2011年5月28日土曜日

モナリザの遺骨調査(8)

 そんな中、ドイツのハイデルベルク大学図書館は、2008114日、『モナ・リザ』のモデルが、フィレンツェの商人フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻・リザであることを裏付ける文献が見つかったことを明らかにしました。1477年に印刷された所蔵古書の欄外にフィレンツェの役人によって「レオナルドは今、リザ・デル・ジョコンドの肖像を描いている」という書き込みがありました。この書き込みは150310月になされ、レオナルドが『モナ・リザ』を描いていた時期と重なり、ヴァザーリの記事が裏付けられたことになります。これにより、モデルにまつわる論争には一応終止符が打たれたという見方が有力ですが、それならばなぜすぐに依頼主に引き渡されなかったのかなど、依然として論拠の曖昧さが残っています。

 『モナ・リザ』の左右のまなざしは若干ずれており、右目が正面を向いているのに対して左目はやや左を向いている。また、モナ・リザをX線にかけたところ、レオナルドは、最初に描いた「まなざし」の上に少なくとも一回以上異なった「まなざし」を上塗りしたことが分かっています。

 『モナ・リザ』に描かれている女性には眉毛が書かれていないことがよく指摘され、眉毛は修復の際に消えてしまったという説や、ダヴィンチは元から眉毛を書いておらず、それゆえに絵が未完成であるという主張などが論じられてきました。しかし2007年にフランスの技術者、パスカル・コットによる高解像度カメラの分析によって眉の跡が確認されました。コットは、モナリザの目の周囲に亀裂があることから、修復やクリーニングの際に眉毛やまつげを一緒に拭き取ってしまったと推測しています。

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