2012年2月10日金曜日

ある「カリスマ」の死

 「カリスマ」という宗教用語に、現代的な意味を付与したのはドイツの社会学者、M・ウエーバーであると産経新聞論税委員の福島敏雄氏は書いています。カリスマは「支配―被支配」の関係を構築し、その関係を絶対化させる権力を持つことが最小限の条件として求められます。

さらに、この関係から容易に抜き出すことができないような「磁力」、もっと言えば「魔力」を持たなければならないと書いています。

ポータブル音楽プレーャー、iPodを開発、発売する際に、レコード会社や音楽家らに対して、じつに巧妙な交渉術を駆使し、ついに成功させてしまう。

この分野では、ソニーの「ウォークマン」が先行し、ハードウエアやソフトウエア、機器、コンテンツなど、iPodに対抗するのに必要なものをすべて持っていました。ところが、あっさりとやられてしまったと指摘しています。

ジョブズ自らが公認し、取材に協力したジャーナリストのアイザックソンは、ソニーが「部門ごとの独立採算勢を採用していた点」が致命的だった、と指摘しています。要するに「共食い」を恐れたのです。このときのソニーのトップは、出井さんではなかったでしょうか?

だがアップルは、ジョッブズがすべての部門をコントロールし、「自分で自分を食わなければ、誰かに食われるだけだからね」と、平気で共食いをしました。

アイザックソンは、発明王エジソン、自動車王フォードとならび、ジョッブズを「100年あとまで記憶に残る経営者」と高く評価していますが、福島氏は「これは疑問である。エジソンは『天才とは1%のインスピレーション(直感)99%のパースピレーション()だ』という有名なコトバを残しました。

ジョッブズは確かに「天才」であった。だが流した99%の汗は「スポーツ」の後にかいた汗のように思えてならないと福島氏は痛烈です。

0 件のコメント: