2010年8月7日土曜日

アフガン戦争での出口はあるのか

 オバマ大統領は、アフガン駐留米軍トップのマクリスタル司令官(55)を更迭し、後任にベトレアス中央軍司令官(57)を起用しました。

 マクリスタルの解任は、オバマ政権の高官への批判が原因といわれています。これは、6月発売の「ローリング・ストーン」誌で、米軍増兵に反対したバイデン副大統領やジョーンズ大統領補佐官をバカにした発言をしたためであるとされています。

アフガン戦争  戦死者   8年10カ月
(2001~)    1110人   (継続中)
ベトナム戦争  5万8000人 8年7カ月
(1964~73年)
イラク戦争   4300人   7年4カ月
(2003年~)
独立戦争    2万5000人 6年9カ月
(1775~82年)
第2次世界大戦  62万5000人 3年8カ月
(1941~45年)
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旧ソ連の      1万5000人 9年2カ月
アフガン戦争
(1979~89年)
上の表は、米国の主な戦争です(日経新聞より)。

 ご存じのようにアフガン戦争は、2001年9月11日の同時テロを受けて、当時のブッシュ大統領がアフガン戦争に踏み切ったものです。同年10月7日に開始して、わずか1カ月間で、首都カブールを陥落させました。しかし、ゲリラ化した反政府勢力のタリバンは、今や国土の過半数を実効支配しています。そして、来年7月には、米軍はアフガンから撤退するという計画です。

 このために7月から大規模な作戦を展開する矢先のことでした。マクリスタル司令官は、タリバンの拠点であるカンダハル州を掃討作戦する予定でした。民家やビルなどを一軒ずつしらみつぶしに調べて、武器庫や弾薬庫、資金源になるアヘンを押さえる作戦で、マクリスタル氏が着々と準備して来たものでした。これが成功するとアフガンの治安は、一気によくなると思われていました。

 しかし、マリクスタル氏が抜けた米軍は、迷走する危険性があります。英インディペンデント誌は、社説で、「司令官の交代は同盟にとってアフガン駐留の終わりの始まり」と書いています。マクリスタル氏が批判したバイデン副大統領やアイケンベリー駐アフガン大使は、カルザイ政権への支援を中止し、早期に撤退する方が、アフガン国民の対米感情を好転させると述べています。

 そういう中、アフガン戦争に関する機密文書が、一挙に9万点以上も流出しました。民間ウエブサイトの「ウィキリークス」がひとまとめにして公開しました。この中には、米軍がアフガン戦争の拠点とするパキスタンの軍事情報機関が、アフガンの反政府武装勢力タリバンと癒着しているとした疑惑がウィキリークス誌の暴露で表に出たということです。オバマ大統領はこれらの対応に追われています。ベトナム戦争のように結局は、退散するのでしょうか。

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