2011年10月5日水曜日

朱鎔基前首相が現政権を批判

 1990年代から今世紀初頭の中国経済の大躍進を進めた朱鎔基・前首相の発言録(4巻・人民出版社)98日、全国発売されました。

これには、副首相、首相在任中の未公開演説や会議での発言など多数収録してあり、全体で約120万漢字にのぼります。掲載した発言が幹部の腐敗や所得格差、不動産バブルなどの社会・経済問題に強い警鐘を鳴らしているところから、「胡錦濤・温家宝政権の改革停滞への間接批判」との見方も出ています。

朱鎔基氏は91年に故鄧小平氏によって上海市長兼党委書記から副首相に抜擢され、983月から20033月まで首相を務めました。

この間に中央政府の財政を強化するために税、財政改革をはじめ金融、価格・流通、国有企業、政府機構など多くの制度改革を断行しました。西側諸国から「経済ツァリー(皇帝)」、「中国のゴルバチョフ」などとも称されました。

高級幹部の腐敗や官僚主義、貧富の格差の拡大などを重大視しています。「廉潔で高効率の政府を作るため人民の公僕となり、妥協を排して真実を語り、腐敗を一掃し、新知識の学習に努めよ」と訓示し、自ら率先垂範に努めました。

退任間際には、経済過熱や不動産バブルに強い懸念を表明しました。政府が進める「都市化政策が農民の土地を収奪し、外国人や不動産業者を潤わせていることの危険さ」を強調していました。

これらの問題は朱氏の引退後、ますます深刻化しているだけに、今回の発言録は胡錦濤・温家宝政権に対する苦言とも受け取られています。

朱氏の改革には、これを妨げるひとたちから、さまざまな脅迫やいやがらせがありましたが、朱氏はこれらに負けることなく、遂行しました。このために朱氏の母親は、暴漢に殺されました。それにもめげず、公務員を4分の1に減らしたして、効率化を図りました。日本でもこれくらいの人が出現してほしいものです。

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