2012年6月22日金曜日

党、新たな支持基盤に

 中国では経済成長に伴い、国有企業の社員や公務員に富が集中する現象が生まれました。世界ではこうした中間層が変革の担い手となりますが、政変の歴史が続いた中国では「地位や権益を失いたくない」と保守的に考える人が多いといいます。そして、彼らは中国共産党の最大の支持基盤に育ってきました。
「なぜ早く教えてくれなかったのですか」。
鉱業関連の国有企業に勤める張超(28、仮名)は北京市内の住宅ローン窓口で、2回目の相談の際に勤務先を口にしました。すると、対応が変わり、80万元(1010万円)だった融資額が92万元に増えました。
入社4年目の張は、広さ60平方㍍の中古マンションを購入しました。地方出身の彼が北京市内で住宅を買えるのは、大学卒業時に北京市の戸籍を取得したためでした。北京の名門大学では、クラスメートの9人が地方出身でした。クラスに割てられた北京市戸籍は3枠。国家公務員になる2人と、国有企業に行く張が選ばれました。外資系の民間企業に就職した同級生は、北京市に5年間納税しなければ、住宅購入の権利を得られません。

国有企業と民間企業の最大の違いは何でしょうか。石油探査の国有企業に勤める劉民(33、仮名)は「力だ」と言い切ります。新たな油田を求めて世界を飛びまわり、「自分の仕事で国の経済や政治が動くのが分る」と満足げです。
「共産党員にならないか。枠があるんだ」
上司の勧めで今年、入党しました。国有企業で幹部に就くには党員になる必要があります。特権階級への切符を手に入れたのです。
最近は、成長著しい民間企業のエリートも中間層に加わってきました。民間投資会社の復星集団(上海市)に勤める徐秉(31)の朝は忙しい。渋滞の道でハンドルを握りつつ、パンにかじりつく。愛車は独ダイムラーの主力車「ベンツCクラス」。高級マンション街からオフィスまで片道45分の通勤です。「投資デイレクター」の肩書きを持つ徐は、復星が2年前に出資した仏リゾート運営のクラブメッドの投資管理などを担当しています。
徐の人生設計はユニークです。「今は貸借対照表に厚みを持たす時期」。様々な経験を積み、無形資産を膨らませたいという。40歳代になれば、「損益計算書に気を配る」のだそうだ。
その頃には、1歳半になる娘の教育費もかさむから、収入増を目指す。そして、退職後は「キャッシュフロー経営」。毎月の支出を管理しつつ、老後を過ごすという。
計画通りに人生が進むのか。共産党は安定を旗印に、徐のような民間エリートも党員に取り込もうとしているといいます。

0 件のコメント: