2009年2月4日水曜日

オバマ米大統領の異母弟が逮捕

 これに触れるには、少しバラク・オバマ大統領を語らねばなりません。かれは、1961年8月4日にハワイ州ホノルルで出生しました。実父のバラク・オバマ・シニア(1936年 - 1982年)は、アフリカのケニアのニャンゴマ・コゲロ出身でルオ族であり、母親はカンザス州出身の白人のアン・ダナム(1995年没)です。2人はハワイ大学で出会い、1961年2月2日に周囲の反対を押し切って結婚しました。父オバマ・シニアはイスラム教徒であり、イスラム教の戒律では「イスラム教徒の子は自動的にイスラム教徒になる」とされています。しかし、オバマ大統領自身は現在キリスト教徒(プロテスタント)であると表明しています。オバマ氏は自伝で、「父はイスラム教徒であったが、ほとんど無宗教に近かった」と述べています。両親は1963年に別居し、1964年に離婚しました。1965年に実父はケニアへ帰国しました。異父妹が1人、異母兄弟が8人(うち、4人死没)います。なお、オバマ氏自身は1971年に一度だけ実父と再会していますが、実父は1982年に自動車事故で死亡しています。
 その後、人類学者となった母は、インドネシア人地質学者のロロ・ソエトロ(1987年没)とハワイ大学で知り合って、再婚しました(お母さんは、白人よりも有色人種の方が好きなようです)。これに伴い、1967年にインドネシアのジャカルタへ移住しました。地元の学校に10歳まで通いました。1970年に母と継父の間で異父妹のマヤ・カッサンドラ・ソエトロが誕生しました。1972年、母がソエトロと一時別居して、実家があるハワイのホノルルへ帰国しました。1977年、母はオバマをハワイの両親に預け、人類学者の仕事でインドネシアに戻り、1994年まで現地に滞在しました。この間、1980年に母のアンと継父のソエトロとの離婚が成立しました。そして、母のアンは1995年に卵巣癌で亡くなりました。オバマ氏は、ハワイにおいて白人の母親と母方の祖父母(共に白人)によって育てられたという出自です。母方の祖父母はスタンリー・ダナム(1992年没)とマデリン・ダナム(2008年没)です。オバマ氏は1971年に地元の有名私立小中高一貫校のプナホウ・スクール5年生として転入しました。在学中はバスケットボール部に所属し、高校時代には飲酒や喫煙、大麻やコカインを使用したと自伝で告白しています。
 そこで、今回の異母弟の逮捕劇です。異母弟は、ジョー・オバマ(26)です。かれは、1月31日、ケニア警察によって大麻所持の疑いで逮捕されました。本人は、なぜ逮捕されたか、分からないと話しています。彼は、1月20日の大統領就任式に参列しなかった数少ない親族のひとりです。かれは、ケニアで貧しい悲惨な生活を送っており、収入は1か月に1ドル以下で、首都ナイロビのフルマ地区というスラブ街にある掘立小屋で生活しています。このフルマ地区は危険なところで、警察もすぐに銃を使い、先日も友達が二人殺されたと話しています。オバマ大統領も上院議員時代の2006年にケニアを訪問し、異母弟のジョージにも会っていますが、自著にも「つらい体験だった」と書いています。
 就任式やパーティでの華やかなオバマ大統領夫妻や娘さんの陰にこのような自慢できない異母弟の存在があります。どうして支援ができないのでしょう。どちらかというと、オバマ大統領も異母弟の親族は忘れたい気持ちなのかも知れません。

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