2012年7月29日日曜日

[ジョン・ウェインはなぜ死んだか(22)

フロリダ大学のドハティ博士が、米国の大学生を対象に調べたところ、精液1CCあたりの精子の数は、ちょっどB期間の直前にあたる今から30年前に、平均1億個だったものが、1981年現在では、6千万個へと減少し、核実験前の6割しか含まれていないことが明らかにされています。

これは、4割の精子が自然に抹殺されていることを意味します。同博士の研究では、学生のほぼ4人に1人の高い割合で、精子のなかに突然異変の原因となる物質も発見されています。

精子が最も幼若な生命です。現在ここに4割の死滅が起っているなら、生き残った6割の生命には、死と違う形で影響がおよぶのも当然でしょう。極限に達したとき死産となります。この難関を乗り越えて出生した後も、放射性物質の発癌作用は残り続けます。

ここに死の灰の“長期性”のおそろしさがあるといいます。
小児に育ったあと、体内にごく微量入っていたプルトニウムなどの放射性物質の影響によって、癌細胞が、子供たちの活発な細胞分裂のいとなみと共に、爆発的に増殖します。
それが骨髄に起れば、白血病となります。
現在わが国では、小児の病死のなかで第1位を占めるのが、“小児ガン”です。

成人の場合にも、死の灰の“長期性”と“濃縮性”が重なり合って、10年後、20年後、30年後と、年を追うと共に影響が現れてきます。
“死の灰”を追跡してゆくと必ず“癌患者”の群に行き当たります。
広島に投下された原爆のストロンチウム90の粉でさえ、1973年にようやく半分なったばかりです。そのあとさらに28年経ち、西暦2000年に突入しても、なお爆発時の4分の1が地球上に存在しています。しかも死の灰は消えてゆくどころが“廃棄物”という名で、大量に生産され、放出されているのです。

ソ連のチェリャビンスク40番地で廃棄物の爆発による大惨事が発生した時、汚染された湖の魚カワカマスを解剖してみると、筋肉1キログラムに含まれていた放射能物質(セシウム137)は平均52マイクロキューリーであったといいます。

敦賀の廃棄物漏れが発覚した時、浦底湾につながる場所の土砂1キログラムに含んでいた放射能物質(同じくセシウム137)は、その後の分析によって、平均014マイクロキューリーであることが明らかになりました。しかも浦底湾のさまざまな魚は、この土砂より多くの廃棄物を体のなかに濃縮する可能性があります。その濃縮度を、チェリャビンスクでのデータをもとに計算すると、最小値を取っても10数倍の濃縮になります。
若狭湾一帯では、いま奇妙なチラシが北陸電力の手で住民に配布されているといいます。それには、「若狭地方では、原子力発電所のために“がん”“白血病”などが増えはじめているとのことですが、全く根拠がありません」と書かれていました。

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