2009年3月22日日曜日

AIGの高額ボーナス

 米政府管理下で経営再建中の米保険大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が幹部への高額のボーナスを支払った問題でオバマ政権が揺さぶられています。巨額の支援をしながら問題を見逃したとしてオバマ政権が責任を問われています。昨年、AIGは多額の政府の支援を受けながら、73人に100万ドル以上のボーナスを支給。最高は640万ドル。AIGのエドワード・リディCEOは「法的支払い義務のあるボーナスを払わなければ社員の退職が増加し競争力が低下する」と公聴会で話しましたが、100万ドル以上のボーナスを貰った73人のうち、11人はさっさと退職しています。AIGとか公的資金援助を得られなかったリーマン・ブラザーズの社員は、会社への忠誠心、愛社精神もなく、去っていくでしょう。米国下院はこれらの高額ボーナスは取り返せないとみて、収入の9割に税金を課すことを決めましたが、上院では簡単に通らないようです。結局は、取り得になりそうです。
 この件は、昨年の10月6、7日とブッシュ政権時代に米下院の監視・政府改革委員会にリーマンのリチャード・ファルドCEO、AIGのマーテイン・サリバン元CEOを呼び、下院議員は役員報酬や贅沢な待遇について散々に批判しました。リーマンのファルド氏などは4億8000万ドル(約480億円)の役員報酬を得ていました。そして、大損害を出し、世界に経済不安をまき散らしたわけです。このときも傍聴席には、「シェイム(恥)」と書かれたプラカードが掲げられていました。
 さて、AIGですが、高額のボーナスを出して、最新の知識と経験を買って、優遇したものの昨年の最終損益は992億ドルも出し、それまでの22年間の利益を帳消しにしました。アメリカ流の経営手法を有り難がる竹中平蔵氏のような人もいますが、所詮、そういうことはあり得ない実経済上の理論と言えます。第1次世界大戦前後に株、商品相場などで、伝説上の大金を稼いだ人たちも晩年は哀れでした。それに比べて、会社で相場をやる人は個人的なリスクは少なく、「損すれば会社を辞めればいい、いくらでも勤め先はあるよ」という感じがして、どうも危うさを感じます。
 オバマ大統領もいろんなツケを背負わされて大変です。その割にいい取り巻きがいるのか心配です。ガイトナー財務長官で果たしてこの難局を切り抜けられるのか。イラク大使には例の六カ国会議のアメリカ代表を任せるといいます。国務長官にヒラリー・クリントン。どうも人を見る目に欠けているように思います。

0 件のコメント: