2012年5月5日土曜日

佐高信の「原発文化人50人斬り」(14)

198916日、東電福島第2原発3号機で原子炉内にボルトや座金が流入するという大事故起こった。これを東電は隠し続け、ようやく経過説明に県庁を訪れた東電原子力本部長の池亀亮は、 『安全性が確認されれば、炉心に流入した座金が回収されなくても運転はあるうる』と発言。
『地元の住民の気持ちを無視した、いかにも技術者的な言葉』に佐藤は驚き、知事として、『安心は科学ではない。事業者と県民の信頼によってつくられるものだ』と反駁した。
この事故で佐藤は『国策である原子力発電の第一当事者であるべき国は、安全対策に何の主導権も取らない』という教訓を得る。そして、原子力政策は国や電力会社だけに任せてはおけない、と強く思う。

それ以後もデータ揑造を繰り返す東電に不信感を募らせる一方で、内部告発を放置してきた原子力安全・保安院にも呆れ果てた。

経済産業省の中に、プルーサーマルを推進する資源エネルギー庁と、安全を司る原子力安全・保安院が同居している。これまでわれわれは国に対して、“警察と泥棒が一緒になっている”ような、こうした体質をかえてくれと言い続けてきた。それに対して原子力委員会は、事務局である経産省の役人の書いたゼロ回答を送ってよこした。ここに問題の原因のすべてが凝縮されている。

原子力委員会の『福島県知事のご意見を聞く会』に出席した時、“原発おばさん”に挙げたタレント弁護士の住田裕子が、『賛成派、反対派いろいろいるが、どちらの意見も聞いて今回の結論を出した。私たちの次世代で決める必要があるならば、次世代に先送りしないで結論を出す必要がある』
と言ったので、佐藤が、
『原子力政策決定についてフランスは16年、ドイツは20年もかけているのに、あなたが4、5ヶ月で結論を出さなきゃいけないなんて思ったのは、誰に刷り困れたのですか?』
と質問したら、住田は
『失礼ね』と、二、三回言っただけだったという。
こんな住田が原子力委員なのである。

『知事は日本にとってよろしくない。いずれは抹殺する』
佐藤と共謀して収賄したという罪に問われた佐藤の弟の祐二を、検事の森本宏はこう脅かしたという。また、取調室で、やはり祐二に、『中学生の娘が卒業するまでここから出さない』とも言ったのだった。
2008年の東京地裁の判決は、『実質無罪』の『検察にとって厳しい判決』であり、“国策逮捕”だったことが明らかになりつつある。
佐藤はこれついて『マスメディアも共犯』と指摘している。

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