2010年9月17日金曜日

外為特会が円高で赤字10兆円

 急速な円高を受けて、国の外国為替資金特別会計(外為特会)の為替評価損が膨らんでいます。8月17日時点で過去最大の約31兆円に達し、積立金(20.6兆円)から評価損を差し引いた「赤字」も約10兆円にのぼっています。民主党政権は、2011年度の予算編成でも特別会計などの「埋蔵金」を財源として当て込んでいますが、為替特会の評価拡大が障害となる可能性も出て来ました。

 03年から04年にかけて実施した大規模な円売り・ドル買い介入を受けて、日本の外貨資産は急増しました。政府はこうした外貨を米国債などに投資し、運用しています。政府が介入に踏み切った時点より円高が進みますと、保有する外貨の価値が下がって評価損が出ます。9月15日に2兆円の円売り介入しましたが、円高が続くと、評価損が出ます。

 現在の外為特会は、1ドル=99円より円高になれば、評価損が積立金を上回る「赤字」に陥ります。最近の円高で、この赤字額が膨らんでおり、8月17日の時点では、10兆円程度の赤字となっていました。2009年度末の5.7兆円の2倍近い金額です。しかし、8月17日よりも現在は、大幅な赤字になっていますので、この赤字幅は大きく増えています。

 ただ、評価損が出ても、外貨資産を売却するまでは実際の損失になりません。株などでいう“塩漬け”です。外為特会の財務内容は、悪化の一途をたどっており、政府や民間のエコノミストの間では、「赤字が膨らむ外為特会の積立金を景気対策などの財源に使うのはおかしい」という声が出ています。特会の残高が積み上がる円売り・ドル買い介入についても「赤字額がさらに膨らむ」との見方があります。

 株安と円高で年金積立金も大赤字です。厚生年金と国民年金を運用する厚労省所管の「年金積立金管理運用」(GPIF)は、今年4~6月期の運用損益が3兆5898億円の赤字になったと8月30日に発表しました。赤字は四半期ベースで5期ぶりのことです。運用利回りはマイナス2.94%と、1~3月期のプラス1.29%から落ち込みました。資産別利回りは、外国株がマイナス17.43%、国内株がマイナス13.93%、外国債がマイナス7.51%といずれも振るいませんでした。運用損益は3兆6584億円の赤字でした。

 こういう運用は、どういったひとがやっているのか、興味があるとともに余程の人でないと務まらないでしょう。多分、お役人がやっているので、どこかの投資信託会社か信託銀行、証券会社にまるなげしているのでしょう。ひとの金を真剣に運営するのでしょうか。疑問に思います。

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