2011年4月30日土曜日

放射能(3)

引き続き山下教授の講演などから引用します。

 一般のひとの心配について

 原発から10kmから20kmの圏内にいて避難した人は、放射線量で1mSv程度浴びたかもしれませんが、健康に与える影響は、数μSv100mSvも変わりがありません。すなわちがんの増加頻度に差がないのです。

 また、1mSv100回、すなわち累積として100mSv浴びるのと、1回に100mSv浴びるのでは影響は全く違います。被ばくについて心配しなくてはいけないのは、福島第一原発の中で働いている人たちです。彼らは、被ばくを避けながら決死の覚悟で働いています。彼らの健康をいかに守るかを考えていかなければなりません。一般の人は、まったく心配いりません。

 低い放射線被ばく線量の健康に与える影響は証明することができないと言われています。そこから、「証明できないがゼロと言えない」→「わからないから心配」と考えるかもしれませんが、これは間違いです。放射能は目に見えないし、匂いもしないから不安ですが、科学の力で数値化することができます。被害を防ぐための一つの手段が「測る」ということです。パニックになってはいけません。社会の一員として理性ある行動をお願いします。

2011年4月29日金曜日

放射能(2)

現状の環境における発がん率

 人体にも通常、放射性カリウムなど1000ベクレル〜5000ベクレルの放射性物質があります。またラドン温泉などに行けば、当然ラドンを吸い込みます。これらの放射性物質は量が少なければ(10500μSv)比較的短い間では問題ありません。

 今回ほうれん草や牛乳から規定値を超えるヨウ素131やセシウムが検出されていますが、1回や2回食べても問題ありません。またヨウ素131は半減期が8日と短く、すぐに影響が落ちていきます。

 1度に100mSv以上の放射線を浴びるとがんになる確率が少し増えますが、これを50mSvまでに抑えれば大丈夫と言われています。原発の作業員の安全被ばく制限が年間に50mSvに抑えてあるのもより安全域を考えてのことです。

 放射線を被ばくして一般の人が恐れるのは将来がんになるかもしれないということです。そこで、もし仮に100人の人が一度に100msvを浴びると、がんになる人が一生涯のうちに一人か二人増えます(日本人の3人に1人はがんで亡くなります)。ですから、現状ではがんになる人が目に見えて増えるというようなことはあり得ません。

2011年4月28日木曜日

放射能(1)

 わたしは、今回の福島原発の事故に対する見解としては、長崎大学の山下俊一教授がもっとも信頼がおけると思っています。かれの論文、発言などから引用します。

放射性物質の影響をチェルノブイリと比較して

 放射性物質はいたる所に降り注いでいます。一方で、放射性物資はトレーサーと呼ばれるように非常に検出され易い物質であり鋭敏な値を出します。現在検出されている量が即、健康に影響があるわけでないことは明らかです。

 チェルノブイリの原発事故をフィリピンのピナツボ火山の噴火と考えると、今回の事故は、普賢岳や新燃岳の噴火に例えられます。どちらも、近くにいると、火山灰や火山流でやけどしたり、命の危険がありますが、遠く離れれば被害は減るというところで共通します。違いは、ピナツボ火山の影響は地球上の広範囲に広がったのに対して、普賢岳や新燃岳の噴火の影響が及ぶ範囲は狭いという所です。

 福島第一原発から20km離れると、火山の噴出物が灰になるように、放射性物質の影響も弱まります。これまでに放出されている放射性物質は、拡散し薄まり、量がどんどん減っていきます。体についても洗い流せば大丈夫です。微量でも被ばくすれば危ないというのは、間違いです。

2011年4月27日水曜日

震災孤児(2)

 被災地には、阪神大震災の遺児の心のケアにあたった「神戸レインボーハウス」と同様の役割を持つ施設の建設を計画しているといいます。計画性と実行力は、たいしたものです。

 「震災孤児」を支援する動きも全国で広がりをみせています。全国里親会(東京都港区)が孤児の受け入れ可能な家庭数の調査を始めたほか、同会には里親登録の希望者からの問い合わせが相次いでいるようです。各地から子供への支援の声が上がる一方で、専門家は「なるべく住み慣れた地域から子供を引き離すべきではない」と指摘しています。

 京都府立大の津崎哲雄教授も「家族や友人との思い出がつまった土地を離れるのは大きな決断。安心な所に移ればいいというものではない」と指摘しています。

 ■里親制度 保護者のいない子供や保護者による養育が適当でないと判断された子供を育てる「養育里親」と、祖父母など3親等以内の親族が養育する「親族里親」、虐待などで専門的な援助を必要とする子供を養育する「専門里親」に大別される。里親家庭はそれぞれの区分や子供の受け入れ人数に応じ、手当や生活費などを受け取る。

2011年4月26日火曜日

震災孤児(1)

 東日本大震災で親を失った児童・生徒は、厚労省などの調査で、阪神大震災(95年)の68人を大きく上回る見通しとなりました。あしなが育英会によると、東日本大震災で親や親戚などの身寄りを亡くした遺児は370人以上に上っているといいます。厚生労働省による調査では、今回の震災で両親を失った震災孤児の子どもは、14日までに岩手県で44人、宮城県で43人、福島県で14人となり、3県で合わせて101人に上っているということです。厚生省の調査が、おざなりなのでしょうか。あまりに数字が違いすぎます。

震災孤児が多い理由について、阪神大震災は早朝に発生したために、児童も家にいました。しかし、今回の大地震は平日の昼に発生しましたので、児童・生徒が下校する前で、大津波にのまれた親と死別したケースも多いようです。混乱の続く被災地の自治体での聞き取りは難航しており、“震災孤児”はもっと増えると思われます。

阪神大震災では、親を失った震災孤児は大半が親類や知人に引き取られましたが、今回は家族ばかりか親族そろって犠牲になった例も多数あり、その対応が混乱しているようです。

そういう中で、東日本大震災の遺児を支えようと、「あしなが学生募金事務局」(海野佑介事務局長)は、和歌山市のJR和歌山駅前で街頭募金を行いました。集まったお金は、災害や病気などで親を亡くした子どもを支援している「あしなが育英会」に寄付します。大阪の高島屋前では、阪神大震災の遺児の大学生らが、タレントの西川きよしさん(64)と一緒に協力を呼びかけました。

育英会では緊急の措置として大学院生までに1人10万円以上の特別一時金の支給を決めたそうです。同事務局の泉綾子さん(19)は「16年前の阪神大震災の遺児たちは、ようやく立ち直ってきた。遺児の心のケアは長い年月がかかる。息の長い支援が必要」と話しましたが、19歳でえらいものです。