2009年2月16日月曜日

中国で米国債売却論

 中国国内で「外貨準備で保有している米国債の残高を減らすべきである」という議論が活発になって来ています。日本では、橋本龍太郎元首相がフェイントをかけたことはありましたが、最近は、ほとんど論議されません。中国で議論されているのは、アメリカがこの金融危機で国債を大量に発行し、今後、価格が大幅に下落することが見込まれるからです。中国社会科学院世界経済研究所の余永定所長は、1月初めに中国の新聞に米国債が供給過剰になるリスクに触れて、「米国債をある程度売り、ユーロや円の資産を増やすべきだ」と書いています。
 第一財経日報によると「中国は昨年11月に米国の中長期国債を売り越し、短期国債を買い増した」と報じました。11月末の中国の米国債保有残高は全体で6819億ドルと10月末よりも290億ドル増えましたが、短期債の比率を高めることで将来の価格下落に備えたと見られています。
1月31日には、温家宝首相がロンドンで従来の大量購入を見直す可能性を示唆した発言をしています。中国は世界最大の米国債の保有国です。米国は、金融危機に対応する財源として国債を大量に発行しており、中国では米国債の値下がりリスクの懸念が強まっています。日本では、真剣に論議されないのが、不思議なくらいです。
 ガイトナー米財務長官は、就任前に「オバマ大統領は中国の価格操作を信じている」と発言しており、これに中国は強く反発しています。温家宝首相の発言は、米国債購入の見直しをちらつかせることで、オバマ政権の人民元政策への批判をけん制する狙いもあったと思われます。しかし、ここは、性急な方針転換には慎重な態度をとるでしょう。

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