2010年5月18日火曜日

インド僧、菩提僊那の来日

 現在、奈良では平城遷都1300年祭が行われています。藤原京から平城京に遷都されて26年後にインド僧の菩提僊那が日本を訪れました。菩提僊那は、インドで生まれ、中国を経て、32歳のときに日本に来ました。736年5月18日のことです。今から1274年前のことです。かれは古代インドの四姓制度の最上位・婆羅門の出身で、シルクロードを旅して唐に入りました。
 菩提僊那が日本に来る気持ちになったのは、733年に長安で遣唐副使の中臣名代や留学生の理鏡らから「日本に来て正しい仏教を広めてほしい」と口説かれたことによります。菩提僊那は、唐僧の道璿、ベトナム僧の仏哲とともに天平8(736)年5月18日に太宰府に到達しました。菩提僊那は仏教発祥の地の出身ということで、聖武天皇からも尊敬をもって迎えられ、大安寺を与えられました。
751年には、僧の最高位の僧正を贈られ、翌年の4月9日の大仏開眼法要では、大導師となりました。菩提僊那は、56歳で亡くなりました。長い異国での生活ですから、大変だったでしょう。それでも若くして、僧正の位に着いていたわけですから、恵まれたともいえます。
 これに比べて不運なのは、唐招提寺の鑑真和上です。日本への渡海は6回に及びました。もし、菩提僊那のように1回で渡海出来ていれば、鑑真和上が大導師を務めたことでしょう。当時の仏教は、現代とは比べものにならないくらいに、盛んだったのでしょう。寺ももちろんのことですが、東大寺の大仏のような巨大な大仏を造りました。今の日本もなにか象徴的なプロジェクトが必要に思います。

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