2010年10月14日木曜日

尖閣諸島の領有権(6)

 たしかに、尖閣諸島は明代・清代などの中国の文献に記述が見られますが、それは、当時、中国から琉球に向かう航路の目標としてこれらの島が知られていたことを示しているだけであり、中国側の文献にも中国の住民が歴史的に尖閣諸島に居住したことを示す記録はありません。中国が領海法に基づいて尖閣諸島を中国領と書き込んだのは1992(平成4)年のことでした。それまでは、中国で発行された地図でも、尖閣諸島は中国側が「領海」とする区域の外に記載されていました。

 領海は、国際法上、その国が排他的に主権を行使することのできる領域です。尖閣諸島付近の日本の領海で、中国など外国漁船の違法な操業を海上保安庁が取り締まるのは、当然です。

 同時に、紛争は領土をめぐるものを含め「平和的手段により国際の平和、安全、正義を危うくしないように解決しなければならない」というのが、国連憲章や国連海洋法の大原則です。その精神に立って日本外交には、第一に、日本の尖閣諸島の領有権には明確な国際法上の根拠があることを国際舞台で明らかにする積極的活動が必要です。ところが、まったくなされていません。

 第二に、今回のような事件の再発防止のため必要な交渉をすすめることが求められています。 そのためには、中国政府との人脈が必要ですが、今の丹羽大使は、不幸にもこれらの人脈があるとは思えませんし、外務省および大使館の職員が献身的に協力しているとも思えません。中国側も、現在のようなことをやっていると、国際社会から不審の眼で見られることを諭すべきです。また、事実にもとづき、緊張を高めない冷静な言動や対応が必要でしょう。

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