ろう」だけでは勝てません。
第六に、自己満足に陥って、小成に安んじてはならない。
イギリスやドイツは、日本よりも人口が少ない国ですが、総メダル数では、日本を上回っています。企業に置き換えれば、利益率が低いのに内部留保が厚いからと安住しているようでは駄目だというわけです。

第七に、信賞必罰を忘れるな。必罰が必要なのは、選手にではなく、指導者層に必要だと言っています。男子柔道などは監督などを一新して出直してはどうかというわけです。経営トップに甘い企業にも同じことがいえる。巨額の赤字を出して、雇用調整をする企業はまず経営責任を明らかにして、過去との断絶をはかるべきだと述べています。

パナソニックの創業者松下幸之助さんは、「雨が降ったら傘を差すように」当たり前のことをやりなさいと教えた。それがなぜできないのか。反省すべき経営者が少なくないと結んでいます。。