2010年5月31日月曜日

障害者団体向け割引郵便制度の悪用事件で調書採否決定

 2月24日のわたしのブログで本件の公判について、述べましたが、5月26日に供述調書の証拠採否が行われました。ここで、重要な調書については、「取り調べに問題があった」などとして、採用を却下しました。
 この件についてもう一度振り返ってみましょう。これは、障害者団体向け割引郵便制度の悪用をめぐる障害者団体証明書偽造事件です。虚偽有印公文書作成・同行使罪で厚生労働省の元局長、村木厚子被告(54)の裁判です。これは、民主党参院議員の元秘書で、実体のない障害者団体「凛の会」会長をしている倉沢邦夫被告(74)=公判中=が、石井一議員の口添えで、厚労省元部長に証明書発行を依頼し、元部長が村木被告に便宜を指示し、村木被告が議員案件ということで、了承し、上村被告(48)に早急に証明書を作るように指示したというものでした。
 村木被告は罪状認否で、「私は無罪です。部下に指示した事実は一切ありません。一切犯行にかかわっていません」と述べ、起訴内容を全面否認していました。最大の争点は、村木被告が部下だった元係長、上村勉被告(40)=起訴=に証明書偽造を指示したか否かというものです。捜査段階で村木被告の指示を認めていた上村被告が公判では、単独犯行を主張していました。
 起訴状によると、村木被告は障害保健福祉部企画課長だった平成16年6月、倉沢被告や上村被告と共謀し、障害者団体としての実体のない「凛の会」が割引郵便制度の適用を受けるために必要な証明書を上村被告に偽造させたとされます。
 横田伸之裁判長は、「取り調べに問題があった」などとして検察側控訴の調書について、採用を却下しました。そのほかも「検察側の意図に沿って誘導された可能性がある」、「取り調べには問題があり信用できない」などと述べ、多くの検察側の証拠の採用を却下しました。検察側は、主張していた根拠の根幹が失われてしまいました。これで、村木被告は無罪の可能性が大きくなりました。
村木被告は「裁判所がていねいに証拠を検討してくださったことに感謝している。一日も早く無実であることが明らかになり、社会復帰できる日が来ることを心から願っている」とのコメントを出しました。女性で局長まで駈け上がって来た村木さんの一生はぼろぼろです。どう回復してくれるのでしょう。村木さんは、厚生労働省に戻れるのでしょうか。
 この報道は覚えておられるかたも多いかと思いますが、新聞やテレビは、村木被告は、完全にクロでした。村木被告の上司である舛添要一元大臣などは、「厚労省の中からこのような人が出て残念です」と多くのメデイアの前で話していました。村木被告が否定しているにもかかわらず、そういう悪い人間が厚労省におり、まともなのは舛添だけだというようにとれました。
 この裁判は、6月22日の検察側の論告求刑、29日に弁護側の最終弁論が行われて結審し、判決は9月中旬にも言い渡される見通しです。
 この調書却下の報道は、新聞には出ていましたが、テレビでは報道されたのでしょうか。どうも日本のマスコミは、起訴されただけで、有罪と決めつけるところがあります。今回の裁判で、無罪が言い渡されましたら、マスコミは報道姿勢を謝り、反省してほしいものです。
 先の小沢幹事長の問題でも秘書が起訴されただけで、小沢さんは辞めねばならないなどと大手メデイアは国民を誘導しますが、これは非常に危険です。その人の人権を考えると、罪が確定してから、結論をいうべきでしょう。また、取り調べの可視化法案も是非成立させてほしいものです。

2010年5月30日日曜日

名門レナウン、中国企業の傘下に

 経営再建中の名門の大手アパレルメーカーであるレナウンが、中国の繊維大手の「山東如意科技集団」の傘下に入ることになりました。
 2010年5月24日、レナウンは、中華人民共和国山東省済南市(山東省の省都)にある繊維会社である山東如意科技集団有限公司との間で、資本業務提携契約を締結しました。そして、2010年7月29日開催の臨時株主総会で承認された後、7月30日に、山東如意科技集団に対して約40億円の第三者割当増資を行い、同社が投資ファンドのネオラインホールディングス(24.87%保有)を抜いて筆頭株主(41.18%出資)となる予定です。また、取締役のうち3名は、山東如意科技集団が指名する者になります。
 レナウンの北畑稔社長は、24日の記者会見で「高い成長が見込まれる中国市場を重点マーケットと位置付けている。提携を機に、新たな市場に乗り出したい」と今回の提携の狙いを話しました。また、山東如意の邱亜夫董事長も「レナウンは100年の歴史を持つ国際的に一流の企業。販売力があり、国際的なブランドも持っている」と述べ、中国での協力を約束しました。
レナウンは、創業者の佐々木八十八が、1902(明治35)年に大阪で衣料品の販売を手掛ける「佐々木商会」を設立しました。その後、繊維商品の製造も手がけるようになり、1923(大正12)年から、その前の年にイギリスの皇太子エドワードが来日した時の御召艦レナウン号にあやかって、「レナウン」を商標に登録しました。また、グループ内のダーバンも、供奉艦としてレナウン号に同行していた巡洋艦ダーバン号の名をとって命名されています。
 レナウンは婦人・紳士服の有名ブランドを持つ老舗で、グループの従業員は約1600人。デフレが長引く中、百貨店を主な販路として高級品を扱ってきたのが裏目に出ました。本社ビルを売却しリストラを進めましたが、4期連続の赤字で、再建は難航していました。レナウンは、中国企業の傘下に入る日本企業としては、最大規模です。
 1960年代より、若い女性向け衣料品メーカーとして人気を博しました。NETテレビ(現:テレビ朝日)の「日曜洋画劇場」でCMを放送し、小林亜星作曲によるCMソング「レナウン娘」と「イエイエ」で、弘田三枝子が歌った「ワンサカ娘」のプロモーションは、日本で初めて日本国外のCM作品賞を受賞しました。このCMソングは今でも歌うことが出来ます。
 一方の山東は総合繊維メーカーでしたが、国営工場から民営化して急成長しました。山東は、レナウンのブランド力を評価し、商品管理や顧客対応のノウハウを得るために買収を行ったといいます。
 中国からの企業買収は昨年あたりから少し目立っています。家電量販店やシステム開発、機械加工、自動車部品メーカーなどで行き詰まった会社が多いのですが、日本からの投資額に比べればまだ比較にならないくらいに少ないものです。
 海外から日本への直接投資残高は2009年末で国内総生産(GDP)比4・1%(19兆6千億円)にとどまり、主要国でも最低レベルです。政府の国家戦略室は、対日直接投資残高を20年までに2倍超に増やすことを検討中ですが、絵に描いた餅になりそうです。企業も日本市場を相手にしていては、商機がないと分かっていながら、相変わらずぬるま湯に浸かっています。これは、繊維業界に限らず、多くの業種で言えます。将来の日本のこどもたちのためにもうひと頑張りしましょう。

2010年5月29日土曜日

民主党のマニフェスト実行一覧(2)

 普天間問題は、いずれ書くことにしますが、昨年の衆院選挙で民主党が挙げたマニフェストで何が達成でき、何が違反しているかについて、挙げておきましょう。
 達成できたもの34件のうち、15件を記載します。
1. 議員親族の同一区での連続立候補は認めず
2. 公立高校生の授業料を実質無料化
3. 私立高校生のいる世帯に月額1万円を助成
4. 生活保護の母子加算を復活
5. 父子家庭にも児童扶養手当を支給
6. 年金記録と紙台帳の全件照合を速やかに開始
7. 保育ママを増員、認可保育所を増設
8. ガン検診受診率を引き上げ
9. 肝炎患者の自己負担額上限を月額1万円に
10. 戸別所得補償制度を販売農家に実施
11. 郵政株式売却凍結法を可及的速やかに成立
12. 失業後1年は、在職中と同負担で医療保険に加入
13. 木材住宅産業を地域資源活用型として推進
14. 燃料電池など環境技術の研究開発、実用化
15. 貸し渋り、貸しはがし防止法を成立
などがあり、達成後期にあるものが18件、中期にあるものが37件、初期にあるものが62件、未着手が25件あります。政権をとって8カ月にしては、よくやっている方だと思います。
 そして、違反しているもの2件は、次のとおりです。
1. 暫定税率は廃止し、2.5兆円の減税実施
2. 年金保険料は年金給付にだけに充当
 心配なのは、鳩山首相で、週刊誌などによりますと、幸夫人の信頼する占い師から、普天間問題は、5月には解決すると言われ、鳩山首相もこれを信じて、5月と言ったそうです。
民主党の国会議員自身は、みな一生懸命にやっていると思うのですが、どうもシャッポがおかしいようです。このシャッポも真面目で、自民党時代の大臣と違って、国会で居眠りしているのを見たことがありません。しっかりした官房長官がいれば、随分変わるのでしょうが。なんといっても8カ月です。新調の背広も違和感がなくなるまでに時間がかかります。マスコミの報道に惑わされることなく冷静に見ていきたいものです。

2010年5月28日金曜日

民主党のマニフェスト実行一覧(1)

 5月24日の毎日新聞に、非営利組織「言論NPO」が標記の題で載せていました。新聞などの報道を見ていますと、政治とカネ、普天間問題で、民主党は何もしていないように思えます。あまりにもこれを問題にし過ぎているのではないでしょうか。小沢幹事長の政治資金収支報告書の虚偽記載などは、法律専門家も言っていましたように微罪です。虚偽などというから物凄く悪いように思いますが、要するに記載ミスです。この記載ミスは多くの国会議員が犯し、指摘されると修正申告で逃れています。これまでは、この修正申告で済ませて来たのです。要するにこの法律は、国会議員を律するための法律ですから、立法府の国会議員自らが、抜け道のない法律を作らないといけないのですが、人間というものは、なかなか自分を縛る法律は、作れないものです。「水清くして、魚棲まず」という譬えもあります。多くの人のエネルギーも小沢幹事長の政治資金収支報告書の虚偽記載の問題は、これくらいにして、どうすればこのような記載ミスがなくせるのかに智慧を絞って欲しいものです。
 だいぶ長くなりましたので、昨年の衆院マニフェストで挙げた項目のうち、この8カ月で実行できたもの、違反しているものをとりあえず挙げてみましょう。まず、実行されたものは、34項目あります。また、達成の後期で仕上げ段階にあるものが、18件、真中にあるものが37件、初期にあるものが62件、未着手が25件となっています。違反したものは、2件です。この数字をどうみるかですが、まずまずよくやっていると見るべきでしょう。事業仕分けなどは自公民政権では、絶対に出来なかったものです。また、最近は、忘れ去られていますが、インド洋の給油はどうでしょう。自民党、公明党は、これをやらないと世界から非難を浴びると散々言ったものですが、何もありません。また、イラクからの自衛隊の撤収もどうでしょう。何も影響はありません。これは、所詮、日本がやっている援助などは、世界から見ると、たいしたことではないということです。
 明日は、どういう項目が達成できたか、見て行きましょう。

2010年5月27日木曜日

自民党の参院マニフェスト原案

 日本もイギリスの二党体制を目指しているはずですが、昨年まで与党であった自民党の凋落ぶりは、目を覆うばかりです。7月に予定されている参院選挙の自民党のマニフェストですが、野党とも思えぬインパクトのない内容です。多分、与党時代は、官僚に丸投げすれば、すべて作ってくれたのでしょうが、野党になると自ら作らねばなりません。しかし、多分、作り方を知っているひとはいないのではないでしょうか。以前、わたしのブログで、国会は立法府であり、議員は法案を作成することが仕事であるはずですが、与党時代の自民党議員は、ほとんど法案を提出していません。結局は、官僚が作ったものを国会で承認して来ただけです。
 参院選挙のマニフェスト原案も、子供手当の全面的見直し、道州制導入に合わせて省庁の再再編、土曜授業の復活、世界に貢献できる新憲法の制定、夫婦別姓法案に反対など、この日本をどういう国にしたいのかという具体像も政策も見えてきません。これまで検討して来た「今後3年間でGDPの名目成長率4%の達成」の目標数値も盛り込まないようです。与党慣れ、悪く言えば、与党ボケした自民党には、次の選挙のあとに民主党の中の保守よりのひとや、みんなの党などと連結を組もうと考えているように思われ、積極的に参院選挙で勝とうという意欲が見えてきません。石破政調会長は、「原案は性格上、網羅的、総花的になる。どうメリハリをつけるかの作業をして完成させる」と強調しています。5月末までにホームページで公開し、一般から意見を募集して、6月に最終版をまとめるようですが、非常に心配です。健全な野党として、政権ボケを払拭して、立ち直ってほしいものです。

2010年5月26日水曜日

小沢事件の検察審査会

 この検察審査会というのは、いつ設置されたのでしょう。市民目線で、容疑者を裁こうというのかもしれませんが、裁判員制度よりも危険を感じます。裁判員制度は、正規の判事が審議に加わりますが、この検察審査会というのは、議決に加わるのは、素人ばかりです。11名の審査員を素人の中から無作為に選びます。そして審議するのですが、これには、補助弁護士が付きます。これが曲者です。そして、今回の小沢事件でもそうですが、検察審査会の議決は、この補助弁護士の言いなりになるようです。素人が、検察が捜査した証拠をすべて目を通すのは、神様でも不可能でしょう。不思議だったのは、検察が聴取したり、ガサ入れを行っても「起訴できない」となったものが、11人の審査員、全員が「起訴相当」としたことです。こういうことは、意見が必ず分かれるものです。7対4とかの多数決でそうなったというのなら、理解できるのですが、11対0です。
 この審査会には、法律解釈や事実関係を説明する補助弁護士が付くわけですが、この補助弁護士の意向で、この検察審査会はどうにでもなる気がします。そして、今回、検察審査会の議決分を作ったのも補助弁護士です。5月19日の日刊ゲンダイによると、今回は、ヤメ検でヤメ判の米澤敏雄弁護士(73)でした。
 小沢氏を『絶対権力者』などと感情を前面に出した議決分を作成していますが、これは法曹界からも異論が出ているようです。そして、今、米澤弁護士は、行方知れずのままのようです(上記、日刊ゲンダイによる)。
 しかし、この検察審査会というのは、見直すべきであるような気がします。あまりにも危険です。検察審査会の審査員は、いろんな意見を持つ専門家が行うと思っていました。結局、検察庁が起訴できないものを必殺仕置人よろしく審査会が、被疑者の罪を暴くという感じです。

2010年5月25日火曜日

小沢幹事長、再び不起訴

 民主党の小沢幹事長の資金管理団体の陸山会の政治資金収支報告書の虚偽記載について、東京検察審査会の「起訴相当」という議決をしたことで、東京検察庁は、再聴取をしました。そして、その結果、証拠不十分で不起訴となりました。これは、あらかじめ予想されたとおりです。異例ともいえる2回のガサ入れを行っても、証拠が出て来なかったのです。大鶴基成・東京地検次席検事も「再捜査の結果、基本的な証拠関係に変動はなく、共謀の確証は得られなかった」と語っています。
 これに関わったと思われる人の証言が重要になって来ますが、小沢氏は3度の事情聴取でも「相談や報告を受けていない」と言い、元公設第1秘書の大久保隆規被告も小沢氏の関与を否定し、石川被告は「収支報告書を提出する前に小沢氏に報告し、了承を得た」というものでしたが、検察幹部は、「いつ、どこで、報告したのか、詳細が全く出ておらず、場面の供述にすぎない。過去の事件でもこれだけの証拠で起訴したケースはない」と言いきっています。あと、池田被告の証言も公判を維持できる内容でないということで、不起訴としました。
 今回の東京地検の捜査を受けて、東京検察審議会が再度、再審査し、「起訴すべきだ」と議決すれば、小沢氏は強制起訴されることになります。今後、どうなるか、予測はつきませんが、今回の件は、起訴は難しいと思いました。
 ここで、疑問に思うのは、検察と検察審議会の判断です。検察審議会の審議員はすべて抽選で指名された素人です。この人たちが、今回の膨大な資料を読んだのか、疑問に思っていました。また、素人が、議決を本当に書いたのか、正直、これも不思議でした。議決の骨子は「小沢氏の供述は不合理、不自然で信用できない。土地購入原資を隠ぺいするなど執拗な偽装工作をしている。小沢氏には絶大な指揮命令権限があり、元秘書らとの共犯の成立が認定可能。政治とカネで政治不信が高まっており、市民目線からは許し難い。法廷で真実と責任の所在を明らかにすべきだ」というものでしたが、どうも胡散臭さを感じました。これについては、明日、書きたいと思います。

2010年5月24日月曜日

フレクトロニクス(富士康)で今年だけで死者が7名

 中国広東省に工場を持つフレクトロニクス(富士康)で、今年1月から今月14日までに7人の従業員が高いところから転落して死亡したと報じられています。フレクトロニクスは、いわゆる委託加工を専門とする会社でEMS(Electoronics Manufacturing Services)と呼ばれる会社です。1965年、アメリカで起業し、1981年 シンガポールに売却され、現在も本社はシンガポールです。その後、テレビでも報じられましたが、2002年5月、カシオマレーシア、愛知カシオを買収。2004年8月には、フロッグデザインを買収し、2006年8月 にはイーストマンコダックのデジタルカメラ製造部門を買収しました。2007年10月 には、EMS企業としては世界第3位のソレクトロンも買収し、拡大に拡大を遂げています。
 業務もマイクロソフトのXbox、Xbox 360、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズやモトローラ、ノキアの携帯電話、カシオのデジタルカメラ、hpのインクジェットプリンタ(マレーシア工場)、最近はアップルのiPhoneも製造しています。
 新聞によると、今月11日に死亡した6人目までは、警察も自殺としましたが、14日に死亡した7人目の男性従業員(21)は、転落現場に血のついた短刀が見つかり、遺体にも切り傷があったことで、調査を進めています。フレクトロニクスは、従業員が50万人ともいわれ、管理面については、常に問題視されていました。
 話は変わりますが、この会社には、東京の国立大学の生産技術の教授が、金型製造の指導に行ったりしており、わたしは別の面でも危惧しておりました。
 ここで、安く作れるのは、ノキアなどが、自社が買える価格でフレクトロニクスが買えるようにしていることです。他の顧客からもらった注文もノキア価格で購入して納めますので、なかなか競合は勝てません。
 現在、フレクトロニクスのある広東省樹海や沿海部は、急激に人件費が上がっております。こういうことが起こると、内陸部から遠く沿海部に出稼ぎには、行かせなくなる人が増えるでしょう。これから、中国で工場を作られる方は、内陸部をお薦めします。

2010年5月23日日曜日

日航、静岡県に運航支援金を請求

 会社公正手続き中の日本航空は13日、静岡県に対し約1億5578万円の運航支援金の支払いを請求しました。これは、静岡空港―福岡線に導入されていた搭乗率保証制度に基づくものです。川勝平太・静岡県知事は支払いを拒否する方針を表明しています。搭乗率保証制度では、日航の2009年度の同線の搭乗率の実績が70%を下回った場合、静岡県側が1%につき約2870万円を支払うとしていましたが、実際の搭乗率は64.5%でした。
 静岡空港は、川勝知事の前の石川知事が強引に開港したもので、航空機の進行方向に高い立木が100本ほどあり、これを地権者が切ることを認めなかったために、知事の辞職と引き換えに立木を切ったという因縁の飛行場です。
 愛称が富士山静岡空港ということで、富士山に近いと思いがちですが、静岡空港と富士山の距離と羽田空港と富士山の距離は、ほぼ等距離です。
 建設の段階から、反対の人も多く、スズキの鈴木修社長なども「利用しないと思う」と発言していました。この空港の建設には、総額1900憶円がかかっており、国庫から245億円、静岡県から1655億円が供出されています。県民の借金ですから、県民377万人が返済しなければなりません。
 さて、搭乗率保証制度は、能登空港で初めて設定されましたが、実際には日本の国内線では、払われたことがなく、今回、静岡県が払うと日本初となります。
 日航は不採算路線の整理を迫られており、今年3月末でもって静岡空港の運航から撤退しています。一方で運航支援金については、契約通りの支払いを求めました。静岡県側は「路線維持が前提であったのに支援金だけ要求するのはおかしい」と反発しています。こちらの気持ちも分かります。日航は国交省や支援者などにも毅然とした態度をとらねばならず、一方、静岡県側も飛行機は飛ばなくなった、しかし支援金だけは払えでは、県民の納得は得られないでしょう。結局は、裁判での決着になるのでしょうが、日航も相手が県ですから、とるのは難しいように思います。もっと空席が多いのかと思いましたら、搭乗率64.5%というのは、静岡県も相当努力した気がしないでもありません。航空会社というのは、車体のみで、道路や線路の建築、メンテなどは、やらなくていいわけですから、どこかに大きなムダがあるように思います。機体の価格、全従業員の給与、年金、ホテルなどにも無駄があるのではないでしょうか?わたしは、毎週、日航に乗りますが、結構、満席に近いです。

2010年5月22日土曜日

ドイツ、市場安定に空売り禁止

 ドイツ連邦金融監督局は18日、国内市場で取引されているユーロ圏各国の国債に対する、資産裏付けのない空売りを19日午前0時から一時的に禁止すると発表しました。空売りは、今後、下がると思われる国債や株を売り、今後、高くなると思われるときに買い戻すわけです。したがって、実際以上に下がることが起こります。この禁止措置には、資産裏付けのないクレジット・デフォルト・スワップ(GDS)も含まれています。CDSは企業や国家の破綻リスクを売買するデリバティブ(金融派生商品)の一種です。ギリシャの債務危機では、裏付け資産のない投機的なCDS取引がギリシャの国債利回りの急上昇を招き、信用不安を拡大させたとの批判があります。
 ドイツ当局は今回の禁止措置で、ギリシャなどの大幅財政赤字を抱えるユーロ導入国に対する投機を牽制した格好ですが、どのくらい有効かは疑問が残ります。
 金融監督局は、商銀最大手ドイツ銀行や保険大手アリアンツなどの同国の主要な金融関連株に対する資産裏付けのない空売りも禁止します。ギリシャの金融危機は、国債に対するものでしたが、アメリカの場合は、住宅債でした。そして、アメリカの金融機関は、悪魔のような債権を作り、世界中に売りまくり、世の中のお金を集めていますが、それでも足りないようで、常に金融危機を起こさせます。ドイツのこれらの一連の禁止措置は当面、11年3月31日までとします。
 ファンドその他は、空売りで天文学的な利益を得ています。これらの国債のほかに株券に対しても空売りの禁止をやるべきでしょう。今回の件は、ドイツだけにとどまらず、EU諸国、そしてアメリカがやらねばならないでしょう。核と同じで、肝心のアメリカがやらねば、実効が乏しいものになります。

2010年5月21日金曜日

ベトナムの携帯電話事情

 13年ぶりにハノイを訪問しますと、携帯電話の事情はまったく異なっていました。当時は、携帯電話はほとんどなく、固定電話のみでした。ところが、今や5000万以上のサブスクライバーを有するまでに市場形成されています。当時、出来たてホヤホヤの軍の通信部門とPHS-WLLのテストを行ったのですが、総務部などからは、「軍とやって大丈夫なのか」、「会社に迷惑をかけないか」などと心配されたものです。その軍事通信の経営する携帯電話会社が、ベトナムでNo.1キャリアです。2位、3位は、VNPT(日本のNTT相当)が運営する携帯電話キャリアです。そのほか、内務省(公安)が運営する携帯電話キャリアがあります。これら4社は、GSMですが、ベトナム南部でのみCDMAサービスを行っている会社があります。これは、海外との合弁です。3Gも昨年の6月からViettel, Mobifoneの2社がサービス開始していますが、まだほんのわずかです。
(1)Viettel-mobile(GSM) 1942.6万人(軍事通信傘下)
(2)Mobifone(GSM) 1334.1万人(VNPT傘下)
(3)Vinafone(GSM) 1210.8万人(VNPT傘下)
(4)Beeline(GSM) 400万人(内務省傘下、ロシアも出資)
(5)Sfone(CDMA) 315万人(海外との合弁、南部のみ)
(6)Vinamobile
(7)EVN ( 電力会社傘下)
 話題のiPhoneは、ベトナムでは正式な販売ルートはなく、密輸によるものがほとんどです。携帯端末を販売している店舗は、日本の量販店に似た大きな店もあれば、ほんとに小さな店もあります。Beelineなどは、自ら販売のための店舗を作っています。そのほかの通信キャリアは、自らは販売していません。ベトナムでも、ノキアとサムソンが強く、この2社は、自ら修理店を持っています。残念ながら、日本メーカーの携帯は、目にしませんでしたが、夜、レストランで弦を弾く女性に見せますと、非常に好評でした。3人のうちのひとりは、iPhoneを持っていました。こういうところの女性の評価は、結構重要です。
 瀟洒なノキアのショップの店頭で働く女性に給与を聞くと、日本円で1万円程度でした。中国と比べても半分以下です。多分、この賃金水準は、それでもベトナムの平均水準よりは、若干高いと思います。中国の初期もそうでしたが、ベトナムでもかなり無理して携帯を買っているように思いました。
 ベトナムの人口は、約8423万人、ハノイ、ホーチミンともに625万人程度ですが、ホーチミンの方が若干多いようです。携帯電話の普及率は62%程度ですので、収入の割には、普及率は高いといえます。中国のひとつの省ほどの市場はあると思われます。

2010年5月20日木曜日

ベトナムの弦楽器

 ベトナムの少しましなレストランに行きますと、弦楽器の演奏サービスが行われています。写真は、向って右が1本の弦楽器、真中は36弦、左は16本の箏のようなものです。36弦は、割箸にクッションがついたようなもので叩きます。この3種の楽器が、ベトナムらしい雰囲気の音楽を奏でます。友人で箏の専門家に聞きますと、「糸が1本というのは音程を自由に演奏者が作ることですから音楽的な耳がよくないと難しいでしょうね。私などは13本あっても半音や1音の上げ下げで苦労しています。16弦もきっと日本の琴より柔らかい音色と思います。弦も細いです。日本の場合、25弦や30弦などは大きくてまるで大きな箪笥みたいです。私は本心は、現代の固く糸を締めた琴の音色よりは柔らかい音色の細弦のほうが好きです」と語ってくれました。
 この楽器の音色が柔らかいようにベトナムの人の心も柔らかいのでしょう。そしてしなやかなように思います。
 ベトナム戦争は、1960年12月から1975年4月30日まで続きました。約14年半続きました。気の遠くなるような長い年月です。表立っては、戦争のなごりはありませんが、今でもアメリカ人は、ハノイへの来訪は少ないようです。今年の4月30日のベトナム戦争の勝利の日は、盛大に祝われました。北ベトナムと南ベトナムが一緒になった日でもあります。

2010年5月19日水曜日

ベトナムの墓制

 ベトナムは、死者に対して立派な墓を建てます。この写真は、ほかの人が撮った写真です。死者を尊ぶ気持ちは、非常に強いようです。墓は、日本のように決められたところではなくとも作れます。まだ火葬よりは、土葬が多いようです。人口の多いホーチミンなどは、火葬が進んでいるようですが、ハノイでは死ぬと多くの人が土葬で葬られます。土葬されて、2~3年すると、肉も落ちているので、その骨をあらためて拾ってきれいに洗います。そして、あらためて墓に埋め戻します。最近は、その骨を洗うのを商売にしている人もいるようです。亡くなった人を粗末に扱うと残った人が批判を浴びるようです。上の写真も亡くなったひとのためよりは、残ったひとがこれだけ盛大に葬式を行ったという見栄のようなものも感じます。こういう2度埋葬する風習は、ほかでも聞いたことがあるように思いますが、日本などでも土葬のところは、最近まであったようです。ひとつの山が、土葬の場所になっていて、亡くなったひとをあらたに土葬する時に前に葬ったひとの骨が出て来ることもあったそうです。その点、ハノイの墓は、きちんと作られていて、そういうことはないようです。しかし、2度葬式をするのも大変です。日本では、すでに奈良時代には、火葬令が出ていて、土葬は貴族のあいだでは、禁止されていました。太安万侶なども火葬で葬られたことがはっきりしています。2,3年後に掘り出して、骨を洗うというのはどうでしょうか。折角、あの世にいったのにまた引き戻されないかと心配です。

2010年5月18日火曜日

インド僧、菩提僊那の来日

 現在、奈良では平城遷都1300年祭が行われています。藤原京から平城京に遷都されて26年後にインド僧の菩提僊那が日本を訪れました。菩提僊那は、インドで生まれ、中国を経て、32歳のときに日本に来ました。736年5月18日のことです。今から1274年前のことです。かれは古代インドの四姓制度の最上位・婆羅門の出身で、シルクロードを旅して唐に入りました。
 菩提僊那が日本に来る気持ちになったのは、733年に長安で遣唐副使の中臣名代や留学生の理鏡らから「日本に来て正しい仏教を広めてほしい」と口説かれたことによります。菩提僊那は、唐僧の道璿、ベトナム僧の仏哲とともに天平8(736)年5月18日に太宰府に到達しました。菩提僊那は仏教発祥の地の出身ということで、聖武天皇からも尊敬をもって迎えられ、大安寺を与えられました。
751年には、僧の最高位の僧正を贈られ、翌年の4月9日の大仏開眼法要では、大導師となりました。菩提僊那は、56歳で亡くなりました。長い異国での生活ですから、大変だったでしょう。それでも若くして、僧正の位に着いていたわけですから、恵まれたともいえます。
 これに比べて不運なのは、唐招提寺の鑑真和上です。日本への渡海は6回に及びました。もし、菩提僊那のように1回で渡海出来ていれば、鑑真和上が大導師を務めたことでしょう。当時の仏教は、現代とは比べものにならないくらいに、盛んだったのでしょう。寺ももちろんのことですが、東大寺の大仏のような巨大な大仏を造りました。今の日本もなにか象徴的なプロジェクトが必要に思います。

2010年5月17日月曜日

ハノイの生活

 ベトナムの通貨は、13年前は、1円=100ドンでしたが、今は、1円=196ドンでした。円の価値が2倍になったわけですが、物価の値上がりが大きく、安く感じませんでした。ノキアのセールスレデイの給与が、月約1万円。ハノイでも住宅は高くなっています。案内してくれた人の家も日本円にして、4000万円ほどしたそうです。新興国は、どこも不動産が上がって庶民は困っています。ハノイは集合住宅がほとんどありません。戸建で3~4階建です。道路に面すると、ぎりぎりから立ち上げて建てます。車の駐車スペースもほとんど考えません。道路の立ち上げから、すぐに建てないと損とばかりに建てます。隣との境のスペースもまったくありませんから、ぎっしり建っています。 間口が、3.5~4mで奥行きが14mほどです。約50㎡で35万ドルですから、約3200万円です。マンションでも、1㎡=4500ドルほどしますから、50㎡では、2000万円くらいになります。土地がついている分だけ、戸建の方がいいということのようです。いずれにしろ、給与は高くないのに不動産だけは、高いということになっています。民衆の不満が、相当溜まっているように思いますが、ベトナムの人は温和です。その分、バイクに乗ると、クラクションを鳴らしまくってストレスを解消しているのかも分かりません。ちなみにバイクは、1500ドルですから、14万円程度です。若い人が、1年働いて、しかも全部貯めてやっと買えるかどうか分からない金額です。車は、駐車場もないので、個人で買うのは非常に難しいために、みな、バイクを買います。車の代わりにバイクです。したがって、家族の移動はバイクです。夫婦とこども二人は、普通の光景です。夫婦の間にこどもを挟んで乗せています。
 「ハノイも住みにくくなりました」と、ハノイの人が話します。都市計画というものがありません。為政者は失敗してもやればいいと思うのですが、失敗を怖れてかやらないようです。まだ、中国の方が、少しはましです。

2010年5月16日日曜日

ハノイの騒音

 13年ぶりにハノイを訪問しました。当時は、日本からの直行便がなく、香港で乗り換えて、ベトナム航空でハノイに入りました。当時、9回訪問しました。今回も仕事で訪問しましたが、その騒音とバイクの多さに目が回りました。写真1は、新聞に載っていたものです。さすがに、これだけ多いバイクを見ることはありませんでしたが、写真2は、走行中の車から撮ったものです。写真3は、ホテルの上から撮ったものです。まさに兵隊アリの行進です。止まったものを見ると、そう多いようにも思えませんが、実際の街の中では、大変です。バイクの方がのさばっていて、車を平気で追い越し、車の前に入って来ます。目を開けていますと、イライラしてきます。以前は、自転車もあったのですが、今は、非常に少なくなり、バイクばかりです。その数も半端ではありません。おそらく、世界で一番バイクの多い町でしょう。バイクの2人乗り、3人乗りは、ざらで、4人乗りも見かけます。ベトナムの場合は、70cc以下は、免許なしに乗れます。
 以前も、ひっきりなしに朝から晩までバイクが走っていましたが、今は、その数が3~4倍になっており、これらが警笛を鳴らします。朝は、4~5時から、夜も10~11時まで、大きな警笛を鳴らして走っています。なれないとうるさくて眠れません。インドネシアでは、朝の祈りで起こされましたが、ハノイは警笛で夢を破られます。13年前は、住んでもいい町の一つでしたが、今は住む気になれません。

2010年5月15日土曜日

イエス・キリストの聖骸布(2)

 イエスは重い十字架を運ばねばならなかった(ヨハネ19・17)。右肩に10cm×8.7cmの四角い黒ずんだ部分があり、左側の肩甲骨の辺りに直径12.5cmほどのかなり黒ずんだ部分があります。これは、傷つけられた皮膚を何か重いものが、こすった摩擦によって生じたものと考えてよいと診断した医師は語っています。当時の磔刑では、ふつう十字架の横木を囚人が運び、柱は刑場に固定されていました。横木の重さは100ポンド(約45Kg)と推定されます。
 イエスは十字架の横木を自分で運ばねばならず、重荷を背負って何度も転んだ(マタイ27・32、マルコ15・21、ルカ23・26にて示唆されている)。ミラノ大学の法医学教授のユディカ・コルディリア博士によると、この人物の両膝には強度の損傷があり、左ひざの皿の部分にかぎ裂き状の擦過傷とともに大きな打撲傷があり、右ひざにも小さな打撲傷が有ります。
イエスは両手・両膝に釘を打たれて磔にされた(ヨハネ20・25に暗示される)。手首・足に釘で貫かれた明らかな痕があります。
 イエスの脚は折られなかったが、その死を確かめるために脇を槍で突かれた(ヨハネ19・31-37)。当時は、死者は日没までに埋葬しなければならなかったため、ユダヤ人の受刑者は、日没少し前までに死亡しない場合は、脚を折って死を早められました。聖骸布の人物の脚が折られていないことは明瞭で、右脇に楕円状の傷があります。ここから、脇腹に槍を刺されたと推定されます。その傷の形状から、突いた槍は長めの木の葉の形をした穂先を持つ「ランケア」という種類の槍であったとされます。
 こういうものは、本物か、偽物かということになります。この布に包まれた男性が、イエス・キリストなのかどうかは、残念ながら、分かりません。磔をされた人は、皆こういう風に布に巻かれたのでしょう。たしかにイエス・キリストを思わせる顔が浮かび上がって来ましたが、当時の痩せた人は、このような顔をしていたようにも思われます。ほかに間違いないキリストのものというのがあれば、DNA鑑定ができるのでしょうが。しかし、こういう偉人は、少し謎がある方がいいようにも思います。

2010年5月14日金曜日

イエス・キリストの聖骸布(1)

 11日のテレビ朝日のスーパーモーニングで、聖骸布(Holy Shroud)が取り上げられていました。これまでも見たことがありましたが、今回は、よく出来ていたように思います。 
 聖骸布は、キリストが処刑場で殺されたのちに包まれた布です。キリスト教でいう聖遺物の一つです。イエス・キリストの風貌を写したという布で、現在の映像技術を駆使して、かなりイメージが描けるところまで、映し出していました。ただ一つ現存するトリノの聖ヨハネ大聖堂に保管されている「トリノの聖骸布」です。公開されるということで、多くの信者が、聖ヨハネス大聖堂を訪れています。
 布自身は、縦4.36m、横1.1mの杉綾織の亜麻布(リンネル)です。痩せた男性の全身像がネガ状に転写されているように見えます。布の上に残された全身像の痕跡より、頭を中心に縦に二つ折りにして遺骸を包んだと見られ、血痕も残っています。この血痕から、血液型は、AB型。身長は181cm程度、体重は77kgと推定されています。
 問題は、血痕の位置が、聖書の記述に一致しているということです。聖骸布の像の人物の背中には多数の鞭打たれた後があり、3本の皮ひもの先に2つの小さな金属球がついた「フラグム」という鞭で打たれたと考えられています。放射線状についた傷の跡から、二人の執行者によって鞭打たれ、右にいた人間の方が、若干背が高かったとされています。
 イエスは顔を殴られた(マタイ27・30、マルコ15・19、ルカ23・63、ヨハネ19・3)とあり、
 両方の眉弓に腫れ
 右まぶたに裂傷
 右目の下に大きな腫れ
 鼻に腫れ
 一つの角が鼻のほうにむいた右頬に三角形の傷
 左頬の横に有る腫れ
 あごの左側に腫れ
がそれぞれあります。
 また、イエスはイバラの冠をかぶせられた(マタイ27・29、マルコ15・17、ヨハネ19・3)とありますが、後頭部に少なくとも8つの独立した血の流れがあり、なにか冠のようなものに原因があるとすれば、イバラの枝が後頭部にはまった高さにその線があるように見えるとあります。(あと、明日へ)

2010年5月13日木曜日

新幹線の売り込み

 5月の連休中に前原大臣が、新幹線の売り込みにアメリカに出かけていました。そして、「勉強不足で、こんなに競合が多いことを知らなかった」と話していました。こういう人は、ひとりでオリエント急行に乗るべきです。カバンにアガサクリステイの「オリエント急行殺人事件」などを入れて。鉄道オタクと言っているわりには、目が世界に向いていません。
 中国での日本の新幹線メーカーの苦労話を中国側から聞きました。長距離列車に日本の新幹線を入れることは、早くから決めていたそうです。しかし、車両メーカーがいくつもあるので、北京に各会社のトップを集めました。そこで、各社のトップに質問したそうですが、川崎重工業以外は、直接、役員が答えられませんでした。質問のつど、部下に聞いていたそうです。
 今は、中国人の多くは、中国の新幹線は、中国製と思っています。国際社会でのビジネスの仕方が分かっていません。11日のテレビ朝日の赤江さんの番組で「唯一、日本の新幹線が入っているのは、台湾だ」とコメンテーターが言っていましたが、日本から入っているのは、車両だけです。信号系統は、ドイツ、フランス製です。そのために苦労しています。
 海外に入れる場合は、日本での納入方法のように車両、信号、制御と別々に入れるわけにはいきません。すべて、Turn Keyで入れる必要があります。この点でも、日本は相当に出遅れていますし、いざ、価格交渉になるとまとめるのが難しくなります。
 そして、長距離を走るときに必要なのが、食堂車と寝台車です。前原大臣は、食堂車に座って飲み物を飲んでいましたので、食堂車は復活したのでしょう。しかし、寝台車は日本の新幹線には最初からありませんでした。中国に納入する際も、中国側から「寝台車は必要だ」と言ったそうですが、日本側は、にべなく、「ない」と答えました。そして、中国は、自らの手で寝台車を作ったのです。ですから、中国人が、「日本の新幹線技術を追い越した」と言っても仕方がないところがあります。日本は、JR東海などが、元締めでやっている間は、海外は難しいでしょう。
 ちなみに赤枝さんの番組で、世界シエアを出していましたが、1位はアルストムで21%、2位がさすがシーメンスで18%、3位がボンバルデイアで15%、4位は川崎重工業で9%、5位が日本連合で9%と出ていました。日本の誇る新幹線も日本だけでは、携帯電話と同じくカルパゴス状態になります。とくに若い人は、どんどん世界に出て、注文をどんどんとって来てほしいものです。相手の注文には、すべて「Yes!」と答えて。そこから、日本の再生が始まるように思います。年寄りが行くと、先ほどの寝台車のように「No!」と言ってしまいます。

2010年5月12日水曜日

谷亮子さん、民主党より参院選出馬表明

 10日、柔道の女子48キロ級でシドニー、アテネ両五輪を連覇した谷亮子さん(34)が、民主党から夏の参院選比例区に立候補を表明しました。
 立候補表明のあと、柔道は続けるのかという質問に「ロンドンでも金メダルをめざす」という発言をしますと、翌日の11日の朝のワイドショーで馬鹿なコメンテーターたちが、「両立はできないでしょう」の大合唱、「税金を貰って議員生活をやるのだから、一生懸命に政治活動をやってほしい」など、平凡すぎるコメントしか出来ませんでした。
 今でも谷さんは、トヨタ自動車の社員として仕事をし、柔道もし、子供も 育てているのです。変わるのは、トヨタの仕事が、議員の仕事に替わるだけです。それなら、トヨタでの仕事ぶりとかを取材すべきでしょう。トヨタでは、何もせずに高給を貰っているだけなのか、ちゃんと仕事をしているのか。ちゃんと仕事をしていれば、議員になってもちゃんと議員の仕事をしながら、トヨタ時代と同じように柔道も子育ても出来るでしょう。また、これまでの当選した議員は、何をやったのでしょう、名前を挙げるのですら、憚られるぐらい何もやりませんでした。両立とか、三立など関係なく議員だけでもできていませんでした。彼女であれば、すべてが成り立つようにやっていけると思います。ロンドンでの金は、相手があることですので、分かりませんが、興味深く見守っていきたいと思います。
 今は、7月の参院選挙で、出来るだけの票を獲得しなければならないので、できるだけいいイメージを保とうとするはずです。ロンドン五輪の前には、出場をあきらめているかも分かりません。
 しかし、今回の参院選挙は、タレントの立候補がいつになく多いようにおもいます。テレビの悪い影響でしょうか。たしかに無名であれば、能力があっても全国区で当選するのは、難しいのが現実です。民主党は参院選比例区で、バルセロナ五輪体操の銀メダリスト池谷幸雄氏や女優の岡崎友紀さん、歌手の庄野真代さん、落語家の桂きん枝氏などを公認しており、谷さんは43人目の候補者となります。
 マスコミに毒されたイメージに影響されず、色眼鏡もはずして、興味深く、見守りたいものです。

2010年5月11日火曜日

JAL、45路線から撤退

 JALが4月28日に国内30路線、海外15路線、計45路線の撤退計画を発表しました。実施は、9月から行い、来年3月には、完了します。
 よく利用する顧客の観点から見ますと、国内30路線は、ある程度、妥当かなと思います。撤退される空港は、大変なことは分かりますが、最初から97空港も必要なかったのです。
しかし、国際線は、困ります。成田からもサンパウロ便が廃止されます。ブラジルの経済発展は大きく、この機会にこれを廃止する意図が良く分かりません。「海外の航空会社を使え」ということでしょう。また、ローマ、ミラノ、サンフランシスコ、デンバサールも廃止されます。デンバサールへは、関空からもなくなります。バリ島にはJALでは、行けなくなります。
 わたしのよく利用する関空からは、悲惨です。香港、広州、北京がなくなります。何を考えているのでしょう。しかし、これについて、大阪商工会議所や関経連も何も言いません。だから困るのです。歳をとりすぎると言わなければいけないことも言わなくなります。不思議なことに関空をハブ空港化しようと提唱した橋下知事も発言しません。これでは、関西はますます地盤沈下します。あとは、関西出身の稲盛会長の裁定が入ることを祈るばかりです。わたしなどは、月に2回は中国に行きますが、いちいち成田経由で行けということでしょうか。もしくは、ANAに乗り替えたらということでしょうか。航空会社が、客を乗せなくなったら、おしまいです。それなら、JALは、いっそ、ANAに吸収されたらどうでしょう。そうすれば、マイレージなども継続されるでしょうから、その方がユーザーにとっては、有難いです。この撤廃方針を見ていますと、再建はうまくいかないように思います。撤廃にあたっては、ユーザーの意見も是非、真摯に聞いてほしいものです。顧客の声を聞かない、こういう一方的な、お役所的なやり方が、今回のJALの倒産に至ったのではないでしょうか。9月までは、まだ時間があります。しっかり検討してほしいものです。声を出しましょう。

2010年5月10日月曜日

「ハゲタカ」の真山仁の「マグマ」

 友人が「面白い」と言うので読むことにしました。角川文庫です。地熱発電の話です。この小説の舞台になる阿蘇山の地熱発電所は、高校生のときに前を通ったことがあります。当時は、小規模で、研究をただやっているようにしか思えませんでした。
 この小説では、野上妙子という女性が主役です。アメリカのファンドにニューヨクで採用された才媛です。頭もよく、背も高く、美人です。彼女のファンドが、地熱発電会社を買収し、彼女はその社長として、赴任します。
 背景には、原子力発電所は危険であり、点検、廃棄コストなどのトータルコストを考えると決して安くない、唯一の被爆国の日本は、原子力発電を撤廃したらどうかというところから、スタートします。
 これに彼女の直接の元上司の大北、今の上司の街田顕一が、ドロドロした話で絡んできます。このあたりは、ハゲタカに似た構成です。地熱発電所長の御室耕次郎が、高温岩体発電所の建設に挑戦します。病をおして、これを完成させます。ラストで、この開所式のテープカットを彼女と御室の妻千歳が行います。
 原子力の高速増殖炉“もんじゅ”が稼働したことが報じられていますが、この小説では、高速増殖炉は非常に恐い技術であると述べています。原子力発電は、“神の手による火”といわれたりしていますが、果たしてそうなのか、疑問も呈しています。
 火山の上にあるともいっていい日本は、地熱発電は、有望な発電方式ですが、可能性の高いところの多くが国立公園内にあり、環境庁などの規制が厳しく、建設は難しいと述べています。たしかに地熱発電は、母なる地球が人間にくれたものかも分かりません。温泉だけでは、もったいないでしょう。小説でも地熱発電の可能性を書いていますが、その実現の困難さも書いています。
 わたしの別の友人は、今、バリ島におり、地熱発電をやっています。20年間は、住民から電気代を徴収でき、20年後は、インドネシア政府に渡さねばなりませんが、ビジネスとしても、成立するそうです。
 最後に、主人公の野上妙子が、なぜ美人である必要があったのか、分かりませんでした。伏線に彼女の恋などが用意されているかと思いましたが、まったくありませんでした。

2010年5月9日日曜日

ウッズのその後

 タイガー・ウッズは、復帰第1戦は、まずまずでしたが、2戦目は散々でした。やはり、長い期間の練習不足が響いたようです。ところで、4月29日のナショナル・エンクワイアラー誌が、「タイガーは結婚生活5年間で120人と不倫関係にあった」と報じました。これは、同誌によると、ウッズがセックスセラピーを受けた際に、120人のリストを夫人へ提出しました。ところが、その中には、4月上旬に発覚した近所の女子大生は抜けており、エリン夫人は「近所の子にまで手を出すとは史上最悪の裏切りだ。離婚をしてやる」と怒り狂っていたそうです。
 5年間で120人とすると、1人1回きりでも、月に2人です。こういう男が、1回きりということは、あり得ませんし、奥さんとのお勤めも果たしていたのでしょうから、やはり相当の性豪といえますし、そうでもないとも言えます。
 これから、言えることは、森川友義先生の「人間の体は浮気、不倫を前提に作られている」という説のいい実験台ということでしょう。また、セックスセラピーを受けても、すぐに女子大生に手を出すなどを見ていますと、こういうセラピーはほとんど役に立たないとも言えます。
しかし、ウッズも関係した女性の名前を奥さんとはいえ、明らかにするのは、言語道断です。梅宮辰夫などは、「こういう名前は、墓場まで持って行きます」と言っています。
それにしても、ウッズはなぜ離婚しないのでしょう。宗教の関係でしょうか。離婚する方がお互いのためのように思います。奥さんもそれほど、心配なら、マネージャーでもやって、いつも同行したらどうでしょう。

2010年5月8日土曜日

人間の体は浮気、不倫を前提に作られている(5)

ここまで、森川友義氏の説を整理しますと、
(1)男性の精子は睾丸で生産され、子供を産むためには、膣内に多量に放出させる構造になっている。
(2)私たち人間は、生命力のある子供を産むために、質戦略とともに量戦略を取ってきたことから、現在の私たちも遺伝子レベルでは量戦略も取りたい(つまり浮気をしたい)という願望がある。
(3)浮気願望は遺伝子レベルでプログラムされた願望であり、多少の違いはあるものの男女に存在している。
(4)一夫一婦制度とは、「量」戦略を取らせず、「質」戦略を取らせる社会制度である。
(5)男女ともに、社会制度と遺伝子願望との間に適応齟齬が生じている。齟齬に対して上手に適応させている人もいれば、上手に適応できない人もいる。
 ということになります。これらは、早稲田大学の森川友義先生のレポートであるということをあらためて述べておきます。また、人間はこういう普遍的な肉体構造に出来ているということを念頭において、くれぐれもウッズのようにはならないことが家庭は平和でしょう。ウッズのような精力をあり余っている人は、今の世の中では、結婚しない方がいいのかもしれません。ウッズにとっては、一夫一妻制のこのキリスト教の世界は、合わないのでしょう。いっそうイスラム教に宗旨を転じた方がいいようです。しかし、イスラム教でも4人までですから、今のウッズが受け入れられないかも分かりません。
 ところで、中国でチベット族の風習を聞きましたが、チベット族の男女は、女性が妊娠して、はじめて結婚するそうです。厳しい自然環境のチベットにあっては、次の世代を確実に残すには、子供が生まれるという確認を行って後に結婚するというのは、必要なのでしょう。

2010年5月7日金曜日

人間の体は浮気、不倫を前提に作られている(4)

4日目です。
証拠その4 「精子数の調整」
「精子戦争仮説」に基づいて多くの学者がいくつもの論文を発表していますが、実験結果を全部提示していると全体像が見えなくなってしまうので、ここではそれらを要約したものを記します。
 アツアツの恋愛関係にある男女が、同棲している場合と遠距離恋愛をしている場合の2つを考えましょう。条件的には浮気をする可能性は後者の方が断然高いようです。
 浮気して相手に分かってしまう危険性は、一緒に住んでいる方が、別れ別れになっているよりはるかに高いわけです。
 遠距離恋愛の男性の体は、自然と浮気の危険性を察知します。まず心理的に、彼女の魅力を過大評価するバブル傾向になります。次に、ほかの男も彼女を魅力的に感じているに違いない、さらにはもしかすると浮気をしているかもしれない、と思うようになります。一種の被害妄想です。
 可能性としては、すでに他の男の精子が彼女の子宮内にいる可能性もあります。他人の精子を急いでかき出さなくては、妊娠してしまうかもしれません。そして最悪の場合、その子供を自分が知らずに育てることになるかもしれわけです。
 このような妄想と浮気の危険性を察知した男の生殖機能が、久しぶりに再会した時にどう反応するかといえば、会うや否や激しくお互いの体を求め合います。放出する精子の数は離れていた時間に比例して多いとの実験結果があります。つまり、一緒に住んでいる場合と遠距離の場合では、遠距離の場合の方が放出される精子の数がずっと多いということです。
 精子戦争の見地からは当然のことで、精子数が多ければ多いほど兵隊数が多いということですので、それだけ膣内にいるほかの男の精子を撃退することができるからです。さらにセックスの仕方も違ってきます。
 遠距離恋愛の男女では、一緒に住んでいる場合より、(1)ペニスが奥まで挿入され、(2)スラストの回数も多く、(3)スラストの速度も速く、(4)性交時間も長い、ということが分かりました。
 ペニスが奥まで挿入されるのは、奥まで入れた方が奥にある他人の精子をかき出すことができるということですし、スラストの回数が多く早いというのは、その分、より多くかき出せるということです。性交時間も長ければ長いほど有効です。
 もちろん、遠距離恋愛をする男女は、このような精子戦争の理論を意識しているわけではありません。無意識に相手の体を求め合った結果です。重要な点は激しく求めるというその精神構造にあります。
 遠距離恋愛だからといって、精子の数が増える必要もありませんし、ペニスが奥まで届く必要もないし、スラストの回数も多くならなくてもいいわけです。しかし実際には、遠距離恋愛の2人が久し振りに会うと、お互いを激しく求めるようです。恋愛の深さによるものと思いがちですが、実は意識の裏では、激しい精子戦争を体験した遺伝子に突き動かされて相手を求め合っているのです。
 ちなみに、ダブルメイティング(複数の同時進行浮気)の時、どちらの精子の方が受精しやすいかと言えば、2人目(あるいは3人以上の場合には最後の男性)の精子の方が卵子に到達しやすいと言われています。
 子宮の中は精子がたどりづらい仕組みになっているので、最初の男性のエッグゲッターの多くは途中で死んでしまいます。その点2人目は、最初の性交者の精子が開拓して道筋を作ってくれているので、より多くの精子がたどり着けるということになります。
 扉が開いて卵子が出てきた時には、数の上で勝る2人目の精子が最終的には勝利する確率が高いのです。ですから、遠距離恋愛の男性は、条件的には妊娠させる確率が高いということになりますが、その女性が彼と再び別れた後に別の男性とセックスした場合には、その男性との方が妊娠しやすいということになります。

2010年5月6日木曜日

人間の体は浮気、不倫を前提に作られている(3)

昨日に続いて、標記について森川氏の説を述べます。
証拠その3 「ペニスの形状」
3番目の理由は、ペニスの形状です。人種が違ってもペニスの形状はだいたい類似しています。必ずきのこ状になっているのは、その方が、男が感じるとか女を余計喜ばすことができるとかいう考えもなくはありませんが、最近ではもっと説得力のある別の見方も出てきました。
 その形状は、膣内に入り込んでいる他人の精子をスラストによってかき出す役割が重要であるということです。前述のブロッカー精子は先に膣内に入り込んだために進化したものであり、ペニスの形状は2番目以降の精子が突入した場合に有効です。
 人間のオスは、他の動物のオスより射精まで長い時間を要します。さまざまなアンケート調査では男性は射精まで数分間かかると申告していますが、これは男性の見栄でうそをついている場合が多いようです。ただし実際にははるかに短いとしても、ほかの動物よりはかなり長いと言えます。
 それは、女性を長い時間喜ばせるためにスラストの回数が多くなったわけではありません。より長い時間をかける方が、膣内に入り込んでいる他人の精子をより多くかき出すことができるからです。さらに言えば、男性のペニスは真っ直ぐになっているわけではありません。
 通常、左右どちらかに微妙に傾いています。このように曲がっているのは、真っ直ぐである場合よりも、より多く、先に入り込んだ別の男性の精子を外にかき出すことができるからです。
 本当かどうか疑問に思っている方がいるのは当然で、森川氏も疑問を持ったようです。きのこの形になっているからといって、それがどの程度かき出せるのか疑わしいと思ったからです。
 ところが実際に実験をした学者が現れました。ニューヨーク州立大学のギャロップ教授らのグループで、論文は2003年に発表されました。米国で市販されているおとなのおもちゃ、男性用と女性用の両方を使って、どの程度かき出せるのか実験してみたのです。
 ギャロップ教授らは形状の違う4種類のものを用意しました。それを子宮(もどき)のおもちゃに入れて、入り込んだ精子(もどき)をどのくらいかき出せるのか実験したのです。
 実験の結果、きのこ状になっていないものは35.3%の精子(もどき)しかかき出すことができなかったのに対して、男性のペニスに最も類似したものは91%もかき出すことができたのです。
 どの程度奥に挿入するかでも、かき出せる量の違いが出てきました。4分の3程度奥に挿入させた場合は40%未満しかかき出せなかったのに対して、奥まで挿入させた場合は90%以上かき出せたのです。
 このように、ペニスの形状や睾丸の大きさは、精子戦争に多大な影響を与えることが分かりました。ペニスの形状も女性が浮気性であることが前提で進化したものであることもお分かりいただけたことでしょう。ペニスが現在の形態になったから、女性が浮気性になったのでは決してありません。女性が浮気性であるから、男性の性器が進化したのです。
 なお、ペニスの大小と浮気性との因果関係は賛否両論があり、現在までのところ、意見の一致をみていないようです。

2010年5月5日水曜日

人間の体は浮気、不倫を前提に作られている(2)

 昨日に続いて、標記について森川氏の説を述べます。
証拠その2 「睾丸の大きさ」
 睾丸の主要な機能は、精子の生産ですが、そこにも男女が浮気性のために淘汰圧がかかっています。人間の睾丸の大きさをほかの哺乳類の睾丸と比較してみますと、その大きさは、大きくもなく小さくもないと言えます。たとえば、ゴリラとチンパンジーの睾丸とを比較します。
 ゴリラ社会は一夫多妻のハーレム社会ですが、オス同士でメスを巡る激しい闘争があって、それに勝ったゴリラが独占するという形になっているため、体格に対して淘汰圧がかかっていますが、勝者はメスを独占することができます。
 一部の強いゴリラが独占をした後は、負けたゴリラはメスを横取りしようとしないので、精子間の戦いは起こりません。そのために身体(体重は170キロ程度)の割にはゴリラの睾丸は小さく、体重の0.02%、睾丸2つで約30グラムです。ペニスの長さは2.5センチと体に埋没するくらいの大きさです。
 他方、チンパンジーはゴリラの約100倍も性行為を行います。発情期になると、メスも次々にオスと交尾します。このような乱交状態では、オスが自分の子供を産ませるには、たくさんの精子が入り交じった子宮の中で、他の精子をやっつけて自分が勝利しなければなりません。
 体内で複数の精子が交じり合い戦う「精子戦争」の状態では、精子の数(兵士数)が勝つための絶対条件になります。そのため、チンパンジーの精子を生産する睾丸は体重(47キロ程度)の割にはたいへん大きく、2つで120グラムと全体重の0.3%、ペニスの長さも8センチもあります。
 人間の睾丸はといいますと、上記のゴリラとチンパンジーの間に位置しています。重さは40~50グラムで、全体重に対する割合は0.08%です。
 哺乳類の中では、人間は、ゴリラのような一夫多妻制を取っている動物とチンパンジーのような一夫多妻制の乱婚型を取っている動物の中間にあり、睾丸の大きさが、「ゴリラ以上、チンパンジー以下」ということは、私たち人間があたり構わず「乱交」しているというわけではないにしても、一夫一婦制を完璧に踏襲する構造にもなっていないということです。
 つまりチンパンジーほどではないにしても、私たちの先祖は、ある程度の複数の異性と性的な関係を、同時かつ頻繁に持ってきたということです。もし人間が完全なる一夫一婦制を持っていたら、男性の睾丸はもっともっと小さくなっていたことでしょう。
 ウッズは、ゴリラよりもチンパンジーに似ているのでしょう。よく見れば、チンパンジーに似ているようです。

2010年5月4日火曜日

人間の体は浮気、不倫を前提に作られている

 タイガー・ウッズがマスターズに戻って来たものの早速、近くの22歳の女子大学生と浮気したと報じられました。かれの場合は、セックス依存症としていろいろの治療を施されましたが、果たして病気なのでしょうか、また治るものなのでしょうか。
 ここで、早稲田大学の森川 友義氏が興味深い発表をしていましたので、参考のためにここで取り上げたいと思います。生物学的見地から人間の浮気性を証明しています。今回は、男性の生殖機能の特徴から、男女が浮気性であることの証拠を提示すること部分を紹介します。これは、「精子の特徴」、「睾丸の大きさ」、「ペニスの形状」および「精子数の調整」の4つについてです。
証拠その1 「精子の特徴」
 妊娠とは、女性が月に1度排出する卵子に精子が進入して受精し、新しい生命が宿ることを言いますが、1回のセックスで約2億~5億個の精子が射精されます。ここではとりあえず3億という数字を便宜的に使います。
 その3億の精子がすべて、女性の卵子をめがけて直進していくわけではないそうです。 実際にはその多くが、別の精子の侵入を防ぐ「ブロッカー精子」(Blocker)であり、他人の精子を見つけて撃退する「キラー精子」(Seek and Destroy)です。両者を「カミカゼ精子」と呼ぶ学者もいますが、このカミカゼ精子は、膣から子宮を通って卵子に向かう精子「エッグゲッター」(Egg-Getter)とは役割が異なります。「エッグゲッター」の数はブロッカーに比べてはるかに少なく、数百万程度と、百分の一です。
 この精子の役割分担は何を意味しているのでしょうか。なぜ男性の生殖機能である睾丸でカミカゼ精子を作り出さねばならなかったのかといいますと、女性が1人の男性から出た精子が生きている間に、別の精子を膣内に受け入れたためです。もし女性が浮気を全くしなかったら、何億というブロッカーやキラー精子を作り出す必要はなかったわけです。それなのに存在しています。遺伝的特性が普遍的に広がるには何万年もかかります。すなわち、こういうブロッカーなどは、何万年前から存在したことになります。
 これは「女性が全く浮気をしていない」という前提が間違っているのです。しかも一生に1度や2度の浮気ではありません。1年に1度や2度でもありません。
 膣内に入った時点での精子の寿命は、せいぜい5日間程度ですから、私たちの祖先の女性は、この5日間に複数の男性と性行為を行ってきたということになります。しかも、何億というブロッカー精子などを作り出すほどに頻繁に、です。このことからも女性も普遍的に浮気性があることが分かります。

2010年5月3日月曜日

石川議員は本当に重罪なのか(3)

 昨日の続きです。
『04年分の陸山会の収支報告書はその分、帳尻が合っていない』と週刊朝日は書いていますが、2004年の陸山会の収支報告書には、次の記載があるのです。
   2004年10月29日:小沢一郎 借入金4億円
 この記載の事実は、1月10日のサンデープロジェクトで郷原氏が指摘したのですが、テレビカメラで拡大しましたので、多くの人が見ているでしょう。しかし、なぜか、この事実を検察も新聞も週刊誌も書こうとはしないのです。いっさい無視しています。
 おそらくそういう記載があることをマスコミ自身が知らなかったので、いいたくなかったのでしょうか。しかし、それが「小沢=悪」を大きく間違って裏付けているのです。
 銀行からの借入金4億円は、政治資金規正法第4条によって「収入」には当たらないので、記載する必要はないのですから、これは文字通り小沢からの借入金4億円ということになります。そう
であるならば、こちらはちゃんと記載があるので不記載ではない
どうして石川議員は、逮捕・起訴されなければならないのでしょうか。           
サンプロ出演者のジャーナリスト財部誠一氏は次のようにコメントしています。
  「4億円の借入金の記載があるというのは衝撃的だ。新聞ではないと報じているではないか」というような声が上がったが、日頃からこの問題について新聞、テレビで解説している新聞の解説委員は、「確認してみる」などと言っているだけで、まともに答えられませんでした。毎日新聞の岸井成格特別編集委員に至っては「捜査の仕方がなんか変だな」と言い出す始末です。
 今回ほど、マスコミの報道がいい加減なこと、国民の政治への不信感を募らせたことはありません。反省してほしいものです。どうもテレビでコメンテータ役で出ている人は、テレビでいい加減な話をして講演で稼ごうとしていることがミエミエです。たしかにテレビの出演料は安いので、その分を講演、とくに地方講演で稼ごうというのでしょうが、すこしみっともなくありませんか。わたしは、こういった類のコメンテータの講演は聞きに行きません。

2010年5月2日日曜日

石川議員は本当に重罪なのか(2)

 昨日からの続きです。
 政治資金規正法第4条は政治団体の「収入」を次のように定めています。
 『「収入」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の収受で、第八条の三各号に掲げる方法による運用(銀行預金など)のために供与し、又は交付した金銭等の当該運用に係る当該金銭等に 相当する金銭等の収受以外のものをいう』となっています。
要するに政治団体が手元資金を銀行預金で運用し、それを担保に相当額を借り入れても、その借入金は政治資金規正法上の「収入」には該当しないのです。
 そうであるとすると、政治団体の定期預金を担保にした4億円の借入金は、収支報告書の記載すべき「収入」ではないということになります。しかし、その不記載を容疑として東京地検特捜部は石川議員を逮捕しているのです。書かなくてもいいことになっていることを書かなかったからといって逮捕される。考えられないことです。
 それなら、小沢氏から提供された4億円については、どうなのでしょうか。
 これについて、石川議員が保釈後に記者会見において次のように述べています。
  「記載すべき時期を間違えたが、意図的ではなかった」
 これは、土地取引は2004年10月29日に行われたが、記載はその2ヶ月後の2005年に行われているということをいっているのでしょうか。
 これについて、『週刊朝日』3/5号は、次のように述べています。
 『04年の土地取引を05年に記載したのは確かに記載ミスだが、土地取引を隠そうとしたわけでもないし、陸山会の収支報告書によれば、小沢氏からの借入金残高は03年末は1億1854万9268円、04年末は4億9147万8416円と記載されている。差し引き3億7292万9148円借入金が増加していることがわかるが、その分の借入金収入が「記載漏れ」になっていた。結果的に、04年分の陸山会の収支報告書はその分、帳尻が合っていない。』と書かれています。 
 (明日に続きます)

2010年5月1日土曜日

石川議員は本当に重罪なのか(1)

 最近は、石川議員のことは、まったく話題になりません。果たして彼がやったことは、重罪なのでしょうか。Electronic Journalの記事を参照します。 
 多くのメデイアから小沢氏が責められているのは、本人は不起訴になったものの、小沢事務所の秘書2人と元秘書である石川衆議員が逮捕されているからです。監督責任があるし、同義的にも秘書のせいにするのは許されないというわけです。小沢氏自身の不起訴についても、「嫌疑なし」ではなく「嫌疑不十分」だから、黒に近い灰色であると大マスコミは執拗に喧伝しています。さすがに最近は、民主党の議員はあまり言わなくなりましたが、選挙が近づくとどうなるでしょう。鳩山首相の秘書の有罪が確定しましたが、こちらの方は、あまり大きく取り上げていないように思います。
 しかし、小沢氏の秘書たちは、本当に逮捕されるような重い罪を犯したのでしょうか。政治資金規正法をていねいに読んでみると3人の起訴には大きな疑問が出て来ます。
 『週刊朝日』3/5日号を参照します。『政治団体の会計帳簿は、民間とは異なり、家計簿レベルの単式簿記であり、非公表なのです。それに、収支報告書に公表しなければならない内容は、収支のすべてではなく一部です。
 会計帳簿の方は、借入金の日付、金額、借入先をすべて書かなければならないのですが、収支報告書には借入金の日付を書く必要はないのです。政治活動の自由の確保を根拠とし、政治団体の資金繰りは明らかにしなくてもいいことになっています。
 実際の制度の運用では、年末時点の資産と借入金がわかるようになっていればよいとして、総務省は会計責任者に「余計な金銭の出入りは書かなくてもよい」と指導しているのです。
 ここで石川議員の逮捕容疑を調べてみると、次のようになっているのです。
 小沢氏から提供された4億円と陸山会の定期預金を担保に銀行から借りた4億円の合計8億円を収支報告書の収入に記載しなかった。』            
 しかし、これはおかしいのです。(明日へ続く)