2011年3月22日火曜日

検察審査会の強制起訴は違憲(1)

 元参議院法制局第3部長だった播磨益夫氏(現弁護士)が注目すべき論文を書きました。検察審査会の強制起訴議決は違憲・無効だというものです。

「行政権は内閣に属し、内閣は行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う」(憲法66)となっています。

行政権を行使する機関として、各省大臣のほかに行政委員会があり、検察審会もこれに属しています。行政委員会は、時の権力の関与を避け、「職務の独立性を認める」ことで、適正、公平、妥当な行政権を行使し、国民の基本的人権を保障することが目的で、人事院、国家公安委員会、中央労働委員会、公正取引委員会などがあります。

こうした行政委員会は、いずれも法律でどの省庁に設置されるかが明記されています。人事院は「内閣の所轄の下に設置される」(国家公務員法3)し、公正取引委員会は「内閣府の外局として設置される」(内閣府設置法49)となっています。

委員会の人選についても、細かく法律で定められています。たとえば、人事官は「人格が高潔で、年齢35歳以上の者の中から両議院の同意を経て内閣がこれを任命する」となっています。行政権が基本的人権を侵害しないようにするためです。

ところが、検察審査会だけは、極めて異色な存在なのです。行政委員会である検察審査会を『所轄』する上部の行政機関は法律上、まったく存在しません。

 しかもメンバーは人格や識見とは関係なく、市町村の選挙管理委員会が管理する選挙人名簿の中から無作為に選ばれることになっています。当然内閣や総理大臣は任命せず、任命責任は有り得ないことになっています。

こんな無責任な組織が個人の基本的人権を著しく侵害する強制起訴権を有するのです。

明日に続く。

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