2010年7月22日木曜日

ゆうパック34万件遅配騒動

 宅配便「ゆうパック」が遅れている問題で総務省は、日本郵政グループの郵便事業会社(日本郵便)に対して、業務改善命令などの行政処分を検討しています。総務省としては公表が遅れた経緯や、社内の危機管理体制の不備を指摘して、改善策を求めるようです。遅配は累計34万4000個に上り、特に埼玉、千葉の2カ所の集配拠点で遅れが続いていました。

 7月8日の日刊ゲンダイには、興味深いことを書いていました。「ゆうパック」事業はもともと、西川善文・前日本郵政社長が日本通運(日通)の「ペリカン便」との統合を強引に進めた“お荷物”案件だったとしています。

 日本郵政が日通と宅配事業の統合(JAPEX)を発表したのは、07年の福田内閣時代です。統合に難色を示していた郵便会社幹部は統合計画をまったく知らされていず、進めたのは西川氏配下の『チーム西川』だったといいます。統合発表後に、この幹部らが、JAPEXの5年後の累積赤字が943億円に上る見通しを報告すると、西川氏は激怒し、4年後に黒字化する計画にムリヤリ修正させました。JAPEXの資本金500億円のうち、日本郵便の負担は330億円で、日通は関連施設などの現物出資のみでした。今回、両社のシステムの互換性を指摘されていますが、これは当初から指摘されていたのですが、何ら対策を講じられなかったといいます。

 総務省の「日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会」は、今年5月の郵政問題の総括で、JAPEXについて「きちんとした計画および収支の見通しもないまま結論ありきで会社が立ち上げられ、強行されていった」「事業計画がでたらめではないかと言っても後戻りが出来ず、事業が進められ、西川社長(当時)らの不合理な経営判断に原因がある」と断じています。

 さらに「西川氏らの前経営陣がおかしな統合計画を作ったために総務省の認可が下りず、昨年末の歳暮商戦に間に合わず、この中元商戦で挽回しようとして焦ったためでしょう」とも書いています。このあたりが、真実かも分かりませんが、ワンマン西川氏は、健保の宿でもそうでしたが、国の資産をあまり大事に扱わなかったようです。

 こういったことは、大新聞は、けっして書きません。タブロイド版の夕刊は、「日刊ゲンダイ」ち「夕刊フジ」がありますが、結構、楽しんでいます。 参考までに、宅配便事業のシェア1位は、40.6%でヤマト運輸「宅急便」で、2位は佐川急便「飛脚宅配便」で36.2%でした。この2社で76.8%です。日通は6.2%、郵便事業会社「ゆうパック」が8.5%で、2社合わせても、14.7%で、2社とは、大きな差があります。おまけに、郵便事業会社は平成22年3月期に475億円の最終赤字を計上しており、収益改善は待ったなしです。本来は、JPEXに移管される計画でしたが、総務省の認可が得られず断念しました。採算割れだったJPEXは解散を余儀なくされ、宅配便ブランドをゆうパックに一本化される計画に変更しました。混乱の末、何とか船出したものの、いきなりつまずいた新生ゆうパック事業でしたが、いきなり試練を受けました。収益改善は、さらに難しくなりました。西川氏が、日本郵政グループの社長をやっている時は、このようなマイナスの報告はなかったように思います。

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