2012年5月10日木曜日

増税は税収を減らす

5月8日の産経新聞のオピニオン欄に編集委員の田村秀夫氏が標題で寄稿していました。
「増税して税収を増やすというのは、農民の年貢を引きあげる江戸時代の悪代官の手法と基本的に変わらない」というものです。

「それでも増税が税収をを増やし、財政均衡をもたらすならまだよい。阪神大震災(1995117)の後を例にとると、増税はむしろ税収を減らす恐れがある。
わずか2年間で214150億円も経済規模を拡大するのに成功し、増税なしで9596年と税収はわずかながら増えていった。
ところが、96年度に首相となった橋本龍太郎氏は財務官僚の勧めに従い、財政収支均衡をめざし、97年度に消費税率を3%から5%に引き上げた。
結局2%の消費税アップで、03年度一般会計の消費税収は、96年度に比べ3.6兆円増えたが、所得税と法人税収は合計9.5兆円も減った。
税収減の主因は97年度に始まったデフレである」。
今よりもはるかに健全に近かった財政状況でも、この悲惨な結果でした。野田首相は、それでも消費税増税にひた走ろうとしています。財務省には、よほどの美人がいるのでしょうか。野田氏が、純粋に自分の考えで進めようとしているのであれば、こうも頑なには増税に進めません。

「増税=財政均衡化論はなぜこうも執拗に、しかも非常時に指導層から飛び出すのだろう。日本は明治維新後から戦後復興時まで、第一次大戦の戦争特需に沸いたほんの一時期を除き、一貫して債務国だった。

今の日本は世界最大の債権国である。政府総債務はGDPの約2倍に及ぶが、その95%は国内貯蓄でまかなわれている。しかも国内投資に回らず海外で運用されている貯蓄は2010年末時点で250兆円に上る。海外の投資家はそんな日本の金融面のゆとりをみて、世界最大な財務国米国のドル資産を売り、円や日本国債に投資する。政府は債権国としての発想に頭を切り替え、脱デフレと大復興を目指して復興国債発行に踏み切り、国民が貯めたおカネの一部を復興投資に回せばよいのだ」と田村氏は憤慨しています。田村氏というのは産経新聞の編集委員の中でも正鵠を得た評論を書かれる人です。

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